ひとに威圧感を与えるような格好は好きじゃない。男の装いは、すこし間抜けなくらいがちょうどいいと思っている。そんな嗜好はクルマについても同様で、所有しているのは黄色い初代『カングー』。だけれど、僕が本当に、本当に乗りたいのはこの『2CV』なんだ!

「こうもり傘に4つの車輪を付ける」というシンプル極まりないコンセプトで1948年に開発され、’90年まで生産され続けたフランスが誇る大衆車。発表当時、醜いアヒルの子やブリキの缶詰などと酷評されたエキセントリックなデザインは、上述したような趣味を持つ私にとっては、むしろたまらなく愛おしい。

たまらなく愛おしいエキセントリックな大衆車

シトロエン『2CV』

1948年に登場して以来、フランスでは’88年まで、ポルトガル工場では’90年まで製造された不滅のロングセラー。空冷2気筒OHVエンジンの息づかいは清々しいほど。写真のモデル(’87年式)は〝タミヤ〟のプラモデルのパッケージイラストと同じ色に塗装され、やわらかな雰囲気に。中古車相場は120万~250万
1948年に登場して以来、フランスでは’88年まで、ポルトガル工場では’90年まで製造された不滅のロングセラー。空冷2気筒OHVエンジンの息づかいは清々しいほど。写真のモデル(’87年式)はタミヤのプラモデルのパッケージイラストと同じ色に塗装され、やわらかな雰囲気に。中古車相場は120万~250万

旧車の底なし沼にハマるのを恐れ、長年「クーラーがない」ことを理由に購入を見送っていた私だが、そんな予防線は決壊。パリ取材の際に、生まれてはじめて試乗してしまったのだ。触れるほど体になじむ操作性、意外と快適なシートの座り心地、そしてファニーすぎる風貌……。なぜだか私は、このクルマが他人とは思えなくなってしまった。今年衝動買いした旧いヴェスパの支払いを終え次第、こちらの購入計画に取り掛かろうと思う。本気である!(文・山下英介/本誌クリエイティブディレクター)

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MEN'S Precious編集部 
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MEN'S Precious2019年秋号より
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戸田嘉昭(パイルドライバー)
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