ミュシャの作品と彼が見た景色を求めて、チェコをめぐる旅の最終第4回。今回は、ブルノからさらに南へ向かい、国境近くの街・レドニツェ&ヴァルチツェとミクロフを歩きます。
国境近くまで足を延ばし「南モラヴィア州」で、ワインと美しい景観に癒やされる
ワインの試飲を楽しみ世界遺産の景観でのんびり「レドニツェ&ヴァルチツェ」
![野生的な森の風情を残しながら、美しく整えられているのが心地よくて、ただ歩いているだけでもリラックスできるレドニツェ城の庭園。](https://precious.ismcdn.jp/mwimgs/e/0/720mw/img_e0ddb5aab6d24126006468ea0760f6fc294290.jpg)
ブルノから南へ。南モラヴィア州は最近評価の高いチェコワインの産地。気候も温暖で、なだらかな丘陵地いっぱいにぶどう畑が広がる景色は壮観! この風光明媚な土地を求めて、領土にしてしまったのがリヒテンシュタイン家である。ふたつの城と広大な庭園をもつこの地域は世界遺産登録され、お城見学に興味がなくとも行ってみる価値がある。というのもレドニツェ城は内装が美しく、庭園が素晴らしいこと。特に庭園は人為的に造られた庭のなかでは世界一の広さを誇り、ユネスコの世界遺産に登録されている。さらに、ヴァルチツェ城には国立ワインセンターがあり、格付けワインが楽しめるからだ!
リヒテンシュタイン家の居城、レドニツェ&ヴァルチツェ城
![南国リゾートを思わせるレドニツェの温室。](https://precious.ismcdn.jp/mwimgs/8/c/228mw/img_8cb2aff60dc4cba2dda2a2c40064a59d229209.jpg)
![リヒテンシュタイン家は美術品の目利きとして有名。贅を極める内装は控えめで、洗練されているので、特に美しいレドニツェ城の住居部分は必見。](https://precious.ismcdn.jp/mwimgs/3/a/228mw/img_3ae6c67bed6d5401f27bd5a14bf2953a212879.jpg)
![ヴァルチツェ城の地下には国立のワインセンターがあり、毎年チェコワインの格付けが行われ、150種類の美味しいワインが試飲できる。](https://precious.ismcdn.jp/mwimgs/9/b/228mw/img_9bb9b92a9c868d8c1acbf7b270eedff5149370.jpg)
ハプスブルク帝国が崩壊し、チェコスロバキアが独立するまで、現在のチェコにも領土を広げていた貴族、リヒテンシュタイン家。この美しい南モラヴィアではヴァルチツェ城をふだんの住まいに、レドニツェ城は夏の別荘としていた。
ミュシャが青年時代を過ごした、美しい丘のある国境の街「ミクロフ」
![ミクロフの人々の心の支えでもある「聖なる丘」。キリスト教が伝わる前からここで踊り、祈りを捧げていた。20分ほどで登ることができる頂上からは、オーストリアとの国境も、街の全貌も見渡せる。](https://precious.ismcdn.jp/mwimgs/d/6/720mw/img_d6bbbe5c5e64a3b618fa7080aa740d6f253157.jpg)
そして旅の終わりを締めくくるのはミクロフ。ミュシャが肖像画を描いて、初めて絵で生計を立てた街だ。ぶどう畑を眼下に眺め、小高い丘にパステルカラーの家が並ぶ。丘の上からオーストリアとの国境を望むと、その先はもうウィーンだ。
プラハに馥郁(ふくいく)たる文化があるなら、ここには豊かな土地の恵みがある。大人の女性には、こんなふうにゆるやかな時間が必要だ。チェコの旅はそんな思いに気づかせてくれる。
ミュシャの住居跡がレストラン&ホテルに
![オレンジ色の屋根とパステルカラーの家が並ぶ愛らしい街並み。](https://precious.ismcdn.jp/mwimgs/7/5/228mw/img_756ac83ebf402d693b6ba4a2024a1702155693.jpg)
![ミュシャが住んでいた家は現在「タンズベルク」というレストラン付きのホテルに。](https://precious.ismcdn.jp/mwimgs/2/d/228mw/img_2d1f26f7fc767676842cc31b28b594ce156567.jpg)
![ミクロフにはかつてユダヤ人が多く暮らしていたので、レストランではユダヤ料理も楽しめる。素朴な豆類や、鴨のパテ、山羊のチーズなど、どれも優しい味。](https://precious.ismcdn.jp/mwimgs/4/d/228mw/img_4d83e7f76ebc2c52d80176ce27c8397a164492.jpg)
ミクロフは青年時代のミュシャがウィーンで修業したのちに暮らした街。ここで裕福なパトロンに出会い、画家としての第1歩を踏み出した。美しい眺望に未来への明るい希望を見出していたのだろう。
注目のワイナリー「ソンベルク」にも立ち寄って!
![「SONBERK Winery」 Sonberk 393 691 27 Popice。左から/ソンベルク(=日の当たる丘)という地名どおりの丘陵地に広がるワイン畑、人気ナンバーワンの「リースリング VOC 2017」320チェココルナ。試飲は50ml 30チェココルナから。](https://precious.ismcdn.jp/mwimgs/8/2/720mw/img_825e50b82984ea5d6860e4666c154502244494.jpg)
2003年創業というまだ新しいワイナリーでありながら、世界のさまざまな賞を総なめにして、注目されているのが「ソンベルク」。ミクロフにも近いので、ワイン好きならぜひ足を延ばしたい。
45ヘクタールの広大な畑では、生物多様性を維持するために、ぶどうの間に他の植物も植えられており、アプリコットジャムや蜂蜜などもつくられている。湖の奥に見えるのはワインの名前にもある「パーラバ」の丘。その先はもうミクロフだ。
ここにも寄り道! 世界文化遺産にも指定された藍染めの工房へ
![「ストラージュニツキー・モドロティスク」J.Skácela 1547 696 62 Strážnice](https://precious.ismcdn.jp/mwimgs/8/7/720mw/img_87deb3e5dc48afd3ec8a0dd99356a90c319282.jpg)
伝統的な手仕事の温もりを味わいたいなら、藍染めのアトリエを訪ねたい。版木に彫った伝統的なモチーフをていねいにプリントして何度も染色を重ねていく。併設のショップではテーブルクロスなども購入できる。ブルノからは、車で1時間強、電車で2時間弱。
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チェコの旅シリーズ
- 1:名画が生まれた街をたどる!「ミュシャ」をめぐるチェコの旅【プロローグ】
- 2:名画が生まれた街をたどる!「ミュシャ」をめぐるチェコの旅【プラハ編】
- 3:名画が生まれた街をたどる!「ミュシャ」をめぐるチェコの旅【ブルノ編】
- PHOTO :
- 篠 あゆみ
- COOPERATION :
- チェコ政府観光局
- EDIT&WRITING :
- 藤田由美、古里典子(Precious)