名品は使い込み、適切な手入れを施すことで、無二の存在へと育つ。とはいえクルマの場合、そう簡単にコトは運ばない。長く乗り続けようにも、年とともに純正部品は入手しづらくなり、欧州車の場合、高湿度で発進・加速の多い日本の環境ではトラブルが頻発する。近年、いくつかのメーカーがクラシックカー・オーナー向けのリフレッシュプランを展開するようになったのは朗報だが、車種は限られている。

世界中のファンを狂喜させているジャガー・ランドローバー

『XKSS』に乗り込むスティーブ・マックイーン。『Dタイプ』の内外装にわずかな手を加えただけの、硬派なクルマだった。
『XKSS』に乗り込むスティーブ・マックイーン。『Dタイプ』の内外装にわずかな手を加えただけの、硬派なクルマだった。

そんな、クルマ道楽の行く手を阻む諸問題に対して、「だったら新車でどう?」と、粋な計画を推進しているのが、ジャガー・ランドローバーだ。同社の高性能モデルを手がける「SVO」(スペシャル・ヴィークル・オペレーションズ)のクラシックカー部門が核となり、これまでにランドローバーの『シリーズ1』(のちの「ディフェンダー」)や初代『レンジローバー』を新車同様にレストアして限定販売したほか、ジャガーでも『Eタイプ』を再生し、世界中のファンを狂喜させている。

ジャガーの伝説的なレーシングカー『Dタイプ』

『Dタイプ』は直列6気筒のハイチューンエンジンを搭載し、ボディは当時最先端のアルミ製。当初は100台を生産する予定が、工場の火事によって頓挫してしまった。今回の再生産は、計画台数の残り25台分となる。写真の『Dタイプ』は、お披露目用につくられたプロトタイプ。
『Dタイプ』は直列6気筒のハイチューンエンジンを搭載し、ボディは当時最先端のアルミ製。当初は100台を生産する予定が、工場の火事によって頓挫してしまった。再生産は、計画台数の残り25台分となる。写真の『Dタイプ』は、お披露目用につくられたプロトタイプ。
オリジナルの図面を基に、タイトでむだをそぎ落としたコクピットを忠実に再現。
オリジナルの図面を基に、タイトでむだをそぎ落としたコクピットを忠実に再現。
コクピット後方に取り付けられたフィンは、直進安定性を狙ったもの。ボディはロングノーズとショートノーズの2種類があり、購入者の希望で選択が可能だ(プロトタイプはロングノーズ仕様)。
コクピット後方に取り付けられたフィンは、直進安定性を狙ったもの。ボディはロングノーズとショートノーズの2種類がある。(プロトタイプはロングノーズ仕様)。

そしてこのたび発表されたのが、1955~’57年にかけて、ル・マン24時間耐久レースで3度の優勝を成し遂げたジャガーの伝説的なレーシングカー『Dタイプ』だ。こちらはレストアではなく、’56年に最後の1台が製造されてから、実に’63年ぶりの再生産。昨年、スティーブ・マックイーンが乗っていたことで知られる『XKSS』を9台再生産した実績を元に、あらゆる面においてオリジナルを再現する。

公道では乗れない道楽カーに億の金をつぎ込む贅沢を、我こそ味わいたいという方は、ぜひ名乗りをあげてほしい。

※2018年春号掲載時の情報です。 

この記事の執筆者
TEXT :
MEN'S Precious編集部 
BY :
MEN'S Precious2018年春号より
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WRITING :
櫻井 香
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