ハイコンプリケーション部門は、あえてトゥールビヨンと分けることに。理由は、非トゥールビヨンの良作にもスポットを当てたかったためだ。となると、バーゼルワールドでも登場するや騒然とした本作に票が集まるのも、いささか必然かもしれない。1年の53週を表す「週番号」をポインター式で表示する新機構「ウィークリー・カレンダー」を搭載した「カラトラバ」である。

ステンレススティールに身を包んだ、実用目線の新名品

パテック フィリップ「カラトラバ・ウィークリー・カレンダー Ref.5212A」

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「カラトラバ・ウィークリー・カレンダー Ref.5212A」●自動巻き ●ステンレススティールケース×カーフスキンストラップ ●ケース径/40mm ¥3,650,000(パテック フィリップ ジャパン・インフォメーションセンター)

新機構をあえてステンレスケースに収め、使うほどに味わいの出そうなカーフストラップを装備。

「ドレスウォッチの『カラトラバ』にして、デイリーユースを視野に入れたよう」と関口 優さん。

「私がいちばん好きなパテック フィリップになるでしょう。世にも珍しいウィークリーのカレンダー表示をムダなく伝える簡潔さとフォントの組み合わせがチャーミング」と話すーク・チョーさん。機能性とともに独自のスタイルも高く評価。

松山 猛さんは、「こうした物珍しさは、未来のヴィンテージ品として希少価値を生みそうです」と、コレクターズアイテムとしても人気が高まることを示唆した。

孤高の存在として君臨する『カラトラバ』に、複雑機構を搭載しながらも、フレンドリーな要素を備えた新顔。ここに、名門とて現状に安住しないチャレンジングな姿勢を垣間見ることができるだろう。

本作を特徴付けるのは、ダイヤル最外周の月表示の内側に記された数字にある。これが、ISO(国際標準化機構)に準拠した週番号だ。先端をT字にかたどったポインター針が、これを指し示す。

評価の高かったオリジナルのフォントは、デザイナーが手書きで起こしたものを転写する手法を採用。

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時分秒に加えて日付、曜日、週、月番号が並び、手書き感のある温かみが特徴のフォントが好評。「鉛筆の軸に彫られたようなタイポグラフィが、心の奥底の記憶装置を起動する」(並木さん)。
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新開発の自動巻きキャリバー「26-330 S C JSE」をゴールドではなく、ステンレススティールケースに収めた意欲的な試み。

※掲載した商品は税抜です。

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<出典>
MEN'S Precious冬号「寅さん」とヴィンテージ
メンズプレシャス冬号
【内容紹介】山田洋次監督インタビュー/「寅さん」のダンディズム/ミスターヴィンテージ、草彅剛の私物も大公開!/紳士の世界遺産、ヴィンテージ名品/MEN'S Precious WATCH AWARD 2019ほか
2019年12月6日発売 ¥1230(税込)
この記事の執筆者
TEXT :
MEN'S Precious編集部 
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MEN'S Precious2020年冬号より
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PHOTO :
戸田嘉昭・池田 敦(パイルドライバー)
STYLIST :
関口真実
WRITING :
高村将司
EDIT :
岡村佳代