豊島区北大塚。JR大塚駅には駅ビルが建ち、現代的な街並みに変貌していく一方で、今も都電荒川線が走るのんびりとした風情も残っている。令和と昭和が交錯するこの街で40年ほど愛される『パブ&ナイト イーグル』に向かう。
昭和の華やかさを残す内装でも、穏やかに飲める気配り
JR大塚駅北口を出て、飲み屋が立ち並ぶ通りを1分ほど歩くと『パブ&ナイト イーグル』のサインが現れる。その外観は都電同様、古き良き時代の姿をそのまま残しているのが伝わってくるだろう。
階段を上り、扉を開くとオープン以来変えていないという内装のあちこちに昭和の名残が香ってくる。黒の革張りのソファが10ほどあるテーブルを囲み、店の奥にミラーボールやカラフルな電飾に照らされるミニステージ。小さいスナックが多い大塚にあって、大箱と言えるだろう。
ここで歌うと爽快だろう、と想像しながら席へ案内される。波打つ天井や壁の質感は粗い手触りで、洞窟の中で落ち着いているよう錯覚してしまった。無機質ではないため、広い店でも心穏やかに飲める。
スタッフの話によると、元々ここはサパークラブ。キラキラと華やかな装飾はサパークラブの名残だろう。
キャバレーとしての営業許可を取っているため、テーブルについてくれた女性キャストにお酒を作ってもらい、乾杯だ。
「お姉さんがついてくれるお店に行ったこともありますが、大体私と同じくらいの年齢の方が多かったです。でもこちらの方は大人だから、自分のペースでしっぽり飲めますね」
と、大平さんも店の雰囲気を気に入ってくれたようだ。
近所に住む者はもちろん、遠方からや出張に合わせて訪れる客がおり、グループだけでなく、一人でふらりとやってくる者もいるという。それはきっと長年客が落ち着いて飲めるよう心を配ってきたからなのだろう。
カラオケは常連の御仁とデュエットで
カラオケが大好きだという大平さんは歌いたいらしく、うずうずしている。歌うように促すと早速ステージへ。居合わせた御仁と『ロンリー・チャップリン』でデュエットだ。
薄暗い空間がムーディだ。伸びやかな声で歌う大平さんの姿から本当に歌うことが好きなことがわかる。
歌い終わるとあちこちから自然発生的に拍手が送られる。つかず離れずのコミュニケーションが心地良い。
「普段よく歌うのは工藤静香や大黒摩季、広瀬香美あたり。このお店にはそういったパワフルな歌手の曲よりもソウルフルで哀愁のある曲が似合いますね」
そう話す大平さんが驚いた料理が後編で登場する。
【パブ&ナイト イーグル】
問い合わせ先
- パブ&ナイト イーグル TEL:03-3918-0589
- 住所/東京都豊島区北大塚2-15-5
営業時間/18:00~24:00
定休日/無休
メニュー/2時間制男性¥5,000、女性¥4,000、60分延長ごとに¥1,500、カラオケ1曲¥200
- TEXT :
- 津島千佳 ライター・エディター
- PHOTO :
- 小倉雄一郎