ヌケ感を出すなら断然ツーリング!

自慢のラゲッジルームは、先代よりも容量が30L増えて最大1700Lに。先進のエアサスペンション搭載で、荷物を大量に積んでも姿勢は崩れない。
自慢のラゲッジルームは、先代よりも容量が30L増えて最大1700Lに。先進のエアサスペンション搭載で、荷物を大量に積んでも姿勢は崩れない。

広い荷室が付いた乗用車は、今でこそ「ステーションワゴン」と呼ぶが、かつての日本では商用車が中心で、どれも「ライトバン」でひとくくりにされていた。

ステーションワゴンの優れた機能と、セダンとは一味違う格好良さが広く認識されるようになったのは、ボルボの「240」のエステートが人気を呼んだ1980年代後半あたりから。後継モデルの「850」にいたっては、セダンよりも売れたほど。

その頃のBMWはというと、売れ筋の「3シリーズ」はちょっとリッチなデートカーという位置づけで、当然セダンが主流だった。それでも、ぽつぽつとステーションワゴンの姿を見かけたものだ。

なかにはアルミホイールをわざわざシンプルな黒の鉄製に交換し、天井に大きなルーフボックスを積んで走るオーナーもいた。きっと彼らは気付いていたのだ。

オンタイム専用のよそいき然としたセダンよりもステーションワゴンのほうが“ヌケ感”があり、外観をドレスダウンすることで、こなれたスタイルを主張できるということを……。

大柄なボディならではの流麗なスタイリング

10.2インチの大画面モニターが鎮座するコクピット。各種操作は、ATレバー横のiDriveコントローラーとタッチスクリーンの両方で行なえる。
10.2インチの大画面モニターが鎮座するコクピット。各種操作は、ATレバー横のiDriveコントローラーとタッチスクリーンの両方で行なえる。

BMWのステーションワゴンは昔から「ツーリング」という名称で呼ばれるが、これはハッチバックモデルを初めて作った1975年からの伝統であり、4~5人の乗員と十分な荷物を積んで大陸間を旅することを目的とした、積載重視のGTといえるものだった。

その最新型である「5シリーズ・ツーリング」は、Bピラー(サイドガラス中央部分の柱)から後ろを専用設計としながら、付けたし感ゼロの流麗なスタイリングが魅力だ。

全長は5mに迫る巨体。同じく今年から日本で販売が始まったボルボの「V90」も同じくらいのサイズで、これくらいになると積載能力はもちろんのこと、のびやかなデザインが可能になるのだ。エンジンは2リッター4気筒のガソリンとディーゼル、そして3リッターの6気筒が選べる。

旅する大人に尽くす先進の装備が満載!

操舵もサポートする運転支援システムはセットが簡単。稼働中はメーターパネルの中央に表示が出る。
操舵もサポートする運転支援システムはセットが簡単。稼働中はメーターパネルの中央に表示が出る。

代替わりするごとにプレミアム感が増すなか、かつての賢人のような洒脱な着崩しは望むべくもないが、それでもやりようはある。

新型「5シリーズ・ツーリング」には、ディーゼルエンジン(2リッター)が用意されているのだ。

ガソリンエンジンのように点火装置を必要とせず、軽油を圧縮加熱した空気で自己発火させてエネルギーを生み出すディーゼルエンジンは燃費が良く、低回転から大きなトルクを生み出す。

「ツーリング」の名に恥じぬ、旅道具としての特性を発揮するパワーユニットなのだ。振動も驚くほど抑えられ、同乗者はまずそれとは気がつかないだろう。

荷物の量に応じて車高を常に一定に保つ、セルフ・レベリング機能付きのエアサスペンションを後輪に標準装備し、乗り心地も極上。自動ブレーキと操舵アシストを含む運転支援システムも装備され、高速道路を使ったロングドライブでも疲れ知らず。欧州製ステーションワゴンは、本気で遊ぶ大人たちに、とことん尽くしてくれる。

試乗車のシートは標準的なダコタレザー仕様。黒も悪くないが、ベージュを選ぶとドイツ車的な硬い雰囲気がやわらぐ。こだわる方は、より上質で色合いに富む、オプションのフルレザー・メリノを選ばれたし。
試乗車のシートは標準的なダコタレザー仕様。黒も悪くないが、ベージュを選ぶとドイツ車的な硬い雰囲気がやわらぐ。こだわる方は、より上質で色合いに富む、オプションのフルレザー・メリノを選ばれたし。

〈BMW・523d ツーリング・ラグジュアリー〉
全長×全幅×全高:4950×1870×1500㎜
車両重量:1800kg
排気量:1995cc
エンジン:直列4気筒ディーゼル
最高出力:190PS/4000rpm
最大トルク:400Nm/1750~2500rpm
駆動方式:2WD
トランスミッション:8AT 価格:813万円(税込)
■お問い合わせ
BMWカスタマー・インタラクション・センター
TEL:0120-269-437
https://www.bmw.co.jp/ja

この記事の執筆者
男性情報誌の編集を経て、フリーランスに。心を揺さぶる名車の本質に迫るべく、日夜さまざまなクルマを見て、触っている。映画に登場した車種 にも詳しい。自動車文化を育てた、カーガイたちに憧れ、自らも洒脱に乗りこなせる男になりたいと願う。