時間がゆるやかに流れる常夏の島、石垣。そこで暮らす職人たちは太陽がもたらす豊かさのもとで現代と原始を自由に往来し、先人たちの営みを今を生きる私たちに教えてくれる。指で見よ。目で聞け。鼻で味わえ。舌先で嗅げ。心で触れよ、と……。彼らの手のひらから生まれる供物のように気高く官能的な品々。それはいつしか錆びついてしまった五感を解き放つ創造(ものづくり)の旅へと、私たちを誘ってくれるのだ。
独特な風習や文化が残る石垣島へ
石垣島で採れた粘土で陶芸体験
東シナ海と川平湾を望む高台に小さな登り窯を開き、石垣島で採れた粘土を使った器をつくり続ける「川平焼」の工房にて。リラックス感のあるビッグシルエットと、ジオメトリックなプリント生地とが融合した、存在感抜群のシャツにそでを通し、自らの「魂の声」に向き合いたい。
しなやかなグレーのシルク生地と、クラシックな仕立てが融合したダブルブレストのジャケット&パンツ。こんな美しいドレープ感を描く一着なら、旅のシーンにもふさわしい。堅苦しく考えず、プレーンな白Tシャツと合わせるのがおすすめだ。
亜熱帯の湿った空気を吸い深くシワを刻んだ、亜麻の重み
トスカーナの大自然と調和したものづくりで知られる、ブルネロクチネリ。きざに陥りがちなストライプのスーツも、味わい深いリネン、しかもオフホワイトとベージュという優しい配色の生地なら、決してリゾートで浮くことはない。小物に至るまで淡色で統一するのが、このムードを最も活かすポイントだ。
世界一のカシミアを生み出すブランドならではの、まるでカシミアのように繊細な肌触りを誇るスエードジャケット。多少の汚れなど気にせず、そのエレガンスと快適さを堪能しよう。ホワイトジーンズと合わせた、シックな着こなしがおすすめだ。
在りし日に踏み出せなかった「あと一歩」の記憶。この装いならば、前へと向かう勇気が手に入るかもしれない
内なる好奇心とエネルギーを引き出すサファリジャケットは、大人の男だからこそ持っていたい一着。今季手に入れるべきは、モードブランドならではの美しいシルエットが自慢のドルチェ&ガッバーナ!全身をベージュカラーで統一した、クラシックな装いを楽しもう。
「フォークロア(民俗・伝承)」から多大なる影響を受けている、今季のエトロのコレクション。深みのあるワインレッドカラーのジャケット&パンツは、あたかも熱帯に咲く花を彷彿させる美しさで、だれもが心を奪われる。決して周囲から浮くことはなく、自然な洒落っ気を演出できるワードローブだ。
沖縄の伝統木造帆船「サバニ」に思いを馳せて
太古の昔より琉球の青い海を縦横無尽に駆け巡っていた木造帆船「サバニ」。鉄釘を使わず、竹釘と分銅だけで木材を継ぎ合わせるその造船技術を知る職人は、今や数人のみだという。そんな「サバニ」における石垣島唯一の職人として知られる吉田友厚さんは、実はもともと東京からの移住者。この伝統文化を絶やさぬよう、日々奮闘を続けている。
ルーズシルエットでも決して緊張感を損なわない、ミニマリズム精神の息づくコレクションで人気再燃したジル サンダー。一見奇抜に見えるストライプのセットアップにも、どこか民藝のうつわがもつストイックな美意識が漂っている。
※2020年春号掲載時の情報です。価格はすべて税抜です。
- TEXT :
- MEN'S Precious編集部
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- PHOTO :
- 熊澤透
- STYLIST :
- 櫻井賢之
- HAIR MAKE :
- hiroTSUKUI(PerleManagement)
- MODEL :
- Cuba
- コーディネート :
- 花城敏昭