ころんとしたかわいいEV、Honda eがいよいよ10月30日に発売される。価格は451万円からで、実はもうすでに第一期の販売台数はオーダーストップしている。この先、街で見かけたらみんな振り返ること確実。正式発売を前に、モータージャーナリストの大谷達也氏が、このクルマの大きな特徴である「つながる機能」とデザインについてリポートする。
スマホ時代に合う快適な使い心地
「昔のクルマは温かみがあった」なんて話をときどき耳にするけれど、先ごろ発表されたホンダ初のEV「Honda e」も人間的な温かみに溢れたクルマだった。
その秘密は『Hondaパーソナルアシスタント』にある。
ひとことでいえば、これはアップルのSiriやGoogleアシスタントなどと同じクラウド型AIの一種。つまり、「ヘイ、Siri!」とか「オッケー、Google!」というと音声認識システムが立ち上がる、スマホ世代にはお馴染みのアシスタント機能である。
「そんなの、わざわざクルマに積まなくても自分のiPhoneをそのまま使えばいいじゃない?」とアナタは思うだろうが、モチはモチ屋(さん)、クルマはクルマ屋(さん)というわけで、やっぱり専用に作られたものはとっても使い勝手がいいのである。
たとえば「オッケー、ホンダ!」のキーワードに続いて「イタリアンに行きたい」といえば、近くのお勧めイタリアン・レストランをいくつか紹介してくれるのはSiriやGoogleアシスタントでもできること。でも、レストランのリストが表示されたあとで「駐車場があるところ」と付け加えると、先ほどのリストから駐車場付きのレストランだけを抽出してリストを再表示してくれるなんていうAIはなかなかない。しかも付け加える条件は「wi-fiがあるところ」など、なんでもオーケー。つまり、クルマに関係する話題でなくても、続けて注文することで次々と条件を絞っていけるのだ。
使っているうちにどんどん手放せなくなる
そんな機能も確かに素晴らしいけれど、Honda eのもうひとつの魅力がインテリア・デザインがとても魅力的なところ。インテリアにはコンパクトカーとは思えないほど質感の高い木目調のパネルが貼られていたり、シート素材やその色調も自分のウチのリビングルームに置きたくなるくらいセンスがいい。しかも、先ほど説明したパーソナルアシスタントが表示されるのはダッシュボードの端から端まで届くほどのワイドスクリーン。このスクリーン、解像度が高くて画像がとてもクリアなうえに、デザインがとてもよくて、アシスタントが立ち上がったことを示すアイコンなんかもとても愛くるしい。こういうセンスはある種Apple製品にも通じるモノで、長年使っているうちにどんどん手放せなくなっていくタイプだ。
Honda eは都市で使われることを前提とした革新的なEVで、走りもメチャクチャいいらしいけれど、その辺は今回は試せなかった。また試乗できる機会がやってきたら、ここで報告させていただきたい。
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- TEXT :
- 大谷達也 モータージャーナリスト