ラグジュラリーブランドとスポーツメーカーとのコラボスニーカーや、ファッションブランドがさらに新しいスタイル提案のために、斬新なデザインのスニーカーを投入することは、今、メンズファッションの世界で最も積極的な動きだ。テニスシューズ、ランニングシューズ、あるいはローカットのバスケットシューズタイプなど、大人の着こなしと相性のいい、クラシックなデザインを基本にしたスニーカーのほか、色鮮やかな素材や科学的データに裏打ちされたディテールを盛り込むハイテクなものまで、まさに百花繚乱のデザインがそろう。
ドーメル×ザ・シュー・サージョンがコラボしたユニークな1足
そんななか、1月24日に満を持して登場したのが、“ドーメル×ザ・シュー・サージョン”のコラボスニーカーだ。まず、それぞれのブランドを説明しよう。
“ドーメル”は、1842年にパリで創業。英国服地の販売に始まり、今では自社生産も行う世界的な生地ブランドだ。地球環境の変化に注視しながら、原産地の特性を活かした原毛の厳選などを通して、時代にそくした最先端の生地を生み出してきている。
一方、“ザ・シュー・サージョン”は、ロサンゼルスを拠点に展開するカスタムフットウエアレーベルである。バスケットボール選手のスーパースターに君臨した、マイケル・ジョーダンによる『エア ジョーダン』のスニーカーにペイントを施し、カスタマイズした靴からスタート。アッパーにパイソンなどのエキゾチックレザーを大胆に使うなど、瞬く間に彼らのレーベルとスニーカーが世界に浸透した。
では、肝心のスニーカーについて。“ドーメル”を代表する生地「スポーテックス」を基に、新たに開発された素材がポイントである。「スポーテックス」とは、1922年に誕生したスポーツスタイルを彩る紳士服地で、軽快かつ爽やかなジャケットやパンツに今も多くのファッションブランドに選ばれている傑作だ。そのクラシックな香りの生地をスニーカー用に改良。服好きの間ではよく知られた、ドブクロスと呼ばれる100年以上前の織機を使い、双方のブランドの名称を織り込んだセルビッチで、象徴的なスニーカーとなった。
スニーカーのモデルは、「ナイキ エア フォース 1」がベース。ソールに施した黄色い糸のステッチは、その昔、生地を織る際に使われていたパンチカードをつなぎとめる糸からの転用である。
ナイキ エア フォース 1をベースにグレーとグリーンの2色展開
カラー展開は、グレーとグリーンの2色。専用ボックスには、スニーカーと同じ生地を使ったトートバッグと、ピンク色のパンチガードも同梱。スニーカーのマニアならずとも、十分に稀少価値のある限定50足のみの販売だ。
グレーの一足は、たっぷりとしたアウター&コットンパンツ、ツイードのジャケットにデニムといったコーディネートに似合いそう。グリーンの方は、よりスポーティな着こなしで楽しみたい。
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- TEXT :
- 矢部克已 エグゼクティブファッションエディター
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