名品は使い込み、適切な手入れを施すことで、無二の存在へと育つ。とはいえクルマの場合、そう簡単にコトは運ばない。長く乗り続けようにも、年とともに純正部品は入手しづらくなり、欧州車の場合、高湿度で発進・加速の多い日本の環境ではトラブルが頻発する。近年、いくつかのメーカーがクラシックカー・オーナー向けのリフレッシュプランを展開するようになったのは朗報だが、車種は限られている。
世界中のファンを狂喜させているジャガー・ランドローバー
そんな、クルマ道楽の行く手を阻む諸問題に対して、「だったら新車でどう?」と、粋な計画を推進しているのが、ジャガー・ランドローバーだ。同社の高性能モデルを手がける「SVO」(スペシャル・ヴィークル・オペレーションズ)のクラシックカー部門が核となり、これまでにランドローバーの『シリーズ1』(のちの「ディフェンダー」)や初代『レンジローバー』を新車同様にレストアして限定販売したほか、ジャガーでも『Eタイプ』を再生し、世界中のファンを狂喜させている。
ジャガーの伝説的なレーシングカー『Dタイプ』
そしてこのたび発表されたのが、1955~’57年にかけて、ル・マン24時間耐久レースで3度の優勝を成し遂げたジャガーの伝説的なレーシングカー『Dタイプ』だ。こちらはレストアではなく、’56年に最後の1台が製造されてから、実に’63年ぶりの再生産。昨年、スティーブ・マックイーンが乗っていたことで知られる『XKSS』を9台再生産した実績を元に、あらゆる面においてオリジナルを再現する。
公道では乗れない道楽カーに億の金をつぎ込む贅沢を、我こそ味わいたいという方は、ぜひ名乗りをあげてほしい。
※2018年春号掲載時の情報です。
- TEXT :
- MEN'S Precious編集部
- BY :
- MEN'S Precious2018年春号より
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- WRITING :
- 櫻井 香