シガーとシャンパンはよく似ているというのが持論です。ともに、タバコ葉と葡萄という農産物を原料として、熟成という過程を通じて最高級の嗜好品に仕立てる、というだけではなく、煙と泡という極めて捉えどころのない現象に、人びとを官能の彼方で酔わす、という意味においても類似点を見出すのであります。
シガーは男が行き着く最後の嗜好品
双方ともに世界に知れた一流ブランドがあり、熱狂的なファンを持つところも面白いですね。歴史的な人物の少なからずは、代名詞となる愛飲のシャンパンやシガーの銘柄があるほど。その文脈でいえば、ともに象徴的なファッション・アイテムでもあるわけですが、特にシガーは産地や銘柄あるいはカタチや燃焼時間によって、マニアックな使い分けができるアイテムと言えるでしょう。もちろん、TPOも。例えばブラックタイのドレスコードがつくようなシーンを想定すると、私ならさしずめ『パドロン 1964 A』を選びます。シガーの限界に近い210mmという超ド級の長さを誇り、燃焼時間も2時間半あまり。その﨟たけたリッの場において、半端なアクセサリーよりいっそう、男ぶりをあげると思うのであります。
- TEXT :
- MEN'S Precious編集部
- BY :
- MEN'S Precious2017年冬号より
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