現在、英国において「ロイヤルワラント」の発行権を持つのは、エリザベス女王、エディンバラ公、チャールズ皇太子の3人だけ。その全員からそろってワラントを獲得――さらにいえば故エリザベス皇太后存命期には4つのワラントを得た数少ないブランドが、1894年設立の超老舗バブアーである。
カントリーライフを象徴するバブアー
軽くすっきりとしたバブアー「バーフィールド」
その理由は、雨をしのぎ体を温める、オイルドジャケットの便利さだけではないだろう。野山を駆け、狩猟やフライフィッシングに戯れる……。
バブアーとはただの道具でもファッションでもなく、英国人ならだれもが憧れる「カントリーライフ」の、まさに象徴。チャールズ皇太子やその家族がバブアーを着た姿は、きっと彼らに「英国に生まれた幸せ」を実感させてくれるのだ。この国で放送されるテレビドラマや映画を観れば、バブアーがいかにイギリス国民から愛されているかが、よくわかるだろう。
そんなバブアーが都会で着こなすお洒落アイテムとして今では大ブレイクを遂げている。ロンドンの店舗には若者が押し寄せ、街には細身スーツに名品ジャケット『ビューフォート』を合わせ、レンジローバーを駆るエグセクティブの姿も多い。これぞ名品が決して廃たれることなく、世紀を超えて愛される土壌を培った「ロイヤルワラント」の力か。ああ、日本にこんな、継承される服文化があるだろうか?バブアーのオイルのにおいを嗅ぐたびに、英国ファッションの懐の深さに思いを馳せるのだ。
※2011年春号取材時の情報です。
- TEXT :
- MEN'S Precious編集部
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