モナコ王国公式のハイジュエラー「FRED(フレッド)」が、モナコの複合施設・ワンモンテカルロ内の新店舗オープンをきっかけに、特別なアーカイブ・ジュエリーを復刻させた「Ombre Feline(オンブル フェリーヌ)」コレクションを発表しました。

これに合わせて来日した創業者フレッド・サミュエル氏の孫で、現在の副社長であるヴァレリー・サミュエルさんに、改めてフレッドのヒストリーや、この記念すべき新作の制作秘話をお伺いする機会に恵まれました。

ヴァレリー・サミュエルさん
ヴァイスプレジデント&アーティスティックディレクター(Vice President and Artistic Director)
(Valerie Samuel)創業者のフレッド・サミュエル氏の孫。1993年にフレッドのクリエイティブ&マニファクチャー ディレクターとしてキャリアをスタートさせ、1997年にラリックに入社。2004年にインターナショナルマーケティングディレクターに就任。2010年以降はスワロフスキーの副社長として従事。2017年にフレッドのVice President and Artistic Director (ヴァイスプレジデント&アーティスティックディレクター)に就任。

フレンチ・リヴィエラの太陽を浴び「今を生きる」! ジュエラー「FRED(フレッド)」とは、どんなブランド?

Q1:数あるジュエラーの中でも「モダンジュエラー」と称される「フレッド」の起源、創業者の経歴を教えてください。

A. フレッドは、1936年に、私の祖父であるフレッド・サミュエルがスタートさせたブランドです。彼はアルゼンチン育ちの宝石商の息子だったのですが、若干28歳という若さで、パリのロワイヤル通りに初となる店舗をオープンさせました。

フレッド・サミュエル氏の最初の名刺デザイン
フレッド・サミュエル氏の最初の名刺デザイン

その頃すでに先見の明があり、“モダンジュエラー クリエイター”という言葉を名刺に入れていたのですが、このブランドのテーマでもある“モダニティー”という彼のヴィジョンは、時代の先駆けでもありました。

フランス・ニースのネグレスコホテルの前で、20代のフレッド・サミュエル氏
フランス・ニースのネグレスコホテルの前で、20代のフレッド・サミュエル氏

ブランドの根底にある「In the Now(今を生きる)」というテーマはまさに、アスリートであり自由な精神の持ち主であった、彼自身を体現したようなもの。今もなお、その精神性は引き継がれています。

Q2:「フレッド」のジュエリーの特徴は?

A. 祖父が初期から始めていたのが、「ミクスト」というアプローチです。この言葉には「男女ともにユニセックスとして使える」「日常使いとしてどんなシーンでも使える」など、幅広い意味がありますが、この「ミクスト」を象徴するのが、ブランドのアイコンとして長く親しんでいただいている、「フォース10」コレクションなのです。

Q3:「フォース10」コレクションとは?

1966年に発表された元祖「フォース10」コレクション
1966年に発表された元祖「フォース10」コレクション

A. マリンスポーツをこよなく愛した祖父の精神を継承した私の父が、1966年に考案したのがこの「フォース10」コレクションです。

船のセーリングケーブルをそのまま使用したかのような元祖コレクションは、祖父同様にアスリート体質で、1962年にはヨットレースでヨーロッパチャンピオンにも輝いた経歴をもつ、父らしいデザインといえます。

フレッド氏がレースに出たときの写真
フレッド氏がレースに出たときの写真

ステンレススチールを編み込み、ゴールドのバックルで留められたこのブレスレットには、男性でもナチュラルに使える魅力があります。海に想いを寄せる男性の夢やロマンをも感じさせ、「ジュエリーは女性のもの」というイメージをも払拭させました

ブラッシュアップされた現在の「フォース10」コレクション
ブラッシュアップされた現在の「フォース10」コレクション

長年のロングセラーを記録するこのアイコンジュエリーは、今ではインターチェンジブル(着替え可能)なスタイルへと進化しており、より幅広い着こなしを楽しめるようになりました。

カラー展開も豊富なので、ポップなムードのネオンカラーは夏用に、シック&クールなブラックはナイトシーン用に、など、季節やシチュエーションにも気軽に対応させることができます。

まさに、「カジュアルに着こなしたいデイシーンから、エレガントにドレスアップしたいナイトシーンまで」、自由自在に楽しめるようになりました。カップルや友達同士の絆として、おそろいで使うのもおすすめですよ。

2歳で「フレッド」デビューしたヴァレリーさん(手前)。祖父母とともに、フレッドの店舗にて
2歳で「フレッド」デビューしたヴァレリーさん(手前)。祖父母とともに、フレッドの店舗にて

余談ですが、父は83歳になった今でも、マリンスポーツをやっているんです。流石に、国際大会に出場するのは80歳で引退しましたがーー。

ちなみに私は、幼い頃に一度乗せてもらった経験があるのですが、あまりにも幼かったので「怖い」という記憶が残ってしまい、積極的には乗らないのですが、兄弟は、祖父や父同様に楽しんでいるんですよ。

新コレクション「Ombre Feline(オンブル フェリーヌ)」の誕生秘話

Q4:グレース・ケリーが身につけたジュエリー「Ombre Feline(オンブル フェリーヌ)」を2019年、復刻させた理由を教えてください。

A. フレッドには数々のアイコンコレクションがありますが、1960年代に祖父がデザインした「豹の前足」から着想を得たこの「オンブル フェリーヌ」コレクションは、私たちメゾンにとっても特別な物語として語り継がれてきました。

フレッドのブティックのオープニングに訪れたグレース公妃
フレッドのブティックのオープニングに訪れたグレース公妃

強くしなやかに前足を重ねるシルエットは、身に着け寄り添わせることで、輝きを増します。1976年にオープンしたモナコブティックのオープニングでグレース公妃が身にまとい、主賓として出席されたことは、あまりにも有名なストーリーですが、そこで「肌身離さずつけているんですよ」と公妃にお声がけいただいたことに感動した祖父は、その日の出来事を余すことなく、回顧録にも記しているほどです。

このこともあって、その後、フレッドはモナコ王国の公式ジュエラーに認定されるなど、両者の結び付きは強くなってゆきました。

フレッドの歴史を語る上で、絶対に外すことのできないこの特別なジュエリーを、今年モナコ王国に新たにフラッグシップストアがオープンしことをきっかけに、復刻させることになったのです。

Q5: 「Ombre Feline(オンブル フェリーヌ)」の特徴とは?

左から ネックレス「Ombre Feline(オンブル フェリーヌ)」¥356,000[イエローゴールド×ブラックラッカー×ダイヤモンド]・ネックレス「Ombre Feline(オンブル フェリーヌ)」¥1,044,000[イエローゴールド×ダイヤモンド](税抜)
左から ネックレス「Ombre Feline(オンブル フェリーヌ)」¥356,000[イエローゴールド×ブラックラッカー×ダイヤモンド]・ネックレス「Ombre Feline(オンブル フェリーヌ)」¥1,044,000[イエローゴールド×ダイヤモンド](税抜)

A. こちらのコレクションでは「強いだけではなく、しなやかで優しい」という、女性の多角的な性質が表現されています。10種類のジュエリーからなるコレクションですが、フルダイヤモンドからラッカーダイヤモンドのシリーズまで展開していますので、幅広いシーンで身につけていただけるのが特徴です。

リング「Ombre Feline(オンブル フェリーヌ)」¥553,000[イエローゴールド×ブラックラッカー×ダイヤモンド](税抜)
リング「Ombre Feline(オンブル フェリーヌ)」¥553,000[イエローゴールド×ブラックラッカー×ダイヤモンド](税抜)
イヤリング「Ombre Feline(オンブル フェリーヌ)」¥602,000[イエローゴールド×ブラックラッカー×ダイヤモンド](税抜)
イヤリング「Ombre Feline(オンブル フェリーヌ)」¥602,000[イエローゴールド×ブラックラッカー×ダイヤモンド](税抜)

例えばブラックのラッカーシリーズは、カジュアルなスタイルにも、少しロックな着こなしにもマッチするかもしれません。

ネックレス「Ombre Feline(オンブル フェリーヌ)」¥24,321,000[イエローゴールド×ブラックスピネル×ダイヤモンド](税抜)
ネックレス「Ombre Feline(オンブル フェリーヌ)」¥24,321,000[イエローゴールド×ブラックスピネル×ダイヤモンド](税抜)

30カラット以上のダイヤモンドが使用されている、光を取り込むこちらのフルパヴェのネックレスは、夜のカクテルパーティーなどに華やぎを添えてくれます。

本製品は、メゾンが誇る精巧な技術でつくられているため、開閉する継ぎ目が目立たないのが特徴です。魔法のように閉じるんですよ(笑)。

そして、中心にセットされたペアシェイプのダイヤモンドが揺れるデザインも、魅惑的で気に入っています。

Q6:ヴァレリーさんにとって「フレッド」とはどんな存在ですか?

A. 祖父が手がけていた時代は、夏はコートダジュールなど海辺の避暑地で、冬は山のリゾートで過ごすのが伝統でした。そんな中で、アルゼンチン出身の彼は、地元を連想させる海や色彩が身を包む、コートダジュールに恋に落ちたのでしょう。

そんな生活のなかで生まれたフレッドには、「Joie de vivre(生きる歓び)」という精神性が宿っています。私は幸い、そんな寛大で、オープンマインドなパーソナリティーの祖父の価値観や知識を継承してきましたので、今それを生かしながら、人生に対するヴィジョンを永続させていけたら…と思っています。

ジュエリーを身につけることで、皆さんにもフレッドの精神性を感じていただき、喜んでいただくことが私の喜びでもあります。

私は、若い時からジュエリーに浸っていますので、ジュエリーはとても身近な存在であり、欠かせないものです。装いの決め手になるものであり、自分の個性を定義するものでもあります。

ですから、おすすめしたいのは「自分の心が動かされるジュエリー」を選ぶことです。あなたのそのジュエリーには「見た瞬間に恋に落ちて購入した」「何かのご褒美に購入した」など、きっとストーリーがあるはずですからーー。

ジュエリーには、自分を輝かせるということだけでなく、歴史を受け渡していくことができるという魅力もあります。私はこれからも、祖父が私に残してくれた遺産を、次に伝えていけたらと思います。


以上、来日したフレッドの副社長であるヴァレリー・サミュエルさんに、改めてメゾンのヒストリーから新コレクションの誕生秘話までをお伺いさせていただきました。

創業者であるフレッド氏のオープンマインドな精神性が継承されているジュエリーは、手に入れたいと思わせる魅力が凝縮していました。ストーリーのあるジュエリーは、大切な人へのプレゼントにもきっと喜ばれそうですね。

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EDIT&WRITING :
石原あや乃