イヤホンシーンは完全ワイヤレス時代へ突入。音が途切れることのない安定した接続やロングライフバッテリーといった基本スペックの向上に加え、飛躍的な高音質化によって、こだわりのオーディオファンも、ワイヤードから切り替える動きが加速している。“そろそろ完全ワイヤレス”と考えている人に最適なモデルが登場した。

ひとつは高級オーディオブランドであるハーマンカードンの「FLY TWS」、もうひとつが、新鋭ながら音楽ファンに高く評価されるGLIDiC(グライディック)の「Sound Air TW-7000」。視聴インプレッションをまじえながら、それぞれの魅力を深掘りした。

ハーマンカードン初の完全ワイヤレスイヤホンは、最高の分離感を備えた高級モデルの新定番

ハーマンカードンブランド初の完全ワイヤレスイヤホン「FLY TWS」SPEC ●ユニット:5.8mmドライバー ●対応コーデック:SBC、AAC対応 ●Bluetooth:Ver.5.0 ●本体左右重量:各約7.5g、充電ケース:約58.5g ●イヤチップ:3サイズ(S、M、L)×1 ¥21,780(参考価格)

ハーマンカードンブランド初の完全ワイヤレスイヤホン「FLY TWS」は、スーツスタイルにもマッチするミニマルなスタイリングと、人間工学に基づく耳にやさしい快適な装着感を実現した高級オーディオデバイスだ。

本体には装着したまま直感的に操作ができるスマートなタッチコントロールを採用。「Google アシスタント」と「Amazon Alexa」の音声操作にも対応している。また、耳から外さずに会話が可能な「トークスルー機能」を搭載。本体に触れるだけでボリュームがダウンし、外音を取り込めるので、音楽を再生中の一時的な会話などに便利だ。さらにクルマや周囲の環境音を聞き取りやすくする「アンビエントアウェア機能」も搭載されているため、屋外でも安心してリスニングに集中できる。

コンパクトな設計ながら、イヤホン本体と充電ケースの併用で最大約20時間の音楽再生が可能。本体が防水(IPX5)に対応しているため、汗や雨のストレスも解消される。

上質なホールの臨場感や空気感までも伝わってくる

今回はiPhoneに接続して「FLY TWS」のサウンドを実体験してみた。フィッティングはナチュラルで圧迫感や耳への違和感はなし。約2週間使用したが、移動時も耳から外れて落ちるアクシデントは1度もなかった。軽いこともあるのだろうが、装着感のよさは巧みな形状設計によるところが大きく、耳に負担をかけないので、長時間のリスニングでも音楽に没入できた。

サウンドは、クリアで上品な印象。特に音の分離感は劇的に素晴らしく、各パートの音色をそれぞれ鮮明に再現してくれる。ジャンルを選ばないが、ジャズやクラシックなどはホールの臨場感が伝わり、より聴きごたえがあった。とはいえ、解像感を追い込むような指向性ではなく、弾むような低音や透明感のある中高音など、純粋に音楽を楽しめるセッティングになっているのはうれしい限り。さらに、対応アプリ「My harman/kardon Headphones」を活用することで、オリジナルイコライザーの作成などもできる。高級感のあるデザイン同様、好きなナンバーを、最高の音質で聴き込みたいという大人向けといえるだろう。

時節柄、ビデオ会議にも使ってみたが、音楽再生の特性と同じく、相手の声が明瞭で一言一句とても聞き取りやすい。相手に確認したところ、こちら側のハッキリ聞き取れるとのこと。音楽用のみならず、テレワークでも活躍するのは大きな発見だった。

快適なフィット感と遮音性!楽曲のコンセプトをありのままに表現する

グライディック Sound Air TW-7000 SPEC ●ユニット: ダイナミック型5.6mm ●対応コーデック:SBC、AAC対応 ●Bluetooth:Ver.5.0 ●本体左右重量:各約6.5g ●イヤチップ:4サイズ(XS、S、M、L)×2 ¥15,268(参考価格)

「Sound Air TW-7000」は、高級カスタムイヤホンメーカーとして知られるカナルワークスがイヤホン形状を監修した、グライディックを代表するモデル。長時間のリスニングによる耳への負担を大幅に和らげる、カナルワークスらしい外耳にジャストフィットするイヤホン形状は、心地よい装着感を実現しながら、移動時の安定感も高く、耳からの落下を確実に抑えてくれる。

バッテリーの持続性にも優れ、イヤホン単体で約9時間、充電ケース併用で約25時間の長時間再生が可能。エンプティ状態でも10分間の充電で約2時間再生できる便利な「Fast Charge」も搭載されているので、身支度を整えているわずかな時間で、通勤時に必要な充電が完了する。

イヤホントップには立体的な鏡面処理を施した、高級感ただようデザインを採用。携帯性を重視した充電ケースは、手馴染みのいいスリムなフォルムで、ポケットにスムーズに収まる。

オールジャンルでバランスのいいサウンドを再生

遮音性が高いこともあり、サウンドはよりパワフルで、音がエネルギッシュなまでに切り込んでくる。それでいて耳馴染みがよく、アルバム数枚を連続リスニングしても、痛みなどの不快さはまったく感じない。チューニングは自然でアーティストが意図する原音の魅力を明確になぞっている印象が強い。楽曲によっては中低域に厚みを感じたり、別の楽曲では中高域に伸びを実感するなど、あえて色付けせず、作り手の思惑を目の当たりにできるため、リスニングをしながら楽しくなってくる。全体的にメリハリを利かせたバランスのとれた構成といえるが、ジャンルを問わないオールラウンダーで、音楽に熱狂した時代のワクワク感を呼び覚ます点では、唯一無二の存在ともいえる。

機能面ではイヤホンを着けたまま、会話もできる外音取り込み機能が白眉。マイク性能も高く、こもりがなく、双方の声がはっきりと聴きとれる。

この性能にして価格はこなれていて、はじめての完全ワイヤレスイヤホンとしてもうってつけだ。

問い合わせ先

ハーマンインターナショナル

TEL:0570-550-465

問い合わせ先

グライディック

この記事の執筆者
主にモノ雑誌を中心に’80年代から活動するライター。トレンド製品や斬新な着想から生まれたガジェット全般の執筆に取り組む一方で、腕時計やバッグ、シューズといった、男の逸品をテーマにした記事も手がけている。