シガーとシャンパンはよく似ているというのが持論です。ともに、タバコ葉と葡萄という農産物を原料として、熟成という過程を通じて最高級の嗜好品に仕立てる、というだけではなく、煙と泡という極めて捉えどころのない現象に、人びとを官能の彼方で酔わす、という意味においても類似点を見出すのであります。

シガーは男が行き着く最後の嗜好品

ニカラグアは、上質なプレミアム・シガーの産地としてファンにはよく知られるが、中でも1964年創業のパドロンは、世界的に熱狂的なファンを持つ象徴的なブランド。『パドロン1964 A』葉巻¥8,800{税込}(ヒロミエンタープライズ〈パドロン〉) ライター¥53,000(エス・テー・デュポン 銀座ブティック) 灰皿/私物 ※税抜、参考価格

双方ともに世界に知れた一流ブランドがあり、熱狂的なファンを持つところも面白いですね。歴史的な人物の少なからずは、代名詞となる愛飲のシャンパンやシガーの銘柄があるほど。その文脈でいえば、ともに象徴的なファッション・アイテムでもあるわけですが、特にシガーは産地や銘柄あるいはカタチや燃焼時間によって、マニアックな使い分けができるアイテムと言えるでしょう。もちろん、TPOも。例えばブラックタイのドレスコードがつくようなシーンを想定すると、私ならさしずめ『パドロン 1964 A』を選びます。シガーの限界に近い210mmという超ド級の長さを誇り、燃焼時間も2時間半あまり。その﨟たけたリッの場において、半端なアクセサリーよりいっそう、男ぶりをあげると思うのであります。

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MEN'S Precious編集部 
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MEN'S Precious2017年冬号より
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