2020年は、レンジローバーが生誕50周年というアニバーサリーイヤー。ファンのために用意されたプレゼントは、スペシャルな特別仕様車、そして英国が誇るサヴィル・ロウの名門、ヘンリー・プールとのコラボによるテーラードジャケットだ。特別仕様車のほうは時期未定なれど、日本でもオーダーできる模様。さらに、本国でオリジナル仕様の初代レンジローバーが購入できるプログラムも用意されている。
「新型ディフェンダーの父」の華麗な着こなし
ファッションデザイナーでクルマ好きはたくさんいる。いっぽう、カーデザイナーでファッション好きというと、もちろん、たくさんいるものの、とりわけ名が知られているのは、英ランドローバーのチーフクリエイティブオフィサー、ジェリー・マクガバン氏だ。
最新のランドローバー・ディフェンダーを世に出したばかりのマクガバン氏。ずっと気に入っているのは、ロンドン・サビルローで1806年に創業したテイラーのヘンリー・プール& Coだ。
歴史的に名を残した顧客のなかには、1901年から10年まで英国国王として在位したエドワード七世、ウィンストン・チャーチル、ナポレオン三世、さらに吉田茂などがいるという。
マクガバン氏は、プレス向けの発表会があると、キャラクターのたったスーツ姿で現れることで知られている。それもヘンリー・プールの手になる。
あるときは、パープルの上下。それに合わせてシャツもタイもポケットチーフも同系色。またあるときは、テーマ色がグリーンだったり、ブルーだったり。
「立場上、取締役会などにも出席しなくてはならないため、スーツは必需品です。そのなかで、ある時期に、ビスポークスーツの魅力を発見しました。それいらいファンです。ただし、自分はデザイナーなので、すこし”ひねり”を加えることを忘れてはいません」
マクガバン氏は、自分のドレス哲学について、わかりやすく解説している。
そのマクガバン氏の指揮の下、さきごろランドローバーは、レンジローバーの50周年を記念したスペシャルを制作。限定で売り出すことを発表した。さらに注目は、おなじタイミングで、同系色を使った色で織ったスーツ生地を、フォックスブラーズというミル(織物工場)に織らせて、それで仕立てたジャケット(上着のみ)を限定で販売するという。
最高のラグジュアリーとクオリティ
生地には3色の糸が使われている。ランドローバーによると、タスカンブルーTuscan Blue、バハマホワイトBahama Gold、それにダボスホワイトDavos White。パターンはドッグトゥース(千鳥格子)。男女を対象に50着仕立てる。もちろん採寸つきのメイドトゥメジャーだ。
同じ3色は、現行レンジローバーの最高級仕様である「オートバイオグラフィ」をベースにした50周年記念車にも使われる。世界で1970台のみの限定販売となる。マクガバン氏の手になる「Fifty」の文字も入るという。
「50」の文字はジャケットの裏地に縫い込まれたネームタグにも入る。ヘンリー・プールとのダブルネームだ。
「レンジローバーも、ヘンリー・プールも、長い歴史を持ちながら、製品には現代的なアプローチによって、最高のラグジュリーとクオリティを提供することを心がけています。そこに共通点があります」
ヘンリー・プ−ルでマネージングディレクターを務めるサイモン・カンデイ氏の言葉が、プレスリリースで紹介されている。
なお、ランドローバーでは、1970年に登場したオリジナル・レンジローバーをレストアするビジネスを展開している。好きな年式、好きな仕様を選んで、好きな状態に仕上げてもらえるのだ。
ジャケットの価格は発表されていないいっぽう、ランドローバークラシックなるレストアビジネスでは、14万5000英ポンドからだそう。自分だったら、足まわりもスタビライザーが入る前で、かつ、長いストロークで抜群の悪路走破性を持つ、初期の2ドアボディがいいなあ、などと夢想してしまう。
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- 小川フミオ ライフスタイルジャーナリスト