現在ブロードウェイで上演中の『キス・ミー・ケイト』で2度目のトニー賞受賞なるかどうか? 期待がかかるのが、2015年『王様と私』で主演女優賞を受賞したケリー・オハラ。7月には、その『王様と私』で来日して渡辺謙と再び共演することが決まっているが、その前にうれしいニュース。トニー賞発表直前の6月7日〜8日に、2日連続で、彼女の出演したメトロポリタン・オペラがTVでオンエアされるのだ。

2015年にトニー賞主演女優賞を受賞したケリー・オハラ©️Laura Marie Duncan

 7日が、ケリー・オハラのMET初出演作のレハール『メリー・ウィドウ』。8日が、昨年上演の、モーツァルト『コジ・ファン・トゥッテ』。いずれも、劇場中継用に撮影された「METライブビューイング」版だ。

『コジ・ファン・トゥッテ』の大きな幕がかかったメトロポリタン・オペラ・ハウス(筆者撮影)
劇場前の『コジ・ファン・トゥッテ』のボードビル。脇役ながらメイン・ヴィジュアルのオハラ。(筆者撮影)

どちらも華やかな印象の「恋バナ」で気楽に楽しめる

 まずは昨年の『コジ・ファン・トゥッテ』から。ブロードウェイで『アダムズ・ファミリー』を手がけたフェリム・マクダーモットによる新演出版で、ちょうど収録日の3月31日に現地で観ることができたのだが、18世紀末のナポリという元々の設定を1950年代のコニー・アイランドに移し替えてあり、遊園地やサイド・ショウの芸人たちの登場する舞台は、ノスタルジックな色合いも含め、まずは視覚的に楽しい。

『コジ・ファン・トゥッテ』より©️Marty Sohl/Metropolitan Opera

 恋の真情は続くのか続かないのかで哲学者と若者たちが賭けをする話で、大昔の恋愛談義的コメディとはいえ、女性の貞節を云々する内容に眉をひそめる部分がないではないが、そこは強引に、笑いと名曲に包んで乗り切る感じ。

 ケリー・オハラの役回りは、2組の若いカップルの仲をややこしくしようと画策するヘンなお姉さんで、物語をかき回す重要な存在。喜々としてこなす姿は怪演にして快演と言うべきか。

 彼女に指示を出してカップルたちの仲を裂こうとする哲学者を演じるクリストファー・モルトマンの、意地の悪いおじさんぶりと歌唱力にも注目だ。

 もう1本の2014年版『メリー・ウィドウ』も新演出。演出/振付はミュージカル『プロデューサーズ』他で知られるスーザン・ストロマンで、ここでもブロードウェイの諸作同様、楽しいショウに仕立てている。華やかなダンス・シーンも見どころのひとつで、ケリー・オハラもカン・カンの場面で活躍する。

『メリー・ウィドウ』より©️Ken Howard/Metropolitan Opera

 主役の未亡人を演じるのは、昨年ブロードウェイの『回転木馬』に出演していた大スター、ルネ・フレミング。そのフレミングとケリー・オハラをめぐる2つの入り組んだ恋模様が話の核だが、ハッピーエンドを迎えるのでご安心を。

 トニー賞授賞式に向けて気分を盛り上げる意味でも、観逃せない2本だ。

■オンエア日時:『メリー・ウィドウ』6月7日(金)午前11時〜/『コジ・ファン・トゥッテ』6月8日(土)午後2時15分〜
■WOWOW メトロポリタン・オペラ公式HP  https://www.wowow.co.jp/stage/met/

この記事の執筆者
ブロードウェイの劇場通いを始めて30年。オンのミュージカルは99.9%網羅。たまにウェスト・エンドへも。国内では宝塚歌劇、歌舞伎、文楽を楽しむ。 ミュージカル・ブログ「Misoppa's Band Wagon」(https://misoppa.wordpress.com/)公開中。 ERIS 音楽は一生かけて楽しもう(http://erismedia.jp/) で連載中。
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