バブアーと同じく、英国のカントリーライフを象徴する靴ブランドがトリッカーズだ。1829年にノーザンプトンで創業した世界屈指の老舗は、現在はチャールズ皇太子からロイヤルワラントを賜っている。そして彼も愛用する『カントリーライン』と呼ばれるこちらの代表作は、なんと言っても質実剛健なブーツだ。ダブルソールや肉厚のレザーに加え、コバに「ウエルト」という細革をかませることで、卓越した防水性と頑丈さを実現。どんな悪路にも負けない、まさしくカントリージェントルマンにふさわしい最強のブーツである。
ドレス、ルーム、カントリー……紳士の足元は常にトリッカーズ
1足だけなんて選べないカントリーブーツ!
しかし究極の実用性を求め誕生した猛々しいほどのゴツさは、トリッカーズに無二のファッション性を与えた。その丸みを帯びたトウや分厚いソールは、モードブランドが提案する細身パンツと最高のバランスだったのだ。そして'80年代ころからコム デ ギャルソンなど数多のモードブランドやショップがトリッカーズに別注モデルの製作を依頼。チャールズ皇太子が野山を駆けるための「田舎靴」は、バイヤー大注目の洗練された街ばき靴へと進化を遂げたのである。
古き伝統を尊びつつも、新しいムーブメントを生み出すエネルギーにあふれた国、英国。そのひとつの象徴こそ、このトリッカーズなのかもしれない。そして、そんなトリッカーズを認めたチャールズ皇太子の慧眼に、われわれは注目せざるを得ないのだ。
- TEXT :
- MEN'S Precious編集部
Faceboook へのリンク
Twitter へのリンク