「シーマスター アクアテラ GMT ワールドタイマー マスター クロノメーター」。長い名前の頭から尻尾まで、全部が魅力だ。GMTでワールドタイマーなのに「シーマスター アクアテラ」の防水性能があり、並外れた耐磁性と精度がスイスの公的機関METASに認定された、オメガの腕時計。かつて映画「スカイフォール」でボンドウォッチにもなった「シーマスター アクアテラ」の、タフで都会的というアンビバレンツな魅力を、極大化させた。海に着けていくべき腕時計=それも海外=の、ベストでマストの候補である。数年前に、この時計のプラチナ製限定版がリリースされた時には、そのハイスペックに驚いた。レギュラーモデルとして、スティール版もラインアップされた今年は、自分の物欲という現実と向き合わなければならない人も少なくないだろう。
小学生ですらスマホを持っている現代、「いま何時ですか」と聞かれることは少なくなった。しかし小生にはそのTPOが、いまだにある。ボディボードを始めて以来、ハワイには必ずボードを携えていく。ワイキキビーチをカハラ方向に向かい、カピオラニ公園に当たったあたりの“クイーンズ・サーフ”の波に乗るのだ。
2019年オメガの新作は、海での務めを果たす頼もしい相棒だ!
「シーマスター アクアテラ GMT ワールドタイマー マスター クロノメーター」
女王様がお楽しみになる波を老若男女でシェアするスポットで波を待っていると、若者や子供の波乗り、レディたちも訊いてくる。“What time is it?”。彼らは手首に何も着けていないか、流れ止めリーシュコードの“リスト”をベルクロで留めている。小生は、クイーンズ・サーフではタイムキーパーになっているのだ。紳士の役目は、どこでも腕時計をつけていること。大人の男には、腕時計が必要だ。
「アクアテラ」の一族であるこの腕時計には、150mの防水性能がある。いわゆる”サーフィン用ウォッチ”ですら大抵100m防水なので、このスペックには安心感がある。ブルーのラバーストラップ仕様はひたすらスポーティで、ボードを傷つける心配もない。一方で、24時間リングを備え、世界の現在時刻が一目で見渡せるワールドタイマーだ。グレード5チタンにレーザーで描いた地球も美しい。
旅先や仕事で役立つワールドタイマー
海の時計の、紛れもない一生もの。空港のラウンジ、一流ホテルやレストランでもスマートだ。仕事の都合でバカンスに出かけられないような人は、ボンド流に“Quantum of Solace”=「慰めの報酬」にするのもいいだろう。SSモデルの価格は、フルサービスキャリアのビジネスクラスでヨーロッパのビーチリゾートを往復してくる運賃ぐらいだ。
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- TEXT :
- 並木浩一 時計ジャーナリスト