各審査員が、さらに独断と偏愛を持ち込んだら、「極私的」時計選びの楽しさが伝わる豊富なバリエーションに。発表されたばかりの話題の新作時計も登場!
審査員個人賞、目利きたちの私的「2019年の一本」
■1:腕元で人生を刻むアナログ精密機械
【上根 亨賞】パテック フィリップ「カラトラバ・ウィークリー・カレンダー Ref.5212A」
「パテックフィリップが新しく開発したムーブメントの優れた機構は注目に値します。ただ、この時計の最大のハイライトは、1日、1週間、1か月、1年を生きていることを、腕元の『大きく周回する5本の針で』実感できること。まるで人生を刻むかのような情緒ある腕時計。日進月歩で進化する現代文明のなかで、『超アナログ』な精密機械としての最高傑作だと思います」
■2:アニバーサリーを祝う主役に最適な花形モデル
【関口 優賞】オメガ「スピードマスター アポロ11号 50周年記念 リミテッド エディション ムーンシャイン™ゴールド」
「今年は、アポロ11号月面着陸と、時計史における自動巻きクロノグラフ誕生の年からの50周年。時計ファンとしては、ダブルで祝いたい。ならば、『スピードマスター』の記念モデルは絶好。厳密にはこちらは手巻きなので、そこはご愛嬌(笑)。オメガの最新技術の容赦ない注ぎ込みには脱帽です。あわせて登場したステンレススティールモデルは、真剣に購入も検討中です」
■3:トゥールビヨンの名門の矜持を示す超絶機構
【並木浩一賞】ブレゲ「クラシック トゥールビヨン エクストラフラット スケルトン 5395」
「ただでさえ高い技術を要する極薄トゥールビヨンを自動巻き化。さらに、ムーブメント外周を回るペリフェラル・ローター方式をとることで、それさえも気づかせない非常に美しいスケルトンに。トゥールビヨンの発明者、初代ブレゲを創業者とする名門ブランドの矜持を感じます」
■4:古い時計に魅せられた私が溺愛する繊細なつくり込み
【マーク・チョー賞】NH WATCH「NH TYPE 1B」
「随所にデザイナーの気配りが行き届いた時計です。現代の時計にしては珍しい37mm径ケースは、エレガントな小ぶり時計を好む私にぴったり。ダイヤル上の要素すべてが絶妙なバランスで配置され、高い技術を用いてエングレービングや合成漆塗りがされています。鮮やかな青い針が、先端に向かって細くなる形状も美しい。古い時計づくりのテクニックが込められた力作です」
■5:それぞれの字体が一貫した特徴と独自の様式備えた
【松山 猛賞】F.P.ジュルヌ「アストロノミック・ブルー」
「ミニッツ・リピーター、ルモントワール、トゥールビヨン、GMT、星座表、クロムブルー文字盤など。フランソワ-ポール・ジュルヌさんの持てる時計づくりのすべてを腕元の小さな小箱に詰め込んだ、傑作中の傑作。まさにミクロコスモスだと思うのです」
■6:つけ手に奥ゆかしさを与えるエルメスならではの詩的表現
【山下英介賞】エルメス「アルソー ルゥール ドゥ ラ リュンヌ」
「ふたつのダイヤルがケース内を周回し、北半球と南半球のムーンフェイズを同時に見せる。時計という物体を離れ、世界観やファッションとリンクするポエジーは、その表現者である『つけ手』をミステリアスに演出します。この発想ができるのはエルメスだけではないでしょうか」
■7:滑り込み最終便は、驚嘆必至、名門初となるスポーティウォッチ
【岡村佳代賞】A.ランゲ&ゾーネ「オデュッセウス」
「残念ながらアワードのエントリーに間に合わなかった最新作は、貴金属ケースしかなかった名門の初となるスティール製スポーティウォッチ。『ツァイトヴェルク』を思わせる3時位置、9時位置のアウトサイズデイト&デイ表示は圧巻」
※掲載した商品は、すべて税抜です。
問い合わせ先
- エルメスジャポン TEL:03-3569-3300
- A.ランゲ&ゾーネ TEL:03-4461-8080
- TEXT :
- MEN'S Precious編集部
- BY :
- MEN'S Precious2020年冬号より
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- WRITING :
- 高村将司
- EDIT :
- 岡村佳代