食ブームといわれる最近は、数多くのお店を訪れて食べ歩くことが好まれる傾向にありますが、私の食に対する接し方はその真逆。蕎麦ならここ、カレーならここ、という具合に、ジャンルごとに決まった行きつけがあり、そこばかり通っています。一度や二度訪れただけではそのお店の真価はわかりませんし、毎回店を変えていては、本当に自分が好きな味がなんなのか見失ってしまうのではないでしょうか。

お決まりを持つことこそ、真のライフスタイル

池波正太郎を彷彿とさせる、ツイードの3ピースで来店した山本氏。店の雰囲気ともよく調和している。右はご主人の大木氏。写真のとおりの優しい笑顔で、いつも山本氏を出迎えている。「Ohki」東京都渋谷区渋谷1-24-7 渋谷フラットビル2F TEL:03-3409-2750 営業時間/11:30~20:30、土曜・日曜・祝日11:30~15:00 不定休
池波正太郎を彷彿とさせる、ツイードの3ピースで来店した山本氏。店の雰囲気ともよく調和している。右はご主人の大木氏。写真のとおりの優しい笑顔で、いつも山本氏を出迎えている。

洋食なら、私がいちばん好きなのは「喰いもの屋おおき」。

移り変わりの激しい渋谷の街で、もう24年も暖簾を守り続けています。同じく渋谷を本拠とする私にとっては、ライフスタイルのルーティンとしてぴったりフィットするお店です。格式ばっていないけれど、くだけすぎてもいない雰囲気も自分にとってはここちいいですね。昼食を摂りにひとりで来ることもありますし、夜に仲間と来ることもあります。

濃厚で、クセになるビーフカツレツ定食

ビーフカツレツ定食 ハンバーグトッピング/秘伝のデミグラスソースをかけたビーフカツレツ定食。濃厚で、クセになる味わいだ。山本氏はいつもハンバーグをトッピングしているという。夜はこれにビールや赤ワインを合わせて楽しむのがお決まりだ。ビーフカツレツ定食1150円、ハンバーグトッピング300円
ビーフカツレツ定食 ハンバーグトッピング/秘伝のデミグラスソースをかけたビーフカツレツ定食。山本氏はいつもハンバーグをトッピングしているという。夜はこれにビールや赤ワインを合わせて楽しむのがお決まりだ。

そしてここのデミグラスソースは、創業当初から毎日少しずつ注ぎ足し、煮込み続けてできた特別な味。このソースをたっぷりかけたビーフカツレツ定食が私のお気に入りです。

どこも似たような味に感じられがちなレストランのなかで、ここにしかない味を持ち、しかもそれを四半世紀近くも守り続けているというのは本当に素晴しいこと。

流行にとらわれないスタイルがあるということです。これはケイドが、志しているものとも共通しますね。

馴染みの店に入り、気心知れたご主人に会い、いつもの味を楽しむ。これがライフスタイルというものだと思うのです。体にスッと染み込んでいくようなビフカツの味を堪能しながら、気のおけない仲間たちとともに飲み慣れた酒を味わうのは、まさに至福のひとときですよ。(談)

問い合わせ先

  • 喰いもの屋おおき TEL:03-3409-2750
  • 住所/東京都渋谷区渋谷1-24-7 渋谷フラットビル2F
    営業時間/11:30~20:30、土曜・日曜・祝日11:30~15:00 不定休

※2019年秋号掲載時の情報です。営業時間などの詳細は、店舗HPなどでご確認ください。

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MEN'S Precious編集部 
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MEN'S Precious2019年秋号より
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