1961年に誕生した第35代大統領は、当時のアメリカ国民にとって相当異彩を放って見えたに違いない。選挙で選ばれた大統領としては最も若く、初めての非WASP(ホワイト・アングロ-サクソン・プロテスタント)。そして服装も、それまでの大統領のイメージとは大きく異なっていたのだから。
ジョン・F・ケネディの謎
当時の米国エリートといえば、WASPの家系に生まれ、アイビーリーグ校を卒業した人物というのが典型。そんな彼らの出自を象徴するアイテムといえば、アイビー校の学生たちがこぞって身につけていたボタンダウンシャツであった。ハーバード出身のケネディもれっきとしたアイビーリーガーだが、なぜか彼が身につけていたシャツはBDではなくレギュラーカラー。そのうえスーツも、アイビー定番のゆったりとしたサック・スーツではなく、スラリとした細身のものを選んでいた。さてその理由とは? 服飾評論家・池田哲也さんはこう推測する。
「典型的なエリートイメージを崩すためとか、新しい大統領像を印象付けるためなどといった説がありますが、私はケネディの青年期の生活が自然に導いた嗜好ではないかと思います。彼は父親の仕事の関係で、青年期に複数回欧州へ渡っています。そこで受けた影響が表れているのでは。一説には、彼が着ていたシャツはシャルべ製だったといわれています。戦略的にBDを避けただけなら、あえてパリのシャツを選ぶ理由はない。それゆえ彼の個人的嗜好が反映された選択と考えられるのです」
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- MEN'S Precious編集部
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