世の中にワールドタイマーやGMTウォッチの類は数あれど、モンブランの「1858 ジオスフェール」の独創性は抜きん出ている。なにしろ、文字盤上には赤道で真っ二つにした地球があり、それが自転するのだ。小生は眺めているだけで、時の経つのも忘れてしまう。多くのワールドタイマーは固定した都市名リングと回転する24時間リングで世界の時刻を表示する。しかしこの腕時計は東から太陽が昇り西に沈む、地球のそのままを再現しているのである。複雑機構ながら単純明快で洒脱なこの機構は、モンブランだけのものだ。これほどのコンプリケーションに無茶なプレミアムを乗せず、クロノグラフ並の価格しか付けないのもまたモンブランらしい誠実さだ。

地球を俯瞰で見られるモンブラン「1858 ジオスフェール」に待望のブルーが加わった

地球を南北両半球に分けて再現する、壮大なスケールのコンプリケーション。上の北半球、下の南半球がそれぞれ自転方向に24時間で一回転する。ブルーの海とアイシーホワイトの陸地、時差ゼロの基準子午線にはライトなブルーの線を引いた。●自動巻き ●チタン ●ケース径42mm ●24時間表示 ●100m防水 ●カーフ革ストラップ ¥637,000 ※税抜価格 
地球を南北両半球に分けて再現する、壮大なスケールのコンプリケーション。上の北半球、下の南半球がそれぞれ自転方向に24時間で一回転する。ブルーの海とアイシーホワイトの陸地、時差ゼロの基準子午線にはライトなブルーの線を引いた。●自動巻き ●チタン ●ケース径42mm ●24時間表示 ●100m防水 ●カーフ革ストラップ ¥637,000 ※税抜価格 
世界7大陸の最高峰(セブン・サミッツ)とスイスのモンブラン山をブルーでポイントした「1858 ジオスフェール」は登山家の夢である世界七大陸最高峰登頂制覇に捧げるモデルでもある。さらに、暗闇の中で蓄光塗料スーパールミノバを仕込んだ地球が姿を現す景色は、もはや神の視点である。
世界7大陸の最高峰(セブン・サミッツ)とスイスのモンブラン山をブルーでポイントした「1858 ジオスフェール」は登山家の夢である世界七大陸最高峰登頂制覇に捧げるモデルでもある。さらに、暗闇の中で蓄光塗料スーパールミノバを仕込んだ地球が姿を現す景色は、もはや神の視点である。

 そんな現代の名機の2020年の新作モデルが魅力的だ。まず、文字盤にとうとうブルーが仲間入りした。「1858 ジオスフェール」は最初にブラック文字盤で誕生し、グリーンが続いた。腕時計の近年のメガトレンドであるブルーが、予定調和のごとく現れたのである。さらに、チタン製のケースが採用されたことも見逃せない。ワールドタイマーは世界中に持ち出され、時にはタフに扱われる。軽量であることも傷や腐食に強いこともアドバンテージであり、その点でチタンもまた待たれていた。そして、ブレスレット仕様も初登場である。

●自動巻き ●チタン ●ケース径42mm ●24時間表示 ●100m防水 ●チタン×ステンレススティール製ブレスレット ¥671,000 ※税抜価格
チタングレード5とステンレススティールのバイメタルブレスレットのモデル。涼やかな “アイシーブルー”と“アイシーホワイト”によく似合う。●自動巻き ●チタン ●ケース径42mm ●24時間表示 ●100m防水 ●チタン×ステンレススティール製ブレスレット ¥671,000
チタングレード5とステンレススティールのバイメタルブレスレットのモデル。涼やかな “アイシーブルー”と“アイシーホワイト”によく似合う。

 正直なところ、モンブランの革ストラップはイタリア・フィレンツェの工房でつくられていて、カーフもアリゲーターも非常に出来がいい。オプションで用意されたNATOストラップも気を惹く。その点を承知のうえで、このブレスレットには心を奪われる。内側5連の米粒状のコマはSSをポリッシュし、外側のチタン製コマと合わせるバイマテリアル、バイメタルのブレスレット。趣向と性能を兼ね備え、なにより見た目がうつくしい。

ノスタルジックな雰囲気に、威厳を感じさせるラインナップ

「1858 ジオスフェール」の文字盤は、新作のブルー以外にブラックとカーキグリーン。2つのスタイルの革ストラップは、アウトドアユースを意識したタフな造りが好ましく、さらにNATOストラップは、フランスの伝統工房で職人が手作業でつくっている。ケース素材は堅牢なステンレススティールに加え、ブロンズ製ケースをフィーチャーしている点がコレクションの注目点だ。船具に好んで使われてきた素材であることからもわかるように耐久性に優れるいっぽうで、使えば使うほど経年変化によって、ふたつとない自分だけの味が出てくる。ブロンズモデルはどれも「リミテッドエディション」で、それぞれ1858本限定だ。写真左から ●ブロンズ×グリーン文字盤 ¥710,000 ※限定1858本 ●ブロンズ×ブラック文字盤¥710,000 ※限定1858本 ●ブロンズ×ブラック文字盤 ¥710,000 ※限定1858本 ●ステンレススティール×ブラック文字盤 ¥625,000 
「1858 ジオスフェール」の文字盤は、新作のブルー以外にブラックとカーキグリーン。2つのスタイルの革ストラップは、アウトドアユースを意識したタフな造りが好ましく、さらにNATOストラップは、フランスの伝統工房で職人が手作業でつくっている。ケース素材は堅牢なステンレススティールに加え、ブロンズ製ケースをフィーチャーしている点がコレクションの注目点だ。船具に好んで使われてきた素材であることからもわかるように耐久性に優れるいっぽうで、使えば使うほど経年変化によって、ふたつとない自分だけの味が出てくる。ブロンズモデルはどれも「リミテッドエディション」で、それぞれ1858本限定だ。写真左から ●ブロンズ×グリーン文字盤 ¥710,000 ※限定1858本 ●ブロンズ×ブラック文字盤¥710,000 ※限定1858本 ●ブロンズ×ブラック文字盤 ¥710,000 ※限定1858本 ●ステンレススティール×ブラック文字盤 ¥625,000 

 夏場に革ストラップを休ませるのは、日本の腕時計ファンの知恵だ。気温も湿度も低く(最近はそうでもないが)欧州では、新作時計がまず革ストラップで発表されることが珍しくない。そしてそれらにメタルブレスレット版が登場して、日本での人気に突然、火がつくこともまた多いものだ。軽やかな金属で重装備を果たした「1858 ジオスフェール」は、今年絶対の有望株である。

問い合わせ先

モンブランコンタクトセンター

TEL:0120-39-4810

この記事の執筆者
桐蔭横浜大学教授、博士(学術)、京都造形芸術大学大学院博士課程修了。著書『腕時計一生もの』(光文社)、『腕時計のこだわり』(ソフトバンク新書)がある。早稲田大学エクステンションセンター八丁堀校・学習院さくらアカデミーでは、一般受講可能な時計の文化論講座を開講。