いま深刻な環境問題に、プラスチックによる海洋汚染がある。目に見えるサイズのペットボトルやレジ袋だけでなく、砂つぶ程度の微小なマイクロプラスチックも海洋生物の生態系を脅かす。魚食する人間にも、その災禍がふりかかってくる。問題の解決に、積極的に関わっていこうとしているのが、オリスである。ダイバーズのコレクションに登場した新作「アクイス クリーンオーシャン リミテッドエディション」が、その象徴的かつ実践的なモデルだ。

 数年前から海洋環境保全活動に積極的に協力してきたオリス。この問題に関しての新パートナーは“パシフィック・ガベージ・スクリーニング”。建築家、科学者らによる非営利組織は、世界の海からプラスチックを一掃するため、海水のプラスチック類を濾過するエコで巨大な構造物の実証実験を行っている。普及すれば問題解決に大きく寄与するプロジェクトを支援するためのリミテッドモデルとして誕生した。

深刻な海洋汚染に取り組むオリスが表現する海への愛

アクイス クリーンオーシャン リミテッドエディション

海をイメージさせるブルーのグラデーションが印象的なダイヤルに、セラミック製の逆回転防止ベゼル。定評あるタフなダイバーズをベースにしたスペシャルモデルだ。●自動巻き ●ステンレススティール ●ケース径39.50mm ●SS製ブレスレット ●防水300m ¥260,000 ※税抜価格、世界限定2,000本
リサイクルPETを素材にしたメダルがケースバックに。どのような模様が浮かび上がるかは偶然によるが、計算したかのような見事なマーブリングを見せ、同じものは絶対に存在しない。

 何より秀逸なアイデアは、そのケースバックである。「リサイクルPET製のメダル」をはめ込んであるのだ。問題の元凶を示しながら解決の希望を象徴するメダルは、素材のカラフルな色が混じり合い、ひとつとして同じものがない。声高に言い立てるのではなく、デザインがメッセージを伝えるのである。ベースの「アクイス」はそもそも、高性能な機械式ダイバーズウォッチだ。最先端のセラミック製ベゼルを装備し、防水性能も300メートルまで高めている。最近のオリスはダイヤル色の評価が高く、このモデルのグラデーションをかけたブルーも絶品。腕時計に込めた固有のテーマも、青色に透けて見える。

限定モデルが収められているスペシャルボックスは、リサイクルプラスチックと“藻”を原料にしているので、どこまでも環境に配慮する徹底ぶりだ。

アクイス グレートバリアリーフ リミテッドエディションⅢ

猛暑による白化の脅威に晒されている世界最大のサンゴ礁の再生に向けた“グレートバリアリーフ・サンゴ礁保護基金”を支援するモデルの第3弾も、スペシャルボックス入りで同時に発売される。●自動巻き ●ステンレススティール ●ケース径43.50mm ●SS製ブレスレット ●防水300m ¥280,000 ※税抜価格、世界限定2,000本
南半球のオーストラリアに位置するグレートバリアリーフを象徴するように、サンゴとサザンクロス(南十字星)のレリーフを刻んだスペシャルモデルだけのケースバックだ。

 小生は20代から30代にかけての10年間、ほぼ全ての週末は海に出ていた。だからこそ言うけれど、海が好きという人間の多くが、海を汚すことに無頓着である。スクリューに絡みそうな浮遊物には散々な悪態をつく一方で、タバコの吸い殻を海に投げ捨てるのはあたりまえ。いまでこそ電子タバコになって状況は変わっただろうが、ポロシャツの裾からライターを入れて強風下でも火をつける技は、新米ヨット乗りの必修事項だった。投げ捨てられたタバコのフィルターもプラスチック繊維であることなど、知りもしなかった。悔いるのは、早い方がいい。

看過できない世界中のゴミが流れ着くゴミベルト

 海のない国スイスで100年以上の時を超えた時計ブランドが、海のことを本気で考えている。海洋国の人間としてエシカルな姿勢に敬意を持ち、共感もする。海のことを大切に思うのなら、ダイバーズウォッチはこのようなモデルを選ぶべきだ。「アクイス クリーンオーシャン リミテッドエディション」は、今年の有力候補なのである。

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この記事の執筆者
桐蔭横浜大学教授、博士(学術)、京都造形芸術大学大学院博士課程修了。著書『腕時計一生もの』(光文社)、『腕時計のこだわり』(ソフトバンク新書)がある。早稲田大学エクステンションセンター八丁堀校・学習院さくらアカデミーでは、一般受講可能な時計の文化論講座を開講。