フォーマルな装いが求められる催しの招待状が届いた際、出席をためらう理由のひとつは装いのルールに難しさを感じるからだろう。しかし、それは誤解。むしろ、ルールがあることによって、何を着ればよいかという悩みから解放されるのだ。
フォーマルスタイルは着分けをマスターすべし
まず、ファーマルコーデは場の格によって正礼装、準礼装、略礼装に分かれる。このうち、正礼装はすべてのアイテムのデザインからディテールまで厳密なルールがあり、アレンジが許される範囲は少ない。
準、略と下がるにつれ、ルールは緩やかになり、着くずしでお洒落を楽しむこともできる。次に留意したいのは、午後6時を境として、昼と夜によって着分けが必要となること。日本古来の礼装には時間で区別という考え方がないためか、いちばん混乱するところでもある。特にタキシードは夜間の礼装だが、昼の結婚パーティに着用する人は多い。実はこれが間違い。昼のシーンで着るのが一番恥ずかしい行為なのだ。紳士たるもの、ほかの人が着ているからと、安易に合わせないこと。国際的には間違いであることを知っておかなければならない。
フォーマルのレクチャーでは、まずルールに則り、それからルールを破る、と語られる。しかし、実際にはルールを厳格に守るべき催しは数少ない。だから、カジュアルなパーティでフォーマルのアレンジを楽しみ、いざ格式の高い会に出席する際は、堂々と正統に装うのが現実的かつ理想だ。
Day-Formal
![写真左ディレクターズ スーツ/モーニングコートのすそを短くしたタイプといえるのが、ディレクターズスーツ。昼間に催される各種式典やパーティにふさわしく、活躍のシーンは幅が広い。着こなしはすべてモーニングに準じる。パンツはグレーストライプが一般的だが、白黒の細かなチェックでの代用も可。他のフォーマルスタイルも同様だが、ベルトは用いず、サスペンダーを使うことがルール。靴は黒でカーフのストレートチップが最適。夜間用のエナメルシューズはNG。ディレクターズスーツ¥150,150~/オーダー価格・チーフ¥6,195(サローネ オンダータ〈TAKIZAWA SHIGERU & CO.〉) タイ¥21,000・サスペンダー¥8,295(伊勢丹新宿店〈ハンツマン〉) 靴¥215,250(ジョン ロブ ジャパン)※すべて参考価格](https://precious.ismcdn.jp/mwimgs/f/b/720mw/img_fbad2834a123d4aafa044ac6b620ba12214781.jpg)
Night-Formal
![写真左タキシード/招待状に「ブラックタイ」とドレスコードが記されていたら、正統のタキシードのことを指す。日本ではアメリカ式にタキシードと呼ぶことが多いが、英国ではディナージャケットという。襟は黒のシルクサテンで、デザインはピークドラペルかショールカラー。どちらの格が上、ということはない。正統な着こなしでは、ボウタイとカマーバンドは黒無地のシルクでそろえることが決まり。サスペンダーも黒系を。タキシード¥210,000/オーダー価格・シャツ¥42,000~/オーダー価格・スタッズボタン¥34,650・チーフ¥8,400・ボウタイとカマーバンド/参考商品(ドーメル 青山店) サスペンダー¥26,250(日本橋三越本店〈シャルベ〉) 靴¥98,700(ストラスブルゴ〈エドワード グリーン〉)※すべて参考価格](https://precious.ismcdn.jp/mwimgs/6/2/720mw/img_62edc769069e5e6d4ef27d750d17962c232808.jpg)
ここでは昼と夜のフォーマルの着こなしについて紹介した。まずはフオーマル着用のルールを理解していただき、シーンにあったフォーマルの着こなしを楽しんでいただきたい。
※価格は2012年冬号掲載時の情報です。
- TEXT :
- 鷲尾顕司 エディター
- BY :
- MEN'S Precious2012年冬号「必読!フォーマルの強化書」より
- クレジット :
- 撮影/小池紀行(パイルドライバー)スタイリスト/梶谷早織 構成/鷲尾顕司(ViVid)