炭火焼きと言えば和食が思い浮かぶ。しかし、実は薪火、炭火はフランス、イタリアでも伝統的に取り入れられてきた調理法である。ここでは、そんな薪火焼きと炭火焼きを駆使したイタリアン、フレンチの名店を厳選してご紹介しよう。
薪火焼き、炭火焼きの美味しい名店5選
■1:「ヴァッカロッサ」赤坂
特製トスカーナ暖炉があってはじめて、究極の骨付きロース肉が焼き上がる
薪の熾火で30分かけて焼かれる骨付きロース肉、ビステッカ・アラ・フィオレンティーナ。目の前で肉が切り分けられたその刹那、薪火焼き特有の芳香がテーブルに満ち溢れる。肉を口に運ぶ。次の瞬間、芳醇な旨みを蓄えた肉汁が舌の上に溢れ出す。幾度も返しながら、強火で薄層の焼き目を重ねて実現するジューシーな仕上がり。これこそが薪火焼きでしか成し得ないパフォーマンスである。まさに至福の味わい。シェフの渡邊雅之さんは、この肉を嚙んだ瞬間の味わいを「肉汁が躍る」と表現する。その一瞬のために試行錯誤を繰り返し、薪を吟味し、薪火焼きの暖炉を十二分に生かし切る焼き方を追求してきた。薪火によるビステッカの究極がここにある。
問い合わせ先
- 「ヴァッカロッサ」赤坂 TEL:03-6435-5670
- 住所/東京都港区赤坂6-4-11 ドミエメロード1階
営業時間/ランチ11時30分~13時(L.O.)、土曜は12時~13時30分(L.O.)、ディナー18時~22時
定休日/日曜、祝日、月曜ランチ
※薪火焼きを長年研究してきたシェフの渡邊さん。ディナーは、ビステッカを堪能するための「厳選国産赤身肉のビステッカコース」¥10,000~のほか、全3コースがある。ランチも営業。
ヒトサラでお店の情報を確認! https://hitosara.com/tlog_13156942/
■2:「タクボ」恵比寿
燃え盛る薪の炎を眺めながら、熾火で焼かれる十勝田くぼ牛を堪能したい
2016年4月にオープン。早くも薪火焼きの醍醐味を求める食通たちが足繁く通う名店となった「タクボ」。カウンター越しに設えられた特注のトスカーナ暖炉では、厳選された赤身の牛肉や仔羊が焼かれ、コースのメインとして供される。カウンター内に暖炉が設えられているので、熾火をつくるために焚かれる薪の炎を眺めながら杯を傾けるのも一興。シェフの田窪大祐さんは、「薪火は炭よりも熱量が低いので、近火で、しかも短時間での火入れが可能です。結果、焼き目はしっかりと付きますが中はレア気味となり、内と外のコントラストが明確になる。さらに薪火には、炭には無い水分が含まれていますから肉の表面が乾かずジューシーに仕上がります」と語ってくれた。
問い合わせ先
- 「タクボ」恵比寿 TEL:03-6455-3822
- 住所/東京都渋谷区恵比寿西2-13-16 ラングス代官山1階
営業時間/12時~15時30分(L.O.13時。ランチは水、土、祝日のみ営業)、18時~25時(L.O.23時)
定休日/日曜(月曜祝日の場合、日曜営業、月曜休)
※火をつくるところから始まる薪火に魅せられた、と語る田窪シェフ。コースは¥10,500と¥13,500の2種類。カウンターのほか個室もある。
■3:「ピレネー」軽井沢
シュミネと呼ばれる暖炉が、食の目利きたちの眼と舌を満足させる名店
「フランス南西部を旅した際、レストランの暖炉でゆっくりと食材が焼かれる光景に〝料理の原点〟を見た気がしました」と語るのは、軽井沢で22年続き、地元の食通たちから絶大な支持を集めるフレンチの名店「プリマヴェーラ」のオーナーシェフでもある小沼康行さん。11年前、素朴でシンプルな料理を提供したいとこの「ピレネー」を開いた。店内は、暖炉を囲むようにテーブルが並び、自然を取り込むようなテラス席が開放的な雰囲気を醸し出す。シュミネと呼ばれる暖炉で焼き上げられる食材は、若鶏、仔羊、鴨、そして熟成度合いが吟味された国産牛等々。薪火焼きの極上の一皿を、美しいカーブで抜栓の時を待つ7000本もの極上ワインとともに味わいたい。
問い合わせ先
- 「ピレネー」軽井沢 TEL:0267-41-3339
- 住所/長野県北佐久郡軽井沢町1181-8
営業時間/12時~14時30分(L.O.)、17時~22時(L.O.)
定休日/毎月第3木曜
※オーナーシェフの小沼さんと「ピレネー」の暖炉を任される蓬莱さん。隣接するカーブには希少なヴィンテージ・ワインも多数。店内はテラス席もあり開放的な雰囲気。若鶏は、薪の遠火の炎で炙られるのもこの店の大きな特徴。
■4:「トラットリア・デッラ・ランテルナ・マジカ」目黒
あくまでもイタリアンらしくがモットー。見た目よりも旨み重視でシンプルに
塩、胡椒を振ってから炭火焼きされた骨付き豚ロース肉。一方の牛ヒレ肉は一切の下味をつけずに炭の熾火でじっくりと焼き上げる。ともに仕上げのオリーブオイルがイタリアンであることを主張するが、あくまでも素材本来の旨みを直に味わってほしいという一念で焼き上げられ、ゲストに供される。「素材によって塩を振るタイミングも違えば、同じ素材でも状態によって火加減や焼き時間さえ変わります。炭で焼くという至ってシンプルな調理法だからこそ、ひとときも炭場から眼が離せません」と語る店主の阿部之彦さん。繊細な感性で仕上げられる炭火焼きはもちろん、本場のトラットリアを彷彿させる雰囲気の中で味わう季節ごとの前菜、パスタも絶品だ。
問い合わせ先
- 「トラットリア・デッラ・ランテルナ・マジカ」目黒 TEL:03-6408-1488
- 住所/東京都品川区上大崎2-9-26 T&H Memory1階
営業時間/17時30分~23時(L.O.)
定休日/日曜
※オープンキッチンに設えられた炭焼き場には、備長炭が焚かれ自家製ソーセージや牛フィレ肉などが味わい深く焼き上げられる。シェフの阿部さんは「季節感を大切にした食材を日々、提供したいと思っています」と語る。
ヒトサラでお店の情報を確認!https://hitosara.com/0006115184/
■5:「ファロ」代官山
オープンキッチンの中心に据えられた炭火台が「焚き火」という店名を体現
「イタリアンという括りに縛られず、吟味した素材を極力シンプルな形で提供したい。そのために炭火台を店の中心に据えました」と語るシェフの樫かし村むら仁のり尊たかさん。店名の「ファロ」とは、イタリア語で〝焚き火〟のこと。気のおけない仲間と、まさしく火を囲むように炭焼きによる料理を堪能してほしいという思いから名づけられたという。オープンキッチンの中央に位置する炭場では、シェフが厳選した豚の塊肉・ポルケッタや仔羊、さらには旬の魚介や天然のキノコが炭火で焼かれ、その芳ばしい香りだけでワインが何杯も進みそうな空気に包まれる。何より、素材の旨みが凝縮したシンプルな味わいの料理は、炭焼きの醍醐味を余すことなく伝えてくれるのだ。
問い合わせ先
- 「ファロ」代官山 TEL:03-6455-0206
- 住所/東京都渋谷区代官山町14-10 LUZ代官山B1
営業時間/18時~23時30分(L.O.)、日・祝は15時~21時(L.O.)
定休日/木曜
※2016年5月に店を開いた樫村さんは、イタリアンの名店「アクアパッツァ」で料理長を務めた経験を持つ。中央の炭火台は、素材を串に刺した状態で焼くことも可能。
ヒトサラでお店の情報を確認!https://hitosara.com/ch_443693/
- TEXT :
- MEN'S Precious編集部
- BY :
- MEN'S Precious2017年秋号より
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- PHOTO :
- 篠原宏明