6月11日~14日まで、フィレンツェの歴史的な要塞跡地として知られるフォルテッツァ・ダバッソで、第96回ピッティ・ウォモが開催された。真夏日が続いた4日間、その猛暑のせいか、来場者数が昨年に比べて減少したように見えた。しかし、ピッティ事務局の発表では、昨年とほぼ同様の30,000人を超える総来場者数。日本からの来場者数は、いつもどおりの第2位、ちなみに1位は今回もドイツであった。

 会場を回っていると、特に目立ったのが白のジャケットやスーツに身を包んだ出展者やバイヤーたち。昨年(第94回)も白のアイテムは注目されていたが、来年はいよいよ「ホワイト」が主役になりそうだ。

さわやかさを印象付ける白アイテムが来季のトレンド

ブルネロ クチネリ

白のリネンを使ったブルネロ クチネリのホワイトジャケット
白のリネンを使ったブルネロ クチネリのホワイトジャケット

 クリーンな白、品格あふれる淡い色合いを使ったブランドといえば、ラグジュアリーなアイテムをそろえる“ブルネロ クチネリ”である。今回、テーマのひとつとなったのが「ハイコントラスト」。色や素材、あるいは柄との組み合わせをはっきりと対比してみせるコーディネートを提案。それと同時に「ホワイト」を積極的に打ち出してきた。

 白のリネンを使ったシングルのジャケットは、“ブルネロ クチネリ”らしく、体に沿った若々しいラインを描く。ヘリンボーンの織り柄によって独特なネップ感が表現され、味のある表情もつくり出す。まさに爽やかでお洒落。街での着こなしや、リゾートシーンにうってつけの清涼感あるジャケットだ。ジャケットの白に対して、ネイビーストライプのシャツにネイビーのソリッドタイ、そしてブルーデニムのコーディネートで粋な大人を演出する。

タリアトーレ

大きなラペルが印象的なタリアトーレのダブルジャケット
大きなラペルが印象的なタリアトーレのダブルジャケット

 もう一方は、日本に多くのファンを持つ“タリアトーレ”。毎シーズン、多彩なコレクションを展開するがゆえ、人気が高いブランドだ。

 注目は、大きなラペルをデザインし、肩線を後ろに振り、ややリラックスした着用感のモデル『モンテカルロ』。ホワイトを基調としたコットン&リネンの清涼感ある素材に、ネイビーとエンジのストライプを配したダブルジャケットが絶品。アクセントにメタルボタンを付けることで、トラッドな雰囲気をかもし出す。

 真っ白の生地で、思いっきりキザを気取るのもいいが、ストライプを配したデザインで、よりシャープでクリーンな表情をつくり出す“タリアトーレ”のジャケットは、写真のようにニットに合わせて、カジュアルな着こなしも楽しめる。

 ホワイトジャケットは、夏を彩るクラシックスタイルの王道である。紳士の風格と爽やかさを「白の世界」で味わってみてはどうだろうか。

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この記事の執筆者
ヴィットリオ矢部のニックネームを持つ本誌エグゼクティブファッションエディター矢部克已。ファション、グルメ、アートなどすべてに精通する当代きってのイタリア快楽主義者。イタリア在住の経験を生かし、現地の工房やテーラー取材をはじめ、大学でイタリアファッションの講師を勤めるなど活躍は多岐にわたる。 “ヴィスコンティ”のペンを愛用。Twitterでは毎年開催されるピッティ・ウォモのレポートを配信。合わせてチェックされたし!
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