鮮やかに彩った外壁を亡くなった猫が夢に出てきて喜んでくれた
4ページ連続のエッセイ、3つ目の「住」では、 “わが家”について綴ってくださいました。ビジュアルの写真は、ご自宅の外壁の一部をアップで撮影したもの。2年ほど前に、横尾さんが現場で細かく指示しながら塗り替えたというその外壁は、 ピンク、赤、白、エメラルドグリーン、さらに金色も使用。そうして完成したのが、竜宮城のようにキッチュな家。「昔住んでいた親子の猫が夢に現れて、“きれいな色にしてくれて嬉しい”と言った。死んだ猫が喜んでくれたのは嬉しかった」と、最後に書いてあります。
ただひたすらに“タマ”への愛と鎮魂の意が込められた画文集
さて、ここで紹介するのは4月1日に発売されたばかりの横尾忠則さんの新刊「タマ、帰っておいで」(講談社)。タマは、ノラとして庭先に現れてから15年の間、横尾さんとその家族の癒しとなり心の支えとなってきた猫です。そのタマが亡くなった後に、横尾さんが4年かけて描いた数々の絵が 、この一冊に収められているのです。出版元の紹介文は、こんな風です。
愛猫「タマ」が亡くなったその日から、
魂を鎮めるために描いたタマの絵、なんと91点!
そのすべてがこの一冊に!
そして、この本には横尾さんが折々に綴ったタマに関する
文章や日記が多数掲載されています。
タマを亡くした喪失感、寂しさ、感謝の気持ち、
楽しかった思い出などが切々と伝わってきます。
横尾さんの愛にあふれた「タマ」にまつわる文章や日記は、
すべての読者に、「愛」とは、「生きる」とは、
「死」とは、いったいなんなのかを問いかける、
人生にとって大切で、そしてなにより可愛くて仕方がない画集です!
猫好きのあなた、アート好きのあなた、この本はいつまでもあなたの人生に寄り添うことでしょう。
コロナ禍により外出の自粛が促される中での発売でしたが、ネット書店で品切れが続くほどの評判となりました。記者も入手しましたが、ページをめくるたびに心が穏やかなになる一冊です。
ここでは、表紙も含め、特別に許可をいただいた4点の絵をアップしました。本の発売と同時期に開催されるはずだった展覧会「横尾忠則 REQUIEM タマ、帰っておいで」は延期になりましたが、こちらも楽しみに待ちたいものです。開催についての情報は、横尾忠則オフィシャルサイトなどでチェックを。
問い合わせ先
横尾忠則Official Website
- TEXT :
- 堀 けいこ ライター
- PHOTO :
- カバー/立木義浩