1910年代につくられたペルシャ絨毯なんて、そう簡単には目にすることができない。しかも、美しい状態でだ。ペルシャ絨毯は、産地によって特徴が明確に分かれる。

 かつて王朝のカーペットづくりでも栄えた、イラン中央部に位置するカシャン産のものは、中央に配されたメダリオンと、カシャンが薔薇の産地であったことから、花の文様が多く採用されている。

 素材は、当時の一部のお金持ちにしか手に入らなかった、最高品質のラシュト(イランのカスピ海沿いの村)のシルク。その極上のシルクを天然の染料で染め、丹念に織り上げ完成した一枚は、一世紀を超えて輝きを失うどころか、年月とともに深みを増しているように思える。

 「どこよりも素晴しい絨毯をつくる」ことに情熱を傾けた職人の手技から生まれた一枚と、商業ベースで織られる一部の製品とは、比べるべくもない。

 お金持ちが、イラン革命時にこれらのペルシャ絨毯をたずさえ、新天地へと向かったのも納得出来る。

¥6,400,000 サイズ:縦208×横133㎝(サンモトヤマ銀座本店〈サンモトヤマ セレクション〉)

世界中にコレクターを有するインドネシアの伝統染織
これも絹名品!

 シルクをベースに、自然のモチーフを豊かな色彩でろうけつ染め(バティック)した「ビンハウス」の染織アイテム。昔ながらの製法で、熟練の職人が手仕事でつくるため、同じものはひとつもない。写真右は、夏のジャケットの胸元に飾りたいポケットチーフ。

各¥3,000(サンモトヤマ銀座本店〈ビンハウス〉)

銀座の名店「サンモトヤマ」には、本稿で紹介した稀少なヴィンテージカーペットをはじめとする世界各国から集められた選りすぐりの「名品」がそろう。インドネシアのバティックはもちろん、特に写真の年代物のペルシャ絨毯は、その時代のお金持ちがタペストリーとして使用していたこともあり、状態も別格。一度足を運んでみては如何だだろうか?

※価格はすべて税抜きの価格です。※価格は2016年夏号掲載時の情報です。

この記事の執筆者
TEXT :
林 信朗 服飾評論家
BY :
MEN'S Precious2016年夏号「絹」名品の華奢な艶めきよ
『MEN'S CLUB』『Gentry』『DORSO』など、数々のファッション誌の編集長を歴任し、フリーの服飾評論家に。ダンディズムを地で行くセンスと、博覧強記ぶりは業界でも随一。
クレジット :
撮影/戸田嘉昭・小池紀行(パイルドライバー/静物) 文/中村 賜
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