グッチの取説すべての男たちに捧ぐ!4人のグッチの「トリセツ」

■1:トラディショナルマインドにユーモアを添えて

グッチからは、ファッションブランドを超えた、カルチャーの深度を感じます。その一見装飾的なデザインの根底には、必ずクラシックやトラディショナルのルーツがある。アレッサンドロ・ミケーレ氏の頭の中には、ファッションの文化史すべてが詰まっているような気すらするのです。そんなグッチを私が着るなら、トラディショナルマインドに根ざしつつユーモアを取り入れます。ミケーレ氏のコンセプトの本質には、それがあると思うのです。(談・栗野宏文さん)

SELECT1:貴族の昼と夜を一着に封じ込めたジャケット

ピーコート¥510,000(グッチジャパン)撮影/小池紀行(パイルドライバー)
ピーコート¥510,000(グッチ ジャパン)撮影/小池紀行(パイルドライバー)

重厚なメルトン生地をベースに大量のメタルボタンや碇モチーフの刺しゅうをあしらった、凜々しいピーコート。ただしそで口やポケットのフラップに施したあしらいは、まるで英国貴族御用達のドレッシングガウンを彷彿させる。ゆったりしたシルエットと相まって、大人の余裕を感じさせる一着だ。

SELECT2:大人の着こなしにユーモアをプラス

ビッグロゴTシャツ¥45,000(グッチジャパン)撮影/小池紀行(パイルドライバー)
ビッグロゴTシャツ¥45,000(グッチ ジャパン)撮影/小池紀行(パイルドライバー)

アレッサンドロ・ミケーレ氏のユーモアに共感するという、栗野さんが選んだビッグロゴTシャツ。意外にもシックなデザインは、ジャケットに合わせるのも面白い。

SELECT3:ジェントルマンテイストを遊ぶストライプシャツ

ドレスシャツ¥80,000(グッチジャパン)撮影/小池紀行(パイルドライバー)
ドレスシャツ¥80,000(グッチ ジャパン)撮影/小池紀行(パイルドライバー)

英国クラシックを濃厚に感じさせる、ストライプのドレスシャツ。襟羽根にはステッチが入っておらず、それがスタイリングに独特のモダンさを感じさせる。

SELECT4:ヴィンテージテイストはグッチの真髄!

アーガイルニット¥145,000(グッチジャパン)撮影/小池紀行(パイルドライバー)
アーガイルニット¥145,000(グッチ ジャパン)撮影/小池紀行(パイルドライバー)

ヴィンテージっぽいレトロな配色が魅力の、Vネックのアーガイルニット。ボタンダウンシャツやチノパンなどに合わせた、ナードな装いにぴったりはまる。

スウィンギン・ロンドン期のユーモア漂うトラディショナルなコーディネート

ジャケット¥400,000・カーディガン¥185,000・パンツ¥140,000(グッチジャパン)ギットマンヴィンテージのシャツ、ジュープバイジャッキーのボウタイ、マノロブラニクの靴は私物。撮影/小池紀行(パイルドライバー)
ジャケット¥400,000・カーディガン¥185,000・パンツ¥140,000(グッチ ジャパン)ギットマンヴィンテージのシャツ、ジュープ バイ ジャッキーのボウタイ、マノロブラニクの靴は私物。撮影/小池紀行(パイルドライバー)

グッチのプレッピーテイストのパイピングジャケットやカーディガンに、私物のラウンドカラーシャツやボウタイ、コンビシューズをミックス。「ツイッギー主演の映画『ボーイフレンド』(1971年)のスウィンギン・ロンドン的世界観を意識して、トラッドのなかにポップさを効かせました」という栗野さん。モードの印象が強いグッチでこんなトラディショナルかつ軽快なコーディネートが楽しめるとは、新しい発見である!


■2:’70年代のニューヨーカーをイメージ

一見すると手強そうですが、探すと実はベーシックで着やすいワードローブがたくさん見つかるのが、現在のグッチ。しかもヴィンテージ、トラッド、70’s……。ファッションの嗜好も問いません。雑食傾向の僕としては次々と目移りしてしまうのですが、今季いちばん挑戦したいのは、1970年代のニューヨークトラッド。ツイードのコートやホースビットローファーを、気どらずチノパンなどに合わせたいですね。(談・山下英介)

SELECT1:’70年代テイストのクラシックショルダー

2WAYショルダーバッグ¥690,000(グッチジャパン)撮影/小池紀行(パイルドライバー)
2WAYショルダーバッグ[縦25×横28.5×マチ15cm]  ¥690,000(グッチ ジャパン)撮影/小池紀行(パイルドライバー)

ユニセックスで使える、ややコンパクトな2WAYショルダーバッグ。ツイードとリザードのコンビという素材使いが、1970年代のグッチを彷彿させる、ヴィンテージテイストの一品だ。コーデュロイジャケットやチノパンなど、アメリカントラッドなアイテムとの相性も抜群だ。

SELECT2:ジャケットに合わせたいオープンカラーシャツ

オープンカラーシャツ¥125,000(グッチジャパン)撮影/小池紀行(パイルドライバー)
オープンカラーシャツ¥125,000(グッチ ジャパン)撮影/小池紀行(パイルドライバー)

両胸にポケットが付いたヴィンテージテイストのオープンカラーシャツ。コットンスーツのインナーに合わせて、襟を出すのが気分。

SELECT3:グッチ初心者におすすめのパターンドニット

ニット¥200,000(グッチジャパン)撮影/小池紀行(パイルドライバー)
ニット¥200,000(グッチ ジャパン)撮影/小池紀行(パイルドライバー)

トラッド派の間で評価の高い、グッチのニット。ブランドのアイコンをあしらったこちらのウールのカーディガンも、合わせるアイテムを選ばない優れもの。

SELECT4:気構えずそでを通せるグッチ流クラシック

スモーキングジャケット¥430,000(グッチジャパン)撮影/小池紀行(パイルドライバー)
スモーキングジャケット¥430,000(グッチ ジャパン)撮影/小池紀行(パイルドライバー)

英国貴族を思わせるデザインながら、ウエストや背中にポップな意匠を施すことでより身近な存在にした、グッチならではのスモーキングジャケット。

ツイードのコートをアメリカントラッドをイメージしたコーティネート!

コート¥360,000・ハット¥47,000・靴¥72,000(グッチジャパン)イラストMr.Slowboy
コート¥360,000・ハット¥47,000・靴¥72,000(グッチ ジャパン)イラスト/Mr.Slowboy

グッチが発表したざっくりしたツイード素材のコートは、ビッグシルエットや低いゴージ位置がレトロな印象。細身のウールパンツと合わせてもよいが、山下はあえて2タックのチノパンやケーブル編みのニット、白いボタンダウンシャツを合わせることで、アメリカントラディショナルな着こなしに。「これだけではシンプルすぎるので、『GGパターン』のハットや『ホースビット』のエスパドリーユでひとクセ加えれば、気分は’70年代のニューヨーカー!ウディ・アレンのような、気どらないお洒落が楽しめます」(山下)。


■3:粗野なものとの対比でラグジュアリー感を際立たせて

グッチはランウェイのインパクトが強烈だったため、デザイン性が強すぎるのかな?と思っていたのですが、実際の商品はシンプルで上品なものが多いことに驚きました。ただ、単なるシックな服に終わらず、随所にこれ見よがしなほどゴージャスなセンスを覗かせる点が、また素敵です。私が着るなら、あえてワイルドなアイテムと合わせることで、その魅力を際立たせますね。(談・西口修平さん)

SELECT1:3シーズン着られる機能派トレンチ

トレンチコート¥470,000(グッチジャパン)撮影/小池紀行(パイルドライバー)
トレンチコート¥470,000(グッチ ジャパン)撮影/小池紀行(パイルドライバー)

エポレットやチンストラップなど、ミリタリーテイストのディテールを備えた、男っぽいコットン製トレンチコート。アニマルプリントのライニングは取り外しが可能だから、3シーズン着用できる。本格的な機能と、専業ブランドでは手に入らないラグジュアリー感を兼ね備えた一着は、ぜひ手に入れておきたい。

SELECT2:クラシックな装いのよきアクセントに!

ポンチョ¥119,000(グッチジャパン)撮影/小池紀行(パイルドライバー)
ポンチョ¥119,000(グッチ ジャパン)撮影/小池紀行(パイルドライバー)

ウールのポンチョはジャケットの上にはおるアウターとして、西口さんも愛用。「インターロッキングG」入りのこちらも、着こなしのいいアクセントになりそうだ。

SELECT3:グッチならではのゴージャスなクラシック

ブレザー¥480,000(グッチジャパン)撮影/小池紀行(パイルドライバー)
ブレザー¥480,000(グッチ ジャパン)撮影/小池紀行(パイルドライバー)

「インターロッキングG」入りのストライプ生地やゴールドのボタン、シルク製の裏地といった、グッチならではのゴージャスな意匠を効かせたブレザー。

SELECT4:キッチュなユーモアでクラシックをアップデート

ショッピングバッグ¥83,000(グッチジャパン)撮影/小池紀行(パイルドライバー)
ショッピングバッグ¥83,000(グッチ ジャパン)撮影/小池紀行(パイルドライバー)

現代のグッチらしさを感じさせる、レトロなショッピングバッグ。クラシックなスタイルに合わせて、ユーモアを効かせたい。縦42×横38×マチ10㎝。

ヴィンテージとのミックスでつくるワイルドプレッピーなコーディネート

ジャケット¥315,000・ポーチ¥73,000(グッチジャパン)レミレリーフのTシャツ、ヴィンテージのチノパン、グッチのヴィンテージローファー、トゥアレグ族のブレスレット、ヴィンテージの時計、ヴィンテージのサングラスは私物。撮影/小池紀行(パイルドライバー)
ジャケット¥315,000・ポーチ¥73,000(グッチ ジャパン)レミレリーフのTシャツ、ヴィンテージのチノパン、グッチのヴィンテージローファー、トゥアレグ族のブレスレット、ヴィンテージの時計、ヴィンテージのサングラスは私物。撮影/小池紀行(パイルドライバー)

「テーマは貴族の息子が不良だったら。英国貴族に由来するボーディングブレザーを、あえて粗野なヴィンテージアイテムとコーディネートすることで、グッチ本来の遊び心あるラグジュアリーを引き出しています」と西口さん。上質に仕立てられたブレザーだからこそ育ちのよさが伝わる、少々ワイルドでリッチなプレッピースタイルだ。


■4:グッチらしさと自分らしさの融合から新しい自分を見つけて

アレッサンドロ・ミケーレ氏のデザインからは、過去の遺産から解き放たれた、潔いまでの自由さを感じます。しかし面白いのは、決してらしさは失われていないこと。それは彼こそが、過去のノスタルジーにとらわれない新しいグッチらしさをつくっているからでしょう。年齢を重ねると、つい男は安定を求めがちですが、そんな自分を揺さぶるためにもグッチを取り入れてみてはいかがでしょうか。(談・大住憲生さん)

SELECT1:フランスの粋を感じさせる個性派アウター

ケープ¥285,000(グッチジャパン)撮影/小池紀行(パイルドライバー)
ケープ¥285,000(グッチ ジャパン)撮影/小池紀行(パイルドライバー)

フレンチシックの香り漂う、千鳥格子のケープ。ウール100%の表地とカシミア混のタッターソール生地をダブルフェイス使いした、ラグジュアリー極まる一着だ。黒のタートルネックやチャコールグレーのスラックスなどモノトーンで統一したコーディネートで、パリのエレガンスを極めたい。

SELECT2:シャープなシルエットが際立つ一本

トラウザーズ¥120,000(グッチジャパン)撮影/小池紀行(パイルドライバー)
トラウザーズ¥120,000(グッチ ジャパン)撮影/小池紀行(パイルドライバー)

紳士の脚をスマートかつエレガントに見せる、側章入りのトラウザーズ。生地はモヘアウールで、すそ幅は18cm。心地よい緊張感が楽しめる、スタイリッシュな一本だ。

SELECT3/中世貴族のエレガンスが漂うベルベットジャケット

ジャケット¥370,000・シャツ¥215,000(グッチジャパン)撮影/小池紀行(パイルドライバー)
ジャケット¥370,000・シャツ¥215,000(グッチ ジャパン)撮影/小池紀行(パイルドライバー)

ノーブルさ極まる、グリーンのベルベットを使ったダブルブレストジャケット。タイトだがストレッチが効いているため、着心地は快適。

SELECT4:野暮ったくないスマートなトートバッグ

トートバッグ[縦44×横41㎝×マチ3㎝]¥220,000(グッチ ジャパン)撮影/小池紀行(パイルドライバー)

さりげなくエイジング加工を施したキャンバス生地に「ウェブストライプ」をあしらった、クラシックかつスマートなトートバッグ

ナイロンブルゾンを自由な発想でインナー使い!

ジャケットのインナーに着たブルゾン¥195,000・靴¥94,000・サングラス¥67,000(グッチジャパン)撮影/小池紀行(パイルドライバー)
ジャケットのインナーに着たブルゾン¥195,000・靴¥94,000・サングラス¥67,000(グッチ ジャパン)イラスト/Mr.Slowboy

ビスポークしたダブルブレストのブレザーに、ベルトレスにこだわったフレンチブルーのスリムトラウザーズという、フレンチエレガンス漂う着こなしをトレードマークにする大住さん。そんなシックな装いのインナーに、なんと貴族的なプリントを施したナイロンブルゾンを合わせるという、驚きのアイディアを披露してくれた。「こんな着こなしで、パリの『ボンマルシェ』にでも行ってみたいですね」(大住さん)

※2019年秋号掲載時の情報です。※価格はすべて税抜、参考価格になります。


栗野宏文さん
「ユナイテッドアローズ」上級顧問
1953年生まれ。「ユナイテッドアローズ」のディレクションやバイイングに加え、雑誌への寄稿やDJなど、様々な分野で活躍。2004年には英国王立美術学院より名誉フェローを授与されるなど、ファッションカルチャーへの造詣の深さでも有名。
山下英介
「MEN’S Precious」クリエイティブディレクター
1976年生まれ。クラシックからモードまで多彩なファッションを愛好。近年は一方的にハードルの高さを感じていたグッチだが、周囲のトラッド好きがこぞって夢中になっていることに気づき、再び夢中に。70’sスタイルに取り入れている。
西口修平さん
「ビームスF ディレクター」
1977年生まれ。クラシックにヴィンテージテイストをミックスしたスタイリングで、大人の男の着こなしに新風をもたらす名バイヤー。メンズファッション界屈指のインフルエンサーとしても知られている。
大住憲生さん
「ファッションディレクター」
1954年生まれ。様々な媒体で活躍するファッションディレクター。現在は「モア・トゥリーズ・デザイン」の取締役スーパーバイザー。パリのエレガンスと出身地である熊本のワサモン(新しいモノ好き)気質を併せ持つ、日本を代表する洒落者だ。
この記事の執筆者
TEXT :
MEN'S Precious編集部 
BY :
MNE'S Precious2019年秋号より
名品の魅力を伝える「モノ語りマガジン」を手がける編集者集団です。メンズ・ラグジュアリーのモノ・コト・知識情報、服装のHow toや選ぶべきクルマ、味わうべき美食などの情報を提供します。
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