時計に魅せられた男たちがたどりついた、究極の選択肢!腕時計は、ロマンだ!

ブルガリ『オクト フィニッシモ クロノグラフ GMT』

なんと厚さ6.9㎜という、世界で最も薄型のクロノグラフ。ドレスシャツに合わせたときに、その美しさは身をもって実感できる。●自動巻き ●チタンケース&ブレスレット ●ケース径/42㎜ ¥1,920,000(ブルガリ ジャパン)

天才的時計デザイナーだった、ジェラルド・ジェンタが残した、八角形と円の組み合わせのケース・デザインが、今日のブルガリのデザイナーであるファブリツィオ・ボナマッサによって、現代的にリファインされたこの時計は、よりシャープなものとなり、新たなマスターピースとしてよみがえった。この時計のケース・デザインは、110面にも及ぶ複雑な面の構成による素晴らしい原点があることにより、新たな未来があることを、教えてくれているような気がするのだ。(文・松山 猛)

カルティエ『タンク ルイ カルティエ』

ルイ・カルティエ自らがデザインした究極の時計は、平和な時代の到来を象徴した時計でもある。●クオーツ●18Kイエローゴールドケース×アリゲーターストラップ ●ケースサイズ/33.7×25.5mm (LMサイズ)¥1,070,000(カルティエ カスタマー サービスセンター)

僕が時計というものに興味を持ったきっかけのひとつが、このタンクと呼ばれる時計だった。1970年代の初めにフランス旅行から帰国した先輩の腕にあった、それまでに見たことがなかったその時計のデザインが新鮮だったものだ。この時計は〝カルティエ〟の三代目当主ルイ・カルティエが、第一次世界大戦に義勇軍として参加してくれた、アメリカの戦車部隊の将軍たちに、フランスのために戦ってくれた返礼として贈った時計をオリジナルとしていて、彼らの最新兵器である「タンク=戦車」を上から見下ろしたデザインなのだということを後に知り、ますます興味が湧いたものだった。(文・松山 猛)

モリッツ・グロスマン『ベヌー37』

ブランドの顔ともいえる定番『ベヌー』。実は小径サイズはもともと日本限定企画として開発されたもの。クラシックな装いに映える一本だ。●手巻き ●18Kローズゴールドケース×アリゲーターストラップ ●ケース径/37mm ¥3,200,000(モリッツ・グロスマン ブティック)

19世紀の半ば、ザクセン王国の時計師のひとりとして活躍し、また時計学校を設立し、ドレスデン近郊のグラスヒュッテの地を、アドルフ・ランゲとともにドイツ時計産業の拠点として成長させたのが、モリッツ・グロスマンだった。そして彼の名を冠した現代の時計として生まれた腕時計には、グロスマンの考案した機構や、ポケットウォッチ時代のスタイルが反映されているところに注目したい。手作業で磨き上げられる針の美しさは、まさに天下一品といえるだろう。ムーブメントの仕上げも素晴しく、手彫りの文字なども風格にあふれている。生まれながらのコレクターアイテムがこれだ。(文・松山 猛)

左/NATOストラップや宇宙飛行士仕様のストラップ、特製ブックレットなど付属品も、男心を搔き立てる! ●手巻き ●ステンレススティールケース&ブレスレット ●ケース径/42mm ¥550,000(オメガお客様センター)右/1940年代の魔都・カサブランカから着想を得てつくられた名作。●自動巻き ●ステンレススティールケース×カーフストラップ ●ケースサイズ/45×32mm ¥850,000(フランク ミュラー ウォッチランド東京)

左/オメガ『スピードマスター プロフェッショナル』

なんといってもこの時計は、NASAのミッションに採用された時計であり、人類が初めて月に降り立ったときに、アポロ11号のバズ・オルドリンの腕につけられていた時計だったという、素晴しい物語に彩られている。『ムーンウォッチ』という別名を持つこの時計のオリジナルは1957年につくられた。小型で高性能なレマニア社製のクロノグラフ・ムーブメントを心臓部に与えられ、たちまち〝オメガ〟のフラッグシップとなったのである。そしてそれ以来様々なバージョンが今もつくり続けられ、ロングセラーとして多くの時計ファンを魅了し続けている。(文・松山 猛)

右/フランク ミュラー 『カサブランカ』

機械式時計復興の1990年代に、その立役者のひとりとなったフランク・ミュラーという時計師を、多くの時計ファンが知るきっかけとなったのが、三次元立体のケース・デザインと、印象的なタリスマン数字の文字盤による、『トノウ カーベックス』と呼ばれる樽型のデザインの時計。たちまち人気を呼ぶようになり、そして若い時計ファンでも買えるようにと、従来貴金属だけだったケースの素材として、ステンレススティールを用いたケースによる時計をつくった。それがこの『カサブランカ』という時計だった。ボガートの映画を連想させて、旅へといざなう素敵な時計の誕生だったものだ。(文・松山 猛)

ヴァン クリーフ&アーペルの 『ミッドナイト プラネタリウム ウォッチ』

人間の一生を超えて輝き続ける小さな宇宙は、時計の領域を超えている! ●自動巻き ●ピンクゴールドケース×アリゲーターストラップ ●ケース径/44mm ¥23,000,000(ヴァン クリーフ&アーペル ル デスク)

複雑機構でしかも天体時計という理系的コンセプトを、どうしてこんなにも華麗な腕時計にできたのか。太陽の周囲を約88日で一周する水星から29年以上かかる土星までを太陽を中心に並べて惑星系をつくり、すべてがリアルタイムで公転する。ターコイズの地球をはじめ各惑星がプレシャスストーン製なので、見た目も麗しい。地球と太陽の位置関係から何月かも大体わかるし、24時間表示でざっくり現在時刻も読める。あらゆる時計を超えた太陽系タイマーは、時の意味を読みなおし文字盤の上に捉える。人間のロマンとは、つまりは神のスーパーリアリズムに等しいのだ。(文・並木浩一)

上/ムーブメントは72時間のパワーリザーブを備えた、P.9100/Rを採用。世界1000本限定モデル。●自動巻き ●チタンケース×カーフストラップ ●ケース径/47mm ¥1,900,000(オフィチーネ パネライ) 下/大陸部分には蓄光塗料「スーパールミノバ」が塗布。夜間に浮かび上がる様もまた見事だ。●自動巻き ●ステンレススティールケース×NATOストラップ ●ケース径/42mm ¥625,000(モンブラン コンタクトセンター)

上/パネライ『ルミノール レガッタクロノ フライバック』

財を成したら、ヨットレースに注ぎ込むのは男の性である。紅茶王サー・トーマス・リプトンもCNN創始者テッド・ターナーも吝嗇のそしりは受けないどころか、果てしない財産の流出を皆が賞賛した。勝っても名誉しか得られない誇らしい浪費の、最高のパートナーがこの時計である。スタート時間を予告し、その瞬間に全速力でラインを超える必要があるレースでは、分単位のカウントダウンが何より重要。その機能を60分まで拡張し、リコールや時間変更、ローカルルールにまで対応させた「無用の美」の究極。間違いなくヨットレースに魅せられた者がつくった時計である。(文・並木浩一)

下/モンブラン『モンブラン1858 ジオスフェール』

赤道で2つ割りにした地球が文字盤上で自転方向に回り、世界中の現在時刻を一望するこの時計は、従来の〝ワールドタイマー〟という言葉では足りない格上のスケールを持つ。いちばん便利なシチュエーションは国際線ではなく、地球周回飛行中の宇宙船の中かもしれない。もっと使いこなせるのは、北極・南極の上空におわす神々に違いないだろう。実は地球にモンブランを含むセブン・サミッツの位置をマーキングしてあるので、エヴェレストやキリマンジャロにもまだ登っていないことを、ときどき思い出せる。大志を抱き、天下を獲りにいく男には圧倒的にふさわしい腕時計だ。(文・並木浩一)

IWC『ビッグ・パイロット・ウォッチ・ パーペチュアル・ カレンダー・スピットファイア

これは12時位置に北半球と南半球の月の満ち欠けを正確に表示。しかもその精度は577.5年に1日の誤差しか生じない。まさに宇宙をそのまま写し取ったような完璧さなのだ。●自動巻き ●ブロンズケース×カーフストラップ ●ケース径/46.2mm ※世界限定250本  ¥3,180,000(IWC)

時計の中でいちばん好きなのは、4年に一度の閏年の月・日・曜日までを自動的に表示する、永久カレンダー=パーペチュアルカレンダーである。人類が時間の存在に初めて気づいた太古の時代、時間は太陽や月や星の動きで知るもので、すなわち宇宙が時計であった。だから閏年まで完璧に表示するパーペチュアルカレンダーは、宇宙をそのまま写し取ったような感じがする。そんなロマンティックなところが好きなのだ。そしてそんなパーペチュアルカレンダーには、月の満ち欠けを表すムーンフェイズがあるのが、よりロマンティック。私にとっての理想なのだ。(文・福田 豊)

左/アイコンの「アウトサイズデイト」を12時位置に装備。また、3時と9時のインダイヤルがダイヤル中心より少し下がっているのが独特。それらのバランスが絶妙で美しいのだ。●自動巻き ●18Kハニーゴールドケース×アリゲーターストラップ ●ケース径38.5mm ※世界限定100本¥9,330,000(A.ランゲ&ゾーネ) 右/パテック フィリップは世界で初めて腕時計にパーペチュアルカレンダーを搭載した超複雑機構の名手。これはその末裔となる名作だ。●自動巻き ●18Kイエローゴールドケース×アリゲーターストラップ ●ケース/39mm ¥9,270,000(パテック フィリップ ジャパン・インフォメーションセンター)

左/A.ランゲ & ゾーネ『ランゲマティック・パーペチュアル ・ハニーゴールド』

パーペチュアルカレンダーは月・日・曜日と、リープイヤー=閏年、ムーンフェイズを、3つか4つのインダイヤルで表示するのが理想。そして重要なのがインダイヤルの位置だ。時計づくりでは小さめのムーブメントを搭載するのはよくあること。それでも中2針や中3針なら不都合はない。ところがパーペチュアルカレンダーではインダイヤルが中央に寄ってしまう。インダイヤルが寄って、外側が広く空いてしまうと、緊張感がなく貧相な感じがする。せっかくの高価なパーペチュアルカレンダーが台無しだ。だからインダイヤルのバランスのよいのが絶対条件。ちなみに、クロノグラフやスモールセコンドも同じ。それが私の時計選びの絶対基準だ。(文・福田 豊)

右/パテック フィリップ『5327永久カレンダー』

パーペチュアルカレンダーはトゥールビヨンやミニッツリピーターと並ぶ超複雑機構。当然、高価。希少性も高い。それがパーペチュアルカレンダーの、まず第一の魅力だ。しかしトゥールビヨンやミニッツリピーターのような華やかさはない。だから時計好きでないと気づきにくい。つまり通好みで、そこがもうひとつの魅力だ。また、パーペチュアルカレンダーの持ち主にとっての大きな愉しみが4年に一度「2月29日」を表示するのを見ること。そして来年はその4年に一度の閏年だ。ということで、パーペチュアルカレンダーを手に入れるのはいかがだろう。東京オリンピックの思い出としてもおすすめだ。(文・福田 豊)

※掲載した商品の価格は、すべて税抜きです。
<出典>
メンズプレシャス夏号 腕時計は男の「ロマン」「スタイル」だ!
【内容紹介】腕時計は「ロマン」「スタイル」だ!/男の装いに美しい時計が必要な7つの理由/教えて! マーク・チョウの「時計術」/名品時計録2019/「クラシコ80’s 」がやってきた!
2019年6月6日発売 ¥1,200(税込)
この記事の執筆者
名品の魅力を伝える「モノ語りマガジン」を手がける編集者集団です。メンズ・ラグジュアリーのモノ・コト・知識情報、服装のHow toや選ぶべきクルマ、味わうべき美食などの情報を提供します。
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クレジット :
撮影/小池紀行、池田 敦(パイルドライバー) スタイリスト/河又雅俊 構成/山下英介(本誌)