海外のものはもちろん、最近では国産のレモンも多種、スーパーで見かけることができます。そのレモンには、意外と思われる美容健康対策となる力があるとか。具体的にどんな成分がどう作用してくれるのでしょうか。

老若男女に必要で体が喜ぶ「レモン」の作用とは?

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健康対策だけでなく、抗酸化作用で美肌にも好影響を及ぼす。

昔から「レモンはビタミンC」というのが、多くの人が持つイメージでしょう。レモンにはそれ以外に、クエン酸によるキレート作用(有害ミネラルなどを包み込み体外へ排出する作用。クエン酸はカルシウムなど良ミネラルの効率よい摂取が可能)や、疲労回復、また酸味による減塩対策にも有効です。

「食品の中にはAGE(終末糖化産物)の生成を抑制する働きをもつものや、腸からのAGEの吸収を抑える作用をもつものがあることもわかってきました。その中でも取り入れやすくおすすめなのが『レモン汁』です。

お肉の重量の1/4のレモン汁にお肉を1時間ほど浸して下処理をしておくことで、AGEを約40〜60%減らすことができます。それは、レモンに含まれるクエン酸がたんぱく質と糖が結びつくのを抑え、AGEの発生を抑制してくれる働きがあるからです」(山岸先生)

今話題の糖化対策としてもクエン酸は有効で、レモンに含まれるクエン酸がタンパク質と糖が結びつくのを抑え、AGEの発生を抑制してくれる働きも。揚げ物などの際に、お肉をレモン汁に漬け込んでおくだけでAGE対策になるそうなので、日々の料理から早速取り入れられそうです。

ビタミンCに加えて、「レモン」が持つ健康パワーとは?

■1:レモン1個で「骨密度がアップ」

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カルシウムを上手に取り入れる相棒に。

「骨密度がアップする理由のひとつとして、レモンに含まれるクエン酸が持つキレート作用が関係していると思います。キレート作用とは、カルシウムをはじめ、ミネラルを腸から吸収しやすい形に変えることです。そのため、血中カルシウム濃度が維持され、骨密度を維持することにつながります。

通常カルシウムは、人体には吸収されにくく、食物から摂取した場合約70%は体外に排出されてしまいます。特に高齢になると、腸から吸収されるカルシウム量は低下傾向にあり、体は骨に蓄えられているカルシウムを使って補おうとします。その結果、骨粗しょう症になりやすくなるのです。

ちなみに、レモンの消費量が多い広島県大崎上島の皆さんは、平均よりも骨密度が高いという結果が出ています。その要因の一つとして、島民の皆さんは普段から多くのレモンを摂ることで、自然とカルシウムが体内に吸収されやすくなっているので、レモンの摂取が関係していると考えられます」(飯田先生)

2017年に発表されたある論文*によると、閉経後の中高年女性を対象にレモン1個分の果汁とカルシウム350mgを含むレモン果汁飲料を継続摂取してもらい、骨密度に及ぼす影響を検証。摂取前と比較して摂取3ヶ月後に有意に増加し、摂取6ヶ月後においても、骨密度は維持されていたという結果が出たそうです。

これにより、カルシウムを含むレモン果汁飲料を継続飲用することは、骨吸収を抑制することで、中高年女性の骨密度を改善する可能性があることが示唆されました。

*The Effects of a Calcium-Fortified Lemon Drink on Bone Density and Bone Metabolism in Postmenopausal Women International Medical Journal 2017, Vol. 24, No. 3, pp. 279 - 283

■2:減塩効果を利用することで「高血圧予防」にも!

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酸味は塩味をカバーできる。

「酸味には、塩味を引き立てる効果があるため、少ない塩分でもしっかりと味を感じることができ、減塩につなげることができます。『レモン島』とも呼ばれるレモン出荷量の多い広島県の皆さんは、普段からレモンを料理に取り入れる中で、自然と少ない塩分でおいしいと感じる味覚ができているのではないでしょうか。

レモンのさわやかな酸味や香りは、和洋中どんな料理にも合わせやすく、レモンは1年中簡単に手に入れることができます。患者さんの中には、血圧を下げるために食事による減塩指導も行っています。無理なく簡単に減塩生活ができるという点で、減塩外来ではレモン果汁を食事に取り入れることを指導しています」(渡辺先生)

とある論文**にて発表されている実験で、高血圧自然発症ラットを用いて、レモン果汁・レモンフラボノイド類が血圧に及ぼす影響が検証されています。5%に希釈したレモン果汁を90日間投与した結果、コントロールされたラットと比較すると、有意な差ではないものの、血圧が低くなる傾向がみられたという結果が。

また、レモンフラボノイド類を16週間投与しコントロールされたラットと比較して、血圧の上昇が抑制された結果から、レモン果汁やレモンフラボノイド類が血圧に影響を及ぼす可能性を示すことに。

**Suppressive Effect of Components in Lemon Juice on Blood Pressure in Spontaneously Hypertensive Rats Food Science and Technology International, Tokyo 1998, Vol. 4, No. 1, P 29-32

高血圧対策には減塩することが優位というのはよく知られている話ですが、レモンでの減塩効果でいうと、酸味には塩味を引き立てる効果があるため、少ない塩分でもしっかりと味を感じることができ満足感も得られるので、減塩につなげることができそうです。

例えば、ほうれん草のおひたしに醤油を加える際、レモンを少し加えるだけでも効果的です。

■3:リラックス効果も。継続摂取で疲労感軽減に!

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アロマを焚いたり、レモンの香りの入浴剤を使ったバスタイムもリラックスできる。

レモンに含まれるクエン酸には、疲労回復効果があるとも言われています。

疲労を自覚している人を対象に、レモンクエン酸2700mgを含むレモン果汁飲料を8日間継続摂取してもらった結果***、主観的評価により疲労感の軽減傾向がみられ、疲労を数値化するATMT法を用いたパフォーマンス評価により、作業効率が回復する効果が認められたそうです。

また、同じく疲労を自覚している人々を対象に、レモンクエン酸2700mgを含むレモン果汁飲料を28日間継続摂取してもらった結果****では、主観的評価により疲労感の軽減作用、緊張度、退屈度の緩和作用がみられたとのこと。

摂取を継続することで、その作用は顕著になると言えそうです。

***「レモンクエン酸配合飲料」の疲労を感じやすい健常者における抗疲労作用(薬理と治療, 2007, 35・7・809-819)
****レモンクエン酸の疲労感軽減効果―疲労感を自覚する625名を解析対象としたプラセボ対照WEB調査―(薬理と治療, 2007, 35・7・821-828)

11月から収穫が始まり出荷量が最も増える、まさに冬が旬のレモン。スーパーにもたくさんの種類のレモンが並ぶ時期です。この季節によく食べるお鍋料理はもちろん、普段の焼き魚や煮物炒め物にさっとかけたり、ドリンクやスイーツなどのアレンジに利用するなど、レモンを色々楽しみながら健康対策をして冬を乗り切ってはいかがでしょうか。

監修者:

山岸 昌一先生
昭和大学医学部 糖尿病代謝内分泌内科 主任教授 及び 昭和大学付属病院 糖尿病・代謝・内分泌内科診療科長
(やまぎし しょういち)金沢大学医学部卒業。医学博士。内科医。金沢大学医学部講師、ニューヨーク、アルバート・アインシュタイン医科大学研究員、久留米大学医学部糖尿病性血管 合併症病態・治療学講座教授などを経る。
飯田 忠行先生
県立広島大学保健福祉学部 理学療法学科 教授/レモン健康科学プロジェクト研究センター長
(いいだ ただゆき)博士(医学)・県立広島大学保健福祉学部理学療法学科 教授。レモン健康科学プロジェクト研究センター(県立広島大学でのレモンに関する研究成果を広く公表し、広島県民への還元、または健康増進に活かす取り組みとして設立された研究センター)長も兼任し、広島県戦略作物であるレモンの効果検証を行っている。専門は応用健康科学地域健康疫学、公衆衛生学、老年医学。
渡辺 尚彦先生
高血圧学会減塩協力委員
(わたなべ よしひこ)聖光ヶ丘病院 顧問 減塩外来 担当医。日本歯科大学病院 内科 臨床教授。早稲田大学スポーツ科学学術院 客員教授。愛知医科大学病院 睡眠科 客員教授。東京女子医科大学医学部 元教授(東医療センター内科)高血圧などの循環器病が専門。1987年8月から現在に至るまで、連続携帯型血圧計を装着し、24時間血圧を測定している。
この記事の執筆者
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WRITING :
Sachi Tamura