ニック・ウェストが初めてブルーノート東京のステージに登場したのは2014年2月。ファースト・アルバム『Just In The Nik Of Time』が大好評を得ている中での初来日だった。20代前半という若さだったが、数々の有名アーティストとの共演を重ねていたことが知られ、日本の音楽ファンも目を向ける存在だったため、すでに客席は満員。パープルのヘアアレンジをした強烈におしゃれなルックスと、4弦ベースを図太い音で弾きまくる演奏は圧巻。MCでは、最もリスペクトするアーティストのひとり、プリンスとの初共演のときのエピソードを嬉しそうに披露。その親しみやすさでも、日本の観客の心をつかんだのだった。

2014年2月に初めてブルーノート東京のステージに登場したニック・ウェスト 撮影 : 佐藤 拓央
2014年2月に初めてブルーノート東京のステージに登場したニック・ウェスト 撮影 : 佐藤 拓央

2度目のブルーノート東京への登場は、プリンス急逝からわずか2ヶ月後の2016年6月。ソウルフル、かつファンキーな極太ベースの演奏力をさらにグレードアップさせたニックは、帯同したメンバーたちとともに、熱演をくりひろげた。ネオ・ソウルの女王、エリカ・バドゥにも通じる、メロウで傑出した表現力をもつ歌のスタイルは、さらに磨きがかかった印象だった。そして、この公演の最後の一曲はプリンスの「kiss」。総立ちになって踊る場内。その夜のニックのステージを、プリンスへのトリビュートとして堪能したファンも多かったという。

さらなる躍進を遂げたその姿を、最新ステージを見届けたい

2016年6月に2度目の来日をしたニック・ウェスト 撮影 : 古賀 恒雄
2016年6月に2度目の来日をしたニック・ウェスト 撮影 : 古賀 恒雄

これほどまでにオーデェンスを魅了するニック・ウェストは、アリゾナ州フェニックスの出身。ギタリストである父親の影響をうけて13歳でギターを手にするが、高校生のときからベースを演奏し始める。最初のバンド活動は、なんと家族バンドたったという。そうした音楽一家に生まれ育った彼女の唯一無二のセンスは、その頃から構築されてきたに違いない。

間近にせまった3度目のブルーノート東京のライブは、7月24日、25日の2夜連続。グルーヴするベース、聴くものを虜にする魅惑的な歌声が、3年ぶりに帰ってくる。

2017年リリースの楽曲『Purple Unicorn』も好評だったが、それに続くアルバムを、カルロス・サンタナやラリー・グラハムを迎えて製作中とか。ステップアップを続けるニック・ウェストの今を、目と耳で確かめずにいられない。

ニック・ウェスト 

■スケジュール:7月24日(水)、25日(木)
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この記事の執筆者
音楽情報誌や新聞の記事・編集を手がけるプロダクションを経てフリーに。アウトドア雑誌、週刊誌、婦人雑誌、ライフスタイル誌などの記者・インタビュアー・ライター、単行本の編集サポートなどにたずさわる。近年ではレストラン取材やエンターテイメントの情報発信の記事なども担当し、ジャンルを問わないマルチなライターを実践する。