ヴァン クリーフ&アーペル、時を刻むポエム

愛から生まれた宝飾メゾン、ヴァン クリーフ&アーペルを象徴する「レディ アーペル ポン デ ザムルー ウォッチ」に待望の新作が誕生! そうした伝説のウォッチを生み出すジュネーブの工房と、パリで開催された時計の新作発表会に、建築家でデザイナーの鬼木孝一郎氏が訪れました。

鬼木孝一郎さん
建築家/デザイナー
(おにき こういちろう)東京都生まれ。早稲田大学大学院卒業後、設計・デザイン会社に勤務。チーフディレクターとして国内外の空間デザインを手がける。2015年、鬼木デザインスタジオ設立。建築、インテリア、展示会などの空間デザインを中心に多方面で活躍中。

奇跡の複雑機構ムーブメントと、芸術的ダイヤルで描き出す恋人たちの物語

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時計「レディ アーペル ポンデ ザムルー ウォッチ」¥12,960,000【ケース径38mm、ホワイトゴールド×ダイヤモンド×エナメル、アリゲーターストラップ(替えストラップ付き)、自動巻き】(ヴァン クリーフ&アーペル)

恋人たちの出会いをロマンティックに表現した名品ウォッチ。その新作には新機構が搭載され、ボタンを押すたびにふたりのキスの瞬間が再現できるようになりました。

ヴァン クリーフ&アーペルの名作ウォッチに着想を得て誕生した「出会い」がテーマの一輪挿し

ヴァン クリーフ&アーペルを象徴する「レディ アーペル ポン デ ザムルー ウォッチ」。それは、時計師、エナメル職人、彫金師、宝飾職人など高度な専門技術をもつクラフツマンの力の結晶ともいえる至高の時計。

「限られた空間に、詩的な世界と物語が宿るヴァン クリーフ&アーペルのウォッチ。時計としての機能を追求しながらも、なんて夢があるのだろうと感動しました。

私も空間デザインの仕事をするとき、そこで人々がデザインの背景にある物語を感じ、記憶に残る時間を過ごしてほしいと考えています。この時計には、そんな自分の想いと共通するものを感じますね」と、鬼木氏は語ります。

その鬼木氏が、ヴァン クリーフ&アーペルの詩的な世界観と「レディアーペル ポン デ ザムルー ウォッチ」の恋人たちの物語に着想を得て作品を制作。「出会い」をテーマにした一輪挿しをデザインしました。

それは、日本古来の「継ぎ手」と呼ばれる建築技法でつくられています。素材の桧(ひのき)は日本、大理石は西洋を象徴し、その組み合わせが「異なる文化の出会い」を表現。「継ぎ手」のひとつである「金輪継(かなわつぎ)」は釘などを使わず、栓で素材を固定しますが、今回は栓を挿す箇所を花入れにしています。

美しさを追求するだけでなく機能性をもたせたかったという作品には、やはり「用の美」である時計のDNAが宿っているのかもしれません。

恋人たちの物語に着想を得て、東西の文化を融合したデザイン

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『tsugite』鬼木孝一郎、2019年【桧×大理石、360×75×75mm】

日本の伝統的な建築技法「継ぎ手」のひとつである「金輪継」をモチーフにした一輪挿し。本来、木材同士をはめ合わせる技術だが、今回は片方を大理石に。ふたつのパーツを組み合わせることで生まれる空間に花が飾られています。

「出会いと喜びを表現するものとして、この一輪挿しをデザインした」と語る鬼木氏。その洗練されたデザインには、モダンアートのような存在感が宿ります。

パリの街と「愛」の物語から生まれるヴァン クリーフ&アーペルのポエティックな世界

エステル・アーペルとアルフレッド・ヴァン クリーフの結婚によって、1906年、パリに誕生したヴァン クリーフ&アーペル。

「愛」から生まれたメゾンは創業以来、夢とロマンスをクリエイションの大切なテーマとしてきました。鬼木孝一郎氏が感銘を受けたという、そのポエティックな世界観とそれを表現する時計づくりへのこだわりをヴァン クリーフ&アーペル プレジデント兼CEOのニコラ・ボス氏にうかがいました。

パリのセーヌ川と橋の風景写真
朝陽に輝くパリのセーヌ川と、それぞれが個性的な表情をもつ橋。その数は、パリ市内だけで37本にもおよぶ。手前は、左岸のフランス学士院とルーブル宮を結ぶ「ポン デ ザール(芸術橋)」。©アフロ

創業者の結婚によって、その歴史がスタートしたヴァン クリーフ&アーペル。メゾンにとって「愛」は、常に重要なテーマであり、鬼木氏が魅了されたポエティックな世界観も創業当時からのものです。

そのヴァン クリーフ&アーペルは2006年、時の流れとともに詩情豊かな物語を綴ることのできる「ポエティック コンプリケーション」を生み出しました。そこから、「ポエトリー オブ タイム(詩情が紡ぎだす時)」の制作が本格的にスタート。その翌年には、妖精をモチーフにした象徴的なウォッチが誕生します。

「2007年に発表した、妖精が生きているかのように動くウォッチは、メゾンのシンボル的作品となりました。夢やおとぎ話などのポエティックな世界は、いつの時代も私たちにとってインスピレーションの源であり続けています。

そして、2010年に誕生した「レディ アーペル ポンデ ザムルー ウォッチ」もまた、重要な意味をもつ作品といえるでしょう。それは創業の地パリを舞台に、夢とロマンスを強調しながらも現実のラブストーリーを詩的に表現しているのです」と語るニコラ・ボス氏。

その時計制作において、まさにエポックメイキングとなった「レディアーペル ポン デ ザムルー ウォッチ」は、恋人たちがセーヌ川にかかる橋で出会い、真夜中にキスを交わすという愛の物語をレトログラードやオートマタ(自動人形)といった複雑機構を駆使して表現しています。

それから9年の歳月を経た2019年、物語の続編ともいえるウォッチが誕生。真夜中にキスを交わした恋人たちは、翌日の昼に橋の上で再会します。

「この時計はもともとパリの夜が背景でしたので、新作では昼を表現したいと思いました。物語とスピリットは前作と同じ。背景のデザインと色を変えることによって、昼と夜の違いを出しています。

使われているのはグリザイユと呼ばれるエナメル技法で、本来はモノトーンを描くための技術でした。それを応用することで、多彩なカラーパレットを作り出すことが可能に。装飾的技術の向上は、私たちにとって革新的なムーブメントの開発と同じように重要なのです」

そう語るボス氏は、特別な技術をもつ職人たちを世界中から招集。ヴァン クリーフ&アーペルの夢にあふれた詩的コンプリケーションウォッチは、これからも想像を超えた進化を続けていくのでしょう。

革新的技術と芸術性が融合した時をポエムに変えるウォッチ

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時計「レディ アーペル ポン デ ザムルー ジュール ウォッチ」¥12,960,000【ケース径38mm、ローズゴールド×ダイヤモンド×エナメル、アリゲーターストラップ(替えストラップ付き)、自動巻き】(ヴァン クリーフ&アーペル)

新たに登場した「レディ アーペルポン デ ザムルー ウォッチ」の昼のバージョン。雲間を舞い飛ぶツバメたち、やわらかな陽光に包まれた日中のパリの情景が美しく描かれています。

ふたりの出会いを演出するのは、「レトログラード」と呼ばれる機構です。針が扇状に動き、端まで到達するとスタート位置に瞬時に戻るフライバック機能で、この時計では重要な役割を担っています。

今回、新たに加えられた機構、「オンデマンド アニメーション モジュール」ボタン。ここを押すたびに、ふたりがキスを交わすロマンティックな瞬間をいつでも再現できるようになりました。

文字盤は、伝統のエナメル技術を進化させた「カラー グリザイユ エナメル」。その完成までには約10回もの焼成を行う必要があり、高度な技術力と時間を要します。

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文字盤に描かれたパリの風景はウォッチケースの裏側へと続き、精緻なエングレービング(彫金)の技で表現されています。太陽を背にした恋人たちが橋の上で結ばれる様子がドラマティック!

※掲載した商品は、すべて税抜です。

問い合わせ先

ヴァン クリーフ&アーペル ル デスク

TEL:0120-10-1906

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PHOTO :
戸田嘉昭
EDIT&WRITING :
福田詞子、中村絵里子(Precious)