ファッションディレクター、萩原輝美さんの「趣味と仕事と人生が詰まった家」を訪問
シャネル、フェンディ、ヴァレンティノ…etc.本棚にはコレクション関連の美しいアートブックがずらりと並び、ソファやチェアの上には、鮮やかな柄のクッションが。
「この小さなクッションは、コレクションの際に各ブランドが用意してくださるギフトです。本棚の分厚いアートブック類は、コレクション後ホテルに戻ると部屋に届けられていることが多いですね。いずれにしても、粋な心遣いに毎回感動。必ず日本に持ち帰ります」
ファッションディレクターの萩原輝美さんは、パリやミラノ、N.Y.など、シーズンごとに世界中を飛び回り、コレクションを取材し続けて30年。
「趣向を凝らした美しいインビテーションカードやブックはなかなか手放せなくて。デザイナーたちの想いやブランドのストーリーが詰まっているから、頻繁に見返すわけではないけれど、ずっと手元に置いておきたいんですよね。だから、ものは増える一方です(笑)」
仕事部屋とリビングを分けた、開放的な部屋づくり
フリーとして独立したころ、利便性がよく、日当たりのいい物件を探していたときに出合ったのがこちら。敷地内にある大きな桜の木と、広々としたベランダ、仕事部屋とリビングを明確に分けられるデュプレックス(メゾネット)が決定打に。
サイズや収納力にもこだわって
「コレクションがらみのアイテムや衣装、小物など、とにかくものが多いので、まずは4LDKから2LDKに改築。サイズや収納力にもこだわって、本棚やクローゼットなど、知り合いのデザイナーに一からつくってもらいました。この家は、見た目以上に、収納スペースがあるんですよ」
「人の温もりを感じるものやストーリーのあるものに魅かれます」(萩原さん)
昔から、ファッションはもちろん、家具やインテリアなど、好きなものはあまり変わらないという萩原さん。
「ピシッと端正な美しさがあるものよりも、どこかお茶目でクスッと笑ってしまうようなものが好きなのかもしれません。人の温もりを感じるものやストーリーのあるものに魅かれます。なくても生きていけるけれど、あるともっと幸せな気持ちになるもの。ファッションもある意味、そうですよね。必要最低限、身を包めればそれでいいのかもしれないけれど、それじゃちょっと物足りないでしょう?
だから私、最近の断捨離ブームにはもの申したい派(笑)。他人にとってはムダなものでも、その人にとって人生のメモリーが詰まっているなら、捨てられないものがあってもいいじゃない? 自分の感性を信じて大切にものを選びたい。好きなもの、愛着のあるものを眺めながら、来た道を振り返って『ウフフ』と微笑む時間が至福のとき。インスピレーションの源にもなるんです」
- PHOTO :
- 長谷川 潤
- EDIT&WRITING :
- 田中美保、古里典子(Precious)