毎年数多くの新作が登場するトゥールビヨンだが、受賞したのは、さすがともいうべき、孤高の天才時計師が腕を振るったユニークさ極まる最新作。通常のモデルと異なり、30秒で一周するキャリッジをダイヤル面に対して垂直にセットしている。

百花繚乱の複雑時計のなかで群を抜く独創性

F.P.ジュルヌ「トゥールビヨン・スヴラン・ヴァーティカル」

「トゥールビヨン・スヴラン・ヴァーティカル」●手巻き ●プラチナケース×カーフストラップ ●ケース径/42mm ¥27,600,000(F.P.ジュルヌ東京ブティック)
「トゥールビヨン・スヴラン・ヴァーティカル」●手巻き ●プラチナケース×カーフストラップ ●ケース径/42mm ¥27,600,000(F.P.ジュルヌ東京ブティック)

「面白い発想は、ひねくれ者のジュルヌさんらしい。飽和状態ともいえるハイコンプリケーションの世界では、斬新さが求められるのでしょう」と、ジュルヌ氏本人をよく知る松山 猛さんは、独創性を評価する。

「42mmのケースは腕になじむうえ、カーフストラップを採用しているので、デイリーユースしても不思議じゃない」と関口 優さんは、ユーザーフレンドリーな姿勢に共感。実際、着用したときのキャリッジの向きを考慮してデザインされている。

全体のバランスについては、「文字盤に対して垂直に動くトゥールビヨンという独創的な着想もさることながら、それをジュルヌ独特のスヴランのレイアウトに納めてみると、とてもチャーミングに映るのが魅力的です」という並木浩一さんの意見に代表されるように、さすがの審美性。

センスのよい成功者が、腕元に颯爽と着用する姿が目に浮かぶようだ。

フラッグシップモデル「スヴラン」に加わる新機構。トゥールビヨンには、ジュルヌ氏が得意とする「ルモントワール機構」を装備して、トルクの安定を図り、高精度を追求。トゥールビヨンでは珍しく、ステップ運針するデッドビートセコンドも搭載する。通常の2倍の速度で回転する様は圧巻。なお、エナメルダイヤルはブランド初となる。

ケースバックから覗くと、複雑な機構がつまびらかに。「独創性と技術力、そして伝統的な時計製造への深い敬意も感じます」(上根さん)。
ケースバックから覗くと、複雑な機構がつまびらかに。「独創性と技術力、そして伝統的な時計製造への深い敬意も感じます」(上根さん)。
レッドゴールド製の輪列受けには、クル・ド・パリ装飾が施され、キャリッジが収まる鏡面仕上げのリングと好対照をなしている。
レッドゴールド製の輪列受けには、クル・ド・パリ装飾が施され、キャリッジが収まる鏡面仕上げのリングと好対照をなしている。

※掲載した商品は税抜です。

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<出典>
MEN'S Precious冬号「寅さん」とヴィンテージ
メンズプレシャス冬号
【内容紹介】山田洋次監督インタビュー/「寅さん」のダンディズム/ミスターヴィンテージ、草彅剛の私物も大公開!/紳士の世界遺産、ヴィンテージ名品/MEN'S Precious WATCH AWARD 2019ほか
2019年12月6日発売 ¥1230(税込)
この記事の執筆者
TEXT :
MEN'S Precious編集部 
BY :
MEN'S Precious2020年冬号より
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PHOTO :
戸田嘉昭・池田 敦(パイルドライバー)
STYLIST :
関口真実
WRITING :
高村将司
EDIT :
岡村佳代