高い走破性と極上のキャビンを併せ持つことで「砂漠のロールスロイス」と表現されてきたレンジローバー。そのイメージをがらりと変えたのが、コンパクトなボディと軽快な走りのプレミアムSUVとして登場した、レンジローバー イヴォークだ。ブランドのエントリーモデルとして大人気となった初代だったが、昨年5月には“ドアヒンジ以外すべて新設計”という2代目が日本に上陸。基本スタイルこそキープコンセプトなれど、中身は確かに一新されていた。
パワートレインの選択肢は豊富!
注目点のひとつはディーゼルターボ(D180)が1種、ガソリン(P200)が1種、そしてガソリンのマイルドハイブリッド仕様(P300)が1種と、3タイプのエンジンが用意されたこと。今回はその中から2ℓの4気筒クリーンディーゼルをテストドライブした。
最高出力は180馬力だが、やはりディーゼルの大きな魅力は最大トルク430Nmというトルクの強さ。2トン近いボディを、発進からグングン加速させる力強さとそのフィーリングは、イヴォークの軽快さにはぴったりだ。なお、今回は時間の都合でロングドライブを試していない。ひょっとしたらクリーンディーゼルの本領発揮で、カタログデータの12.8km/ℓ(WLTCモード)を簡単にクリアするかもしれない。
ディーゼルでも静かに紳士的に走る
インテリアは静粛性が保たれ、実にマナーがいい。9速のトランスミッションはセッティングもよく、高速道路で80km/hで巡航すると1000回転少々、100km/hであっても1500回転前後でクルージングできる。クルージング状態ではガソリンかディーゼルかを感じ分けるのはかなり難しい。もちろん、追い越し態勢に入れば強力なトルクと同時に、少しばかりノイジーなエンジン音を伴うのだが、それさえも許容範囲である。
さらにそこから市街地に降りてもディーゼルのネガティブな要素を感じることはなく、軽快なフットワークと扱いやすさを伴ってドライブができる。これにはやはり、新開発のプラットフォームが寄与していることは確実。旧型よりも確実に引き締まった印象の乗り心地を実現している。
デジタル化最前線をイヴォークで味わう
より上質な印象になった乗り心地を、液晶パネルでの表示を多用したインテリアで味わうと、新世代のレンジローバーに乗っているという感覚がさらに強くなってくる。運転席周りを中心に一新されコクピットに座ると、液晶画面にずらりと囲まれた感じがする。エンジンをスタートさせると計器類がフワッと浮かび上がったり、センターパネルの液晶モニターにはタッチアイコンが並ぶなど、デジタル化完了といった感。
一方で、先代では賛否の分かれた、せり上がり式のダイヤル型ATセレクターはなくなり、ジャガーなどと共通のシフトノブが採用されている。先進性やデザイン面ではダイヤル式のほうが良かったかもしれないが、新しい室内はどんな評価になるのだろうか?
【ランドローバー レンジローバー イヴォーク D180】
ボディサイズ:全長×全幅×全高=4,380×1,905×1,650mm
車重:1,970kg
駆動方式:4WD
トランスミッション:9速AT
直列4気筒DOHC:1,999cc
最高出力:132kw(180PS/4,000rpm)
最大トルク:430Nm/1,750~2,500rpm
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- TEXT :
- 佐藤篤司 自動車ライター