フランスを代表するジュエラー「カルティエ」が、12月16日までの期間で、六本木・国立新美術館にて、メゾンの宝飾デザインを巡る「カルティエ、時の結晶」展を開催している。

デザインと時の2軸でカルティエを体験!

杉本博司の「逆行時計」が展示へいざなう

杉本博司作「逆行時計」
展覧会は杉本博司作「逆行時計」(2018年、個人蔵)から始まる。その名の通り針が逆進する時計だ。©Hiroshi Sugimoto/Courtesy of N.M.R.L.

これまでも世界各国の美術館で貴重なコレクションや作品を展示紹介してきた「カルティエ」だが、今回のコレクションでは1970年代以降の現代作品にフォーカス。「時間」を軸に、「色と素材」「フォルムとデザイン」「ユニヴァーサルな好奇心」という3つの章から成り、カルティエの世界を堪能できる内容だ。

章ごとに変わる空間デザイン

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光の柱のようなベールで仕切られる序章「時の間」。©N.M.R.L./ Hiroshi Sugimoto + Tomoyuki Sakakida
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ヒノキと御簾で構成される第1章「色と素材のトランスフォーメーション」には果実のような宝飾品やプラチナにフォーカス。©N.M.R.L./ Hiroshi Sugimoto + Tomoyuki Sakakida
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栃木の大谷石を並べ、洞窟のような空間を造り出した第2章「フォルムとデザイン」。幾何学、建築的構造のジュエリーが展示される。©N.M.R.L./ Hiroshi Sugimoto + Tomoyuki Sakakida
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第3章「ユニヴァーサルな好奇心」では彗星の軌道をイメージした楕円什器に展示。貴重な特注アイテムの数々が並ぶ。©N.M.R.L./ Hiroshi Sugimoto + Tomoyuki Sakakida

これらの構成を担ったのが、現代美術家・杉本博司と建築家・榊田倫之が設立した建築設計事務所「新素材研究所」だ。『古い素材こそ新しい』をポリシーに古代・近世などの工法と旧素材を用いて設計している。杉本が今回のキュレーションに時間という軸を見出し、更には「時の結晶」と付けたという。

展示では特に、章と章を繋ぐポイントにある古美術とカルティエのジュエリーを合わせたディスプレイにも注目したい。長い時間をかけ、人間が本気でつくったものが見事に調和し、静かに圧倒的な佇まいを印象付ける。

プラチナ、ゴールド、ダイヤ、エメラルドなどをふんだんに用いた「スネーク」ネックレス(1968年)。ジュエリーを展示するトルソーは仏師が彫った特注品というのが杉本博司らしい。

時計はもちろん、象嵌のシガーケース、蛇を象った豪奢なネックレスやブドウのように実ったアクセサリーの数々など、時を経て芸術品となった工芸品の数々は見て楽しいものだ。新しい時代にふさわしい発見があるかもしれない。

カルティエ、時の結晶

  • 「カルティエ、時の結晶」公式サイト
  • 会期/2019年10月2日(水)〜12月16日(月)
    休館日/毎週火曜日
    開館時間/10:00〜18:00(毎週金・土曜日は20:00まで。入場は閉館の30分前まで)
    会場/国立新美術館 企画展示室2E
    住所/東京都港区六本木7-22-2
    観覧料(税込)/一般 1,600円、大学生 1,200円、高校生 800円、中学生以下無料
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