昭和のノスタルジックが感じられる店内
「好きなものに囲まれていたい」と言うママの公家さんのセンスに溢れた店内は、昭和のおもちゃ箱のような雰囲気がある。
あちこちにアーティストの作品があり、宝探し感覚で探すのも楽しいかもしれない。
「ゴールデン街にある店のよう」と感じる人もいるようで、この空間に身を置くと昭和にタイムトリップした気分に浸れるかもしれない。
ウイグル、中東……珍しい世界の料理が味わえる
『アートスナック番狂せ』では毎日ではないが、手作りの料理を出している。シェフが数名おり、曜日ごとに変わる。曜日ごとにママが代わるスナックはあるが、シェフが変わるのはあまり聞いたことがない。
それぞれのシェフが得意料理を出すためメニューもバラエティに富み、パスタといったなじみのあるものから、インドの家庭料理、ウイグル料理といったちょっと想像がつかないものまで幅広い。
この日、腕を振るったシェフの山下氏は、単身ベルギーに渡り、現地のレストランで5年間修行していた。現在はケータリングサービスを立ち上げる準備をしながら、この店でウイグル料理を振る舞っている。
この日のメインディッシュをオーダーして、改めて乾杯。
好き嫌いのない宇野さんは、料理にお酒を合わせるタイプ。
「わりとなんでも飲めるタイプですが、1杯目は“とりあえずビール”かな。ビールならいろんな料理に合わせられますしね」
日替わりのお通しを口に運ぶと、メインディッシュへの期待が高まる。
しっかりとした味つけでビールが進む。
「前菜で野菜が摂れるのはうれしいですね」と、女性ならではの視点で宇野さんが言う。
さぁ、おまちかねのメインディッシュの登場だ。
この日の『中近東ベジプレート』は、ピタの上に野菜を使った4種類の惣菜がのせられている。エスニック料理が好きな彼女は、スナックで中東料理が出されたことに驚きつつ、さっそく箸をのばす。
「スナックで中東料理が食べられるなんて。しかもいろんな種類が味わえて楽しいですね」と、パクパク。見ていて気持ち良い食べっぷりだ。
杯を重ねてだいぶリラックスしたからか、「初めてのスナックに入るのは緊張する」と話していた宇野さんも、気づいた時には常連たちの会話に加わっていた。
宇野さんに今夜の感想を尋ねた。
「ここはドアが開いてて中の様子がわかるので、スナックビギナーにも入りやすいですよね。カラオケがないので、歌よりもおしゃべりをしたい私みたいな人にもいいかも」
おもしろいものや新しいものが好きで、仕事以外の話で盛り上がりたい人には楽しい店だろう。
ランチ営業をしているので、まずは昼に訪れて店の雰囲気を感じてみるのもいいかもしれない。荒木町でひと味違うスナックを探している御仁は訪れてはいかがだろうか。
【アートスナック番狂せ】
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アートスナック番狂せ TEL:非公表
住所:東京都新宿区荒木町3 ソシアルアラキビル1F
営業時間:12:00〜24:00
定休日:土曜・日曜・祝日
メニュー:チャージ500円(お通し付き)、生ビール、赤・白グラスワイン各500円、ハイボール、各種ドリンク500円〜、フード各1,000円
- TEXT :
- 津島千佳 ライター・エディター
- PHOTO :
- 黒石あみ