音楽を語る中で、「グルーヴ感」という言葉をよく聞く。それは一体どういうものなのか? 平たくいえば「ノリのいい」感じであり、リズム体において数値では測れない演奏の癖、アクセントの置き方などによって現れるようだ。いずれにせよ、気持ち良さを感じられるわけだから、ドライブに合わないわけがない。そんなグルーヴの快感を、編集者の菅原幸裕氏が解説する。
歌とギターのグルーヴ
先日亡くなった、ボサノヴァの生みの親ジョアン・ジルベルト。彼の後年の作品『ジョアン 声とギター』を聴くと、そのグルーヴが、タイトル通り歌唱とギター演奏で生み出されていることがよくわかる。両者の相互作用が、音楽に波のようなうねりをもたらすのだ。
そんなジルベルトのグルーヴから連想したのが、クラシック・ギターを弾き歌う古川麦の音楽。ボサノヴァにも通じた古川だが、彼の音楽はそこに止まらず、実にポップ。ただ、その音楽の根底には常に歌とギターが生み出す心地よい揺らぎがある。さらにアメリカのシンガーソングライター、デヴェンドラ・バンハートの最新作からも、同種の歌とギターによるグルーヴを感じた。
ちなみに『声とギター』は、バンハートが敬愛する音楽家、カエターノ・ヴェローゾがプロデュースしている。これらの作品は、いずれもドライブに適度なリラックス感をもたらしてくれる。
ドライブで聴くならこの3枚!
■1:『João Voz E Violão(ジョアン 声とギター)』ジョアン・ジルベルト
■2:『MA』デヴェンドラ・バンハート
■3:『シースケープ』古川麦
- TEXT :
- 菅原幸裕 編集者