きれいな色をしたシュワシュワのソーダの上に丸いアイスクリーム……飲み物でありながらデザートのようなクリームソーダ。ノスタルジックで特別感があり、非日常を感じられるのも魅力です。見た目もきれいで眺めているだけで心がときめいてしまう、そんなクリームソーダをなんと自宅でもつくれるそうです。
お話を聞いたのは、SNSで人気のクリームソーダ職人・tsunekawaさん。『空色のクリームソーダRecipe』(ワニブックス)を出版するほか、全国で移動喫茶を開催する「旅する喫茶」など、幅広く活動しています。
定番のものからゼリーや自家製シロップを使ったものまで、心ときめくクリームソーダを生み出し続けるtsunekawaさんに自宅で上手にクリームソーダをつくるコツを教えてもらいました!
クリームソーダ職人tsunekawaさんが伝授!自宅でクリームソーダをつくるコツ
■1:基本のクリームソーダのつくり方
スタンダードなクリームソーダをつくるときに、用意するのはこちら。
・氷(コンビニやスーパーで売っているロックアイス)
・炭酸水
・かき氷シロップ
・グラス
・ディッシャー(金属製のもの)
ディッシャーはプラスチック製より金属製の方がアイスクリームをすくいやすいそうです。かき氷シロップが使いきれない場合は、フルーツに同量の砂糖を加えた自家製シロップに挑戦してみるのも◎。好きな味のソーダを飲めるのは、自宅でつくる醍醐味でもあります。
クリームソーダに欠かせない氷は、コンビニやスーパーなどで手に入る”かちわり”タイプのロックアイスがオススメとのこと。透明できれいな上に大きさや形もさまざまのため、グラスに隙間なく詰められます。
実はこれ、クリームソーダをきれいにつくるときのコツでもあるのです。
「氷が少ないとアイスクリームを乗せた途端にソーダに沈んで溶けてしまい、泡立って濁ってしまいます。氷をしっかり詰めてアイスクリームとソーダの触れる面を少なくすれば、アイスも溶けにくくなりますよ」(tsunekawaさん)
グラスに氷をぎっしり詰めたら、シロップと炭酸水をゆっくり注ぎグラスを軽く振ります。こうすることにより、氷が少し溶けてなじむそうです。そして、仕上げにアイスクリームを乗せます。
「ディッシャーを使用する前にぬるま湯につけると、アイスクリームの表面が溶けてグラスに落としやすくなります。ただ、ディッシャーを温めすぎるとアイスが溶けてしまうため、さっと通すくらいがいいですよ」(tsunekawaさん)
ちょっとしたひと手間を惜しまず、ゆっくり丁寧につくることが、きれいなクリームソーダづくりの最大のコツのようです。
■2:グラデーションをきれいにつくるには「割合」を意識しよう
tsunekawaさんのクリームソーダの魅力のひとつが、幻想的で美しいグラデーションです。ポイントをおさえれば、自宅でもつくることができるそう。
「きれいなグラデーションをつくるコツは、シロップと炭酸水の割合です。シロップは炭酸水よりも重いので、色によって割合を変えてみてください。最初に重い方のシロップを入れて、次に炭酸水を多めに混ぜたシロップをゆっくり注げば、色がきれいに分かれると思いますよ」(tsunekawaさん)
tsunekawaさんのアドバイスと『空色のクリームソーダRecipe』を参考に、自分でもグラデーションに挑戦してみました。そして、できたのがこちら!
下のほうに、青と緑のグラデーションが微かに見えるのがわかりますか?
アイスクリームが溶けてしまったのは、ソーダをを入れすぎてアイスを入れた途端にあふれてしまったから。欲張りすぎずないことが大事ですね。
改善点はあるものの、不器用な筆者でもグラデーションのあるクリームソーダをつくることができて満足です!
スマホでクリームソーダをきれいに撮るには?
青空の下や幻想的な空気感など、tsunekawaさんが撮影した写真はクリームソーダの魅力をより引き立てています。ポイントさえおさえれば、スマホでもきれいに撮れるそうです。
・背景をシンプルにする
・色のバラつきを少なくする
・グラスに光(自然光)を透かすように撮る
・真横から撮影する
「例えばクリームソーダが緑だったらテーブルや椅子、壁などの色は白や黒、グレーにすること。なるべく同じ色で統一するとクリームソーダに目線が行きますよ」(tsunekawaさん)
自然光をグラスに透かして撮ることにより、炭酸の透明感が際立ちます。レースのカーテンを一枚挟むと、光がやわらかくなって撮影しやすくなるそうです。
お手持ちのスマホに機能がついていれば、ポートレートモードを使うといいとのこと。背景と色、光を意識して撮影してみてくださいね。
オリジナルのクリームソーダをつくるヒントは、日常で感じた「いいな」を再現してみること
3年ほど前からクリームソーダ職人の活動をスタートさせたtsunekawaさん。子どもの頃にクリームソーダを飲んだ経験が、現在の活動の原点になっているそうです。
「子どもの頃に祖父母の家に遊びに行くと、いつも喫茶店でクリームソーダを飲ませてもらっていました。夏の暑い日の朝に、祖父母と喫茶店まで歩いたことやクリームソーダを待つ間のおしゃべり……。クリームソーダは甘くておいしかったですが、味そのものよりも当時の楽しかった思い出が特に心に残っています」(tsunekawaさん)
ある夏の日には、弟さんと海の見える旅館に泊まり、クリームソーダをつくったこともあるそうです。
「道具を一式持って行ったので、ご当地サイダーを買って旅館でつくりました(笑)。弟と窓辺にある縁側のようなスペースで夕焼けを眺めながら飲んだことは、とても心に残っています」(tsunekawaさん)
tsunekawaさんがつくるクリームソーダにストーリー性を感じられるのは、思い出とセットになっているからなのかもしれません。インスピレーションの源は、空や海の色、食材など、実にさまざま。tsunekawaさんのようにオリジナルのクリームソーダをつくりたい人に向けたヒントを教えてもらいました。
「例えば、空を見上げたときに『きれいだな』と感じてスマホで写真を撮ったことはありませんか? 空でなくても『いいな』と思って撮影した画像があれば、その画を再現するようにイメージするとつくりやすいですよ」(tsunekawaさん)
最後にもうひとつ質問。「Precious.jp」をイメージしたクリームソーダをつくるとしたら…?
「う〜ん、なかなか難しいですね(笑)。ソーダは青や緑のような彩度の高い色よりも、あまり色がないイメージ。無色透明でもいいくらいです。そこにレモンの輪切りとハーブを入れて、桃かレモンのシャーベットをのせる。飲み物よりもデザートっぽい感覚です」(tsunekawaさん)
『空色のクリームソーダRecipe』の中だと、こちらの「レモンとローズマリーのクリームソーダ」がイメージに近いとのこと。日中の青空の下にも、夕暮れ時にも似合いそうな上品な印象です。
日常にちょっとした特別感をプラスしてくれるクリームソーダ。つくり慣れてきたら、シロップを変えてみたり、アイスクリームを変えたりしながらクリームソーダの可能性を広げつつ、”自分なりの一品”を見つけてもいいかもしれませんね。
- TEXT :
- 畑菜穂子さん ライター
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- WRITING :
- 畑菜穂子