「道具」としての必然性が薄まった現代だからこそ、男の装いを完成させるキーパーツとしての時計は、改めてその重要性を増している。敢えて言おう。美しくなければ時計などつける必要がないのだ!ここでは玄人はだしの時計知識を誇るスタイリスト、櫻井賢之氏に自身が認めた美しい時計と、そのスタイリング術を伝授していただいた。
男の裝いに美しい時計が必要な理由
黒の装いに男としての高い格調を!パテック フィリップ『ゴールデン・エリプス』
![リネンのサファリジャケットをはじめ、全身をブラックで統一。美しい楕円(エリプス)の輪郭を浮かび上がらせるように。時計●自動巻き ●18Kローズゴールドケース×アリゲーターストラップ ●ケースサイズ/34.5×39.5mm ¥3,360,000 (パテック フィリップ ジャパン・インフォメーションセンター)ジャケット¥296,000~・ニット¥120,000・スカーフ¥46,000 (ラルフ ローレン〈ラルフ ローレン パープル レーベル〉)](https://precious.ismcdn.jp/mwimgs/5/f/720mw/img_5f6c6f1974cca604fbf46857cfa2a0fd117880.jpg)
このブランドにはいくつもの名品があるが、『ゴールデン・エリプス』は最もアバンギャルドな一本なのでは? 黄金比のオーバルケースは言葉に尽くしがたいオーラと存在感を放つが、ひとたびクラシックスーツに合わせるとしっくりなじむ。その薄さか、普遍的美しさゆえか、装いがシンプルであればあるほど、個性を際立たせてくれるだろう。
ジャケットスタイルに軽妙さを。!ルイ・ヴィトンの 『タンブール ホライゾン ホワイトセラミック』
![便利なだけのコネクテッドウォッチではない。カスタマイズ可能なダイヤル表示や、自分で簡単に付け替えできるストラップなど、自分らしさを表現するための様々な手段が楽しめるツールなのだ。時計●ホワイトセラミックケース×アリゲーターストラップ ●ケース径/42.9mm ¥543,000 (ルイ・ヴィトンクライアントサービス)ジャケット¥391,000 (予定価格)・シャツ¥199,000 (ルイ・ヴィトン クライアントサービス)](https://precious.ismcdn.jp/mwimgs/7/f/720mw/img_7fc30a6468aefe8239f06c8cbd2fe45a157007.jpg)
ダイバーシティ(多様性)。今やルイ・ヴィトンの全プロダクトに共通している時代感が投影された、ラグジュアリーでストリートな一本だ。定番をビッグシルエットに落とし込んだ紺ブレに、パジャマシャツを合わせて、白のコネクテッドウォッチをチョイスすれば、2019年版大人のマリンルックの完成だ。
ジーンズスタイルにエレガンスを!エルメス『カレ アッシュ』
![名品スカーフ『カレ』のように、美しいスクエア型のケースを特徴とするモデル。ヴィンテージデニムと白いTシャツ、そしてスカーフという虚飾を削ぎ落としたスタイルでこそ、その美しさを際立たせる。時計●自動巻き ●ステンレススティールケース×カーフストラップ ●ケースサイズ/38×38mm ¥820,000 (エルメスジャポン)Tシャツ¥42,000・スカーフ¥20,000 (エルメスジャポン) デニム¥138,000 (ベルベルジン〈リーバイス〉)](https://precious.ismcdn.jp/mwimgs/d/4/720mw/img_d4294bf88e48448534b4af57fe0b09d5212241.jpg)
『美しい製品には機能が伴っていなければ』というメゾンのフィロソフィーは、時計づくりにおいてもブレることはない。美しく調和したインデックス、コックピットを感じさせるギョーシェ、職人技術の結晶ともいえるベルトの品質……。サラッと首に巻く同名のスカーフのように、スーツからデニムまでコーディネートを選ばない存在感がある。
リラックススタイルに気高さを!オーデマ ピゲ『CODE 11.59バイ オーデマ ピゲ・クロノグラフ』
![かつてないラウンドボリュームに魚眼レンズのような風防、多重構造のケースデザインなど、2019年のSIHHで最も話題をさらった一本。カシミヤジャージー製ニットのセットアップを合わせ、全身をネイビーで統一し、知的でスポーティなリラックススタイルを楽しみたい。時計●自動巻き ●18Kホワイトゴールドケース×アリゲーターストラップ ●ケース径/41mm ¥4,450,000 (オーデマピゲ ジャパン)ニット¥198,000 (ロロ・ピアーナ銀座並木通り本店) その他/私物](https://precious.ismcdn.jp/mwimgs/3/f/720mw/img_3ff4cb6ddb48900c1cc95f1857b6881f108277.jpg)
「常に時計業界の革命児とも言われてきたオーデマ ピゲから、26年ぶりの新作が登場。それはひと言で言えば、コンテンポラリークラシック。クラシックの再解釈。つまり時計デザインの最進化形ともいえる。オーソドックスだけど、どこかアヴァンギャルド。現代のファッションキーワードにも合致する。マニファクチュールメゾンだからこそできる挑戦だと思う。最上級にして革新的、カシミヤの普遍的ジャージーセットアップを選ぶ人物像が目に浮かぶ」
いつものスーツスタイルにモダンさを!カルティエ『サントス ドゥ カルティエスケルトン』
![若々しい躍動感と落ち着いた知性を併せ持つ唯一無二のスケルトンウォッチは、意外にもスーツスタイルに違和感なくなじむ。時計●手巻き ●スティールケース×アリゲーターストラップ※交換可能なストラップ2本付き ●ケースサイズ/47.5×39.8mm ¥2,750,000 (カルティエ カスタマー サービスセンター)ジャケット¥321,000・Tシャツ¥41,000 (ベルルッティ・インフォメーション・デスク)](https://precious.ismcdn.jp/mwimgs/6/7/720mw/img_679e4d31ce8f8531df4ee46e7734d715138262.jpg)
スティール針と手巻きキャリバー9612MCのブリッジに、蓄光塗料のスーパールミノバを塗布した新しいスケルトンウォッチ。フラッグシップにして、従来とはまったく別物の顔つきだ。そのラグジュアリーさとモダンなデザインは、ネイビーのリネンスーツをサラッと着こなせるぐらいの余裕がないと似合わない。
定番の白シャツに粋を!シャネル『ボーイフレンド スケルトン』
![レディスとして誕生しながらも、そのマスキュリンかつ洗練されたデザインで、男性たちからも支持される一本。洗いざらしの白シャツにも無上のエレガンスをまとわせてくれる。●手巻き ●18Kベージュゴールドケース×アリゲーターストラップ ●ケースサイズ/37×28.6mm ¥4,550,000 (シャネル カスタマーケア)シャツ¥46,000 (日本橋三越本店〈シャルべ〉) パンツ¥50,000 (レショップ〈ザネッラ〉)](https://precious.ismcdn.jp/mwimgs/c/5/720mw/img_c5b47be24ec67812acef567e11ce2533100221.jpg)
スタイルを感じる時計は数少ないが真っ先に思い浮かぶのはこれ。ほどよいサイズ感は性差を超え、だれの腕にも色気を添える。ペアウォッチは嫌いだけれど、シェアウォッチならというユーザーにも最適だ。八角形のスケルトンケースに黒ストラップとゴールドケースを合わせる妙は、モヘア混のブラウンスーツに素足で黒のスリッポンを合わせる洒脱感にもどこか似ているように思う。
フォーマルにスタイルに洒落っ気を!トム フォード『002』
![レクタンギュラーの『001』に続くトム フォード第2弾のウォッチコレクション。シンプルな丸型ケースや貫通式のストラップなど、スタイルを選ばず使える一本だ。時計●自動巻き ●18Kイエローゴールドケース×グログランストラップ ●ケース径/40 mm ¥1,300,000・ストラップ¥39,000 (トム フォード タイムピース)タキシード/参考商品・シャツ¥90,000・ボウタイ¥30,000 (トム フォード ジャパン)](https://precious.ismcdn.jp/mwimgs/3/7/720mw/img_3770f8933931bed73af4af4d481f9ef294463.jpg)
スタイルの追求という、他社とは違う発想でつくられた一本。グログランシルクをベルトに使用したメンズの究極のフォーマルウォッチは、トムフォードが世界初だろう。グログランラペルのイブニングと同素材のバタフライに合わせれば、最上級のペアリングの完成だ。スタイル、シーンに合わせて替えられるストラップの豊富さにも注目を!
- TEXT :
- MEN'S Precious編集部
- BY :
- MEN'S Precious2019年夏号より
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- クレジット :
- 撮影/浅井佳代子 スタイリスト/櫻井賢之 ヘア&メーク/YAS(M0)モデル/Alban レイアウト/澤田 翔(H.D.O.)構成/山下英介(本誌)