ミュシャの作品と彼が見た景色を求めて、チェコをめぐる旅の第2回。今回は、ヨーロッパ屈指の美しい都市、プラハを歩きます。

旅の始まりは古都プラハで千年の歴史に心酔う

中世からの街並みが残る街で重なり合う様式美に足を止めて

アンティークショップで見つけた18世紀前半ヴィードマイヤースタイルのカップ&ソーサー。手前から/6,000チェココルナ・3,000チェココルナ「ANTIQUE」Krizovnicka 1,Praha 1 
迷路のような道を散策するのが楽しい。
伝統的なお菓子をモダンに仕上げたおしゃれなケーキショップも。「IF CAFÉ」

千年の歴史に彩られた美しい街並みと、豊かな芸術文化に魅せられて、何度も訪れる人が後を絶たないプラハ。路地裏の石畳の道をただ歩くだけでも、ワクワクするような発見があるけれど、いろんな楽しみ方ができる街なので、何度目かのプラハならぜひテーマを絞って歩いてみたい。

例えば多様な建築様式。古くはロマネスクからゴシック、バロック、近代ではキュビズムまで、中世以来の建物が戦争の大きな災禍も受けず、今も使われていることに感動する。アール・ヌーヴォーのミュシャの作品も、ゴシック教会のステンドグラスを彩っているのが興味深い。

「市民会館」のカフェはミュシャが内装のデザインを手がけた。
「市民会館」のカフェには優美なアール・ヌーヴォーの装飾が施されて。
プラハ城内「聖ヴィート大聖堂」にあるミュシャが描いたステンドグラス「聖キリルと聖メドディウス」。線画の画家らしい明瞭なタッチの人物画がゴシック建築の中で異彩を放って。

また本格的コンサートホールやオペラ劇場がこれほどそろっている街はほかにない。偉大な作曲家たちが、実際に使っていた当時の風情が感じられるのだ。例えば「エステート劇場」。モーツァルト自身が指揮をした『ドン・ジョヴァンニ』の初演もここで行われた。宝石箱のように美しく、気品に満ちた劇場ではタイムスリップしたような感覚に。プラハではやはり古典を味わい尽くしたい! 

モーツァルトが愛した「エステート劇場」。モーツァルトの時代の内装をそのままに残した美しい劇場。840席と小規模だけれど、貴族が造っただけに、細部まで優雅なつくりでうっとり。バルコニー席からシャンデリアに照らされたほの暗い劇場内を見つめていると、隣の席から貴婦人たちの噂話が聞こえてくるよう。

そしてプラハから足を延ばすなら、ミュシャが晩年のアトリエとして住んでいた古城のあるズビロフへ。ホテルやレストランも併設されて、ゆっくり楽しめる。

ミュシャが晩年の大作『スラブ叙事詩』を描くため、家族とともに住んだ「ズビロフ城」。モデルとなったのは村の劇団員たち。地元の人々との温かな交流や、美しいボヘミアの森がミュシャの心を癒やした。
天井からの自然光と広い空間が必要で、大きなホールをアトリエとして使用した。  
現在はホテルとレストランがあり、ミュシャが暮らした部屋にも宿泊可能。

ここにも寄り道! ボヘミアン・ガラスを求めて「モーゼル」へ

「Moser Sales Gallery」 Na P̌ríkopě 12,11000 Praha 1

器好きの大人の女性なら、やはりボヘミアン・ガラスの名店を訪ねてみたいもの。チェコの高級グラスメーカー「モーゼル」は、1857年創業の老舗。すべて熟練の職人によるハンドメイドで、貴族に愛された優雅で精緻な彫刻と、宝石のようなカラークリスタルの美しさは格別。プラハのメインショップは貴族の館のような内装で、必見!

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チェコの旅シリーズ

PHOTO :
篠 あゆみ
COOPERATION :
チェコ政府観光局
EDIT&WRITING :
藤田由美、古里典子(Precious)