美しき室内の装いと名品家具
西洋と東洋が自然に調和する家具と装い
ミッドセンチュリー期に活躍した、建築家のピエール・ジャンヌレ。彼がインドの都市チャンディーガルの都市計画のために設計した家具の数々に、近年高い注目が集まっている。なかでもインドの職人技によってつくられ、アジアの気候風土にマッチするその椅子には、私たち日本人の心を揺さぶる何かがある。まるで半はん纏てんのようなデザインを特徴とするグッチのガウンとともに夜を楽しもう。
スウィングの時代を彷彿させるモダンな空間を生み出す
ル・コルビュジエが1920年代後半にデザインした、ダイニングテーブルの歴史的名品『LC6』。飛行機に使われていた金属パイプから着想を得たというその先進性は、当時どんな男たちに支持されたであろうか。シルクのドレッシングガウンをはおれば、その空間はまるで1930年代、ニューヨークのアパートメントハウス。目を瞑れば、パーティの嬌声とスウィング・ジャスの音色が聞こえてきそうだ。
アフリカの大地と交感する知的好奇心に満ちた空間
近年そのプリミティブな美しさに注目が集まる、アフリカの民芸品。中でも完成度の高さで知られつつあるのが、西アフリカの先住民族、セヌフォ族のスツールである。一本の丸太をくりぬいてつくったそのダイナミックな造形は、都市に生きる男たちにひとときの癒やしを与えてくれるだろう。カジュアルな装いのみならず、スリーピングシャツやガウンといった英国紳士的なルームウエアにもマッチする点が面白い。
室内を凜とした美意識で貫く、力強きモダンデザイン
近年コレクターたちが血眼になって探している、パリ生まれの建築家ジャン・プルーヴェのヴィンテージ家具。1951年にデザインされたスチール製のベッドは、金属加工を得意とした彼ならではの、力強いフォルムが魅力である。ややコンパクトなサイズなので、ソファがわりに使うのもおすすめ。上質なブランケットを合わせて、モダンさのなかに温もりを添えたい。
デンマーク家具の静謐さにラグジュアリーな肌触りを
生涯で500以上もの椅子をデザインした、デンマーク家具の巨匠ハンス・J・ウェグナー。彼が1953年にデザインしたハイバックチェア『GE290』は、今もなお現代人に愛され続けている傑作だ。人間工学を踏まえた快適な座り心地はもちろん、室内を広く、美しく見せる造形美も、日本人からの支持を集める所以である。カシミア製のスエット上下を着て、この椅子に体を沈めれば、男のやすらぎのひとときは、官能的な色彩すら帯びてくる。
照明とはかけがえのない時間を演出するための舞台装置だ
1920~30年代に、フランス人発明家のベルナール・アルバン・グラが生み出した鉄製のランプ。どんな空間にもマッチするモダンなデザインに加え、ネジや溶接を使わずボールジョイントで向きや角度を変化させる画期的な構造で、当時のデザイナーたちを驚愕させたという。上等なウール製スエットに包まれてうたた寝する紳士を、優しく、ドラマチックに照らしてくれる。
※特記したものを除き、価格はすべて税抜です。※2019年秋号掲載時の情報です。
- TEXT :
- MEN'S Precious編集部
- BY :
- MEN'S Precious2019年秋号より
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- PHOTO :
- 長山一樹(S-14)
- STYLIST :
- 櫻井賢之
- HAIR MAKE :
- MASAYUKI(the VOICE)
- MODEL :
- Yaron
- COOPERATION :
- 家所純子