フォーマルウエアは、着用する場所や時間などで、様式やコーディネートのルールが決められている。少々規則が緩くなったといわれる現在であっても、いざ礼服を着用するとなると戸惑うものである。まして、正真正銘の礼服となると形や名称は想像できても、本当の意味での礼装は実感できないのではないか。「髙橋洋服店」には、創業以来受け継がれてきた真の礼服がある。

「古くから、プロトコール(外交儀礼)の厳しい、外務省の多くの顧客に礼服の注文を頂いていました」

「髙橋洋服店」のオーナー兼マスターカッターを務める高橋 純氏が、いかに同店が礼服づくりで鍛えられてきたかを回想する。学生時代から先代、先々代がつくってきた礼装に触れていただけでなく、高橋氏がイギリスで学んだ礼服の形とルールを、実際に着用する外交官の言葉に照らし合わせながら、「髙橋洋服店」は、世界に通用する礼服を形づくってきたのである。まさに、服づくり100年の歴史を超える、実践に裏打ちされた名士が愛用する礼服が「髙橋洋服店」の真髄である。

「必ず守るべきルールがあるからこそ、礼装として成立します」

とは、純氏が現在のやや自由な礼装に対する憂いの言葉。もう一度原点に遡り、本物の礼服を誂えるなら「髙橋洋服店」が間違いなく応えてくれる。 

モーニングコートは、「髙橋洋服店」の最も得意とする礼服。フォーマルウエアを仕立てる際、高橋氏がイメージするのは、起立して綺麗に見えること。普段のスーツづくりとは異なる、礼服ならではの視点だ。モーニングの着丈バランスは、すそがひざの高さと等しいのが美しい長さ。そこを基準に微妙な調整を加える。1987年に著した『恥をかかないフォーマルウェアー』は、顧客に配布した非売の礼装ガイド。後に『「黒」は日本の常識、世界の非常識』(小学館)の刊行につながった労作である。

●オーダーできるもの/燕尾服、モーニング、タキシード、ディレクターズスーツなど ●オーダー形式/フルオーダーのみ ●オーダ ーの仕方/生地選び、採寸、ディテールの相談。初めての注文では仮縫い2回 ●期間/タキシードは2か月。ディレクターズスーツ は1か月半 ●タキシード(ボウタイ、カマーバンド付き)
●オーダーできるもの/燕尾服、モーニング、タキシード、ディレクターズスーツなど ●オーダー形式/フルオーダーのみ ●オーダ ーの仕方/生地選び、採寸、ディテールの相談。初めての注文では仮縫い2回 ●期間/タキシードは2か月。ディレクターズスーツ は1か月半 ●タキシード(ボウタイ、カマーバンド付き)

■SHOP DATA
髙橋洋服店
住所:東京都中央区銀座4-3-9
タカハシクイーンズハウス3階 
TEL:03-3561-0505 
http://www.ginza-takahashi.co.jp

この記事の執筆者
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MEN'S Precious編集部 
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MEN'S Precious2012年冬号「紳士・名士のためのフォーマルウエアのお誂え指南より
名品の魅力を伝える「モノ語りマガジン」を手がける編集者集団です。メンズ・ラグジュアリーのモノ・コト・知識情報、服装のHow toや選ぶべきクルマ、味わうべき美食などの情報を提供します。
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クレジット :
撮影/篠原宏明 構成・文/矢部克已