雑誌メンズプレシャスでもおなじみの服飾史家・中野香織さんの近著『ロイヤルスタイル 英国王室ファッション史』には、服好きなら思わず目からウロコの薀蓄が満載だ。

英国王室のスタイルを綴った1冊

『ロイヤルスタイル 英国王室ファッション史』

日本では稀代の洒落者として知られるエドワード8世(ウィンザー公)の知られざる一面にも紙幅を割いており、読み応えあり! ¥2,200(吉川弘文館刊)

ヴィクトリア朝時代、ジェントルマン階級も新興産業資本家も、互いの出自を気にせず交流できるようにドレスコードが定められたこと。

その堅苦しさから逃れるためのラウンジスーツが、現在のスーツの原型であること。次代のエドワード7世が長い王位継承者時代にたしなんださまざまなスポーツが、メンズファッションにカジュアル化をもたらしたこと……詳しくは本書を手にとっていただくとして、本項では中野さんの目を通して感じられる、日本の紳士とファッションについてお話をうかがってみた。

「銀行の脱スーツ化に代表されるように、装いのカジュアル化が進んでいます。もっとも、男性のファッションの歴史はカジュアル化の歴史でもあるので、自然な流れといえます。ただし、ルーズと履き違えてはいけませんよね」

一方で、最近はオーダーメイドや、古い服を時代にアジャストさせて着続けるお直しが定着しつつある。

「スーツは本来、30年以上はもつもの。孫の代まで継承できるんです。1年に1着、ちゃんとした服をつくっていけば、安い既製服を消費していくよりもずっとリーズナブルですよ」

男の生き方、考え方についても中野さんの言葉は示唆に富む。「男性の魅力は、神秘性と密接に繫がっています。SNSでなんでもあけっぴろげにするのではなく、自分の時間を大切にしてみてはいかがでしょう」

2020年は、仲間に依存せず、自分を俯瞰することからはじめよう!

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MEN'S Precious編集部 
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MEN'S Precious2020年冬号より
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PHOTO :
黒石あみ
WRITING :
櫻井 香