D-Heartman D-ハートマン
ウイスキー好きが通う銀座の名門バー

「ウイスキーというやつは、これまで上流社会ではほとんど飲まなかった。私の父などは、沼沢地とかきわめて湿寒な地で猟をやる時以外、決してウイスキーを用いなかった」

 これは、ウインストン・チャーチルの自伝の一節。

 19世紀末を顧みての文章で、ワインとエール(ビールの一種)の国であったイングランドの人々にとって、この頃はまだ、スコッチウイスキーはスコットランドの地酒に過ぎず、飲む人はわずかだったということだ。しかし、英国の上流階級が愛したボルドーの赤ワインがエイジングで熟成を極めるように、スコッチウイスキーも長い年月を経て香味の熟成を極める酒。英国人がいったん受け入れれば、世界に広がる大英帝国の領土にも、その市場を広げることになったのは必然だろう。

 ちなみに、19世紀末のスコッチウイスキーは、モルトウイスキー(原料に大麦麦芽を使う)とグレーンウイスキー(トウモロコシを中心とした穀物を使用)をブレンドするブレンデッドウイスキーの勃興時代。この時期、フランスの貴族でさえブランデーではなく、ウイスキーを好んで飲んでいたという説もある。

 ウイスキーの愉しみ方は、ストレート、水割り、ソーダ割り、氷を岩に見立てたオンザロックスと様々。

 ところで、オンザロックスという言葉は船の座礁を意味し、転じて、人生に座礁した人を指す表現としても使われたとか。いやいや、気にすることでもないか。とりあえず今夜は、ブレンデッドウイスキーをストレートで飲むとしよう。

約150種のブレンデッド・ウイスキーをそろえる「D-ハートマン」。最高の一本を、とリクエストしたら、バーテンダーがすすめてくれたのが『ジョニーウォーカーブルーラベル』。ジョン・ウォーカー&サンズ社の究極のブレンデッドとして、1995年に誕生したものだ。
約150種のブレンデッド・ウイスキーをそろえる「D-ハートマン」。最高の一本を、とリクエストしたら、バーテンダーがすすめてくれたのが『ジョニーウォーカーブルーラベル』。ジョン・ウォーカー&サンズ社の究極のブレンデッドとして、1995年に誕生したものだ。

ロングカウンターの奥の棚に並んだ酒のボトルの量は圧巻。内訳はまさにインターナショナルだが、なかでも500種以上というウイスキーの多さには目を見張る。シングルモルト人気は今も健在だが、いつも決まった銘柄のブレンデッドを飲み続ける古くからの常連も多いという。ひとりカウンターで飲むのもいいが、仲間と集ったときには居心地のいいソファ席や半個室、独立した空間のサロン風個室が設けられている。 

バーテンダーとの会話が楽しく、ひとりでも長居をしてしまいそうなカウンター席もいいが、友人と集って、ぜひとも過ごしたい特別な個室がある。カントリーハウスの一室を思わせるインテリアのサロン風個室で、なんと専用のバーカウンターまで設えてある。ここで過ごす時間には、ウイスキーと葉巻がよく似合う。
バーテンダーとの会話が楽しく、ひとりでも長居をしてしまいそうなカウンター席もいいが、友人と集って、ぜひとも過ごしたい特別な個室がある。カントリーハウスの一室を思わせるインテリアのサロン風個室で、なんと専用のバーカウンターまで設えてある。ここで過ごす時間には、ウイスキーと葉巻がよく似合う。

■D-Heartman D-ハートマン
住所:東京都中央区銀座6-5-17銀座みゆき館4F⦆
TEL:03・3573・6123
営業時間/月~金18時~3時 土:18時~0時 日曜休み
チャージ¥2,000(税抜、サービス料別)

クレジット :
撮影/荒木大甫 構成・文/堀けいこ