最近ペアリングと言う言葉、よく聞きますよね? カップルでつける指輪のことではありません(笑)。

Pair+Ingで、まさに「ペアしている」=組み合わせる、という意味。レストランのコースでお料理各皿にワインを合わせるのであれば「ワインペアリング」となるし、最近トレンドのソバ―キュリアス(お酒を飲まない嗜好性)のひと向けであれば「ノン・アルコールペアリング」としてメニューに記載されていることが多いでしょう。

このように飲食業界におけるペアリングという言葉は、料理に飲み物をペアさせるもの、つまり組み合わせを意味する用語でしたが、いまは少し拡大解釈されて「相性」のようにも使われています。

例えば、「このペアリングはなかなかおもしろいね」「この料理とペアリングさせるなら、どんなワインがおすすめですか?」など。少し前にはやたらと使われていた「マリアージュ」という言葉と、いまやほぼ同義で使われています。

スイーツと日本酒!?の意外なペアリング

さあ、そこで本題。パティスリー界のピカソとして、ユニークなスイーツを世に送り出し続けているピエール・エルメが日本酒にペアリングさせたスイーツを誕生させました。スイーツとお酒、ということだけでも珍しいのに日本酒とは⁉ そのペアリングの内容をくわしくご紹介してまいりましょう。

スイーツ_1,酒_1,和文化_1
米粉を使用した「ケークイスパハン」とNEXT FIVEによる貴醸酒(720ml)のセット『Ispahan 2020』¥13,800(税込) 撮影/三輪卓護

まずスイーツは、ピエール・エルメの代表的なコレクションともいえる「イスパハン」。最近「とらや」とのコラボでも大きな話題を呼んだ「イスパハン」が今回はケーク(パウンドケーキ)となりました。

ピエール・エルメはいくつかの素材の組み合わせをFETISHと呼んで定番にしていますが、そのひとつである「イスパハン」はバラとフランボワーズとライチの組み合わせ。

この「ケーク イスパハン」は、ペアリングされた日本酒の酒米を精米したときに派生した米粉を使用し、バラをイメージした特注の型で焼き上げたもの。

バラが香るしっとりとしたパウンド生地に、甘酸っぱいフランボワーズと華やかなライチを忍ばせています。

スイーツ_2,酒_2,和文化_2
秋田NEXT FIVEのみなさん。 撮影/船橋陽馬(根子写真館) 

その「イスパハン」とペアリングされているお酒はなんと日本酒。それも「次世代の秋田の日本酒を担う」をテーマに活動を行う蔵元集団「NEXT FIVE」がつくった貴醸酒です。

貴醸酒とはなにか? 米と麹と水でつくられるのが日本酒ですが、貴醸酒はその仕込み水の一部に酒を使用するというもの。つまり、酒で酒を醸すためより濃厚でまろやかな味わいが期待できる通好みのお酒です。

そしてNEXT FIVEとは、「ゆきの美人」小林忠彦さん、「春霞」栗林直章さん、「山本」山本友文さん、「一白水成」渡辺康衛さん、「新政」佐藤祐輔さんという秋田の日本酒蔵元5人がタッグを組んで共同醸造するというプロジェクト。

今回で10回目を迎える記念すべきお酒を醸すにあたり、ホスト蔵(醸造場所)は「山本」、仕込み水の一部として使用する日本酒は「新政」の「亜麻猫オーク樽貯蔵酒」(なんて贅沢!)、仕込み水は「一白水成」、原料米は「春霞」の契約栽培の美郷錦、酒質設計と発酵管理をしたのは「ゆきの美人」というチームワークにより、この貴醸酒『Ispahan 2020』が誕生しました。

このセットは、2020年11月2日(月)よりピエール・エルメ・パリのオンラインブティックと青山ブティックで予約が開始されていますが、なにぶん100セットしか用意されていない限定商品のため、売り切れ必至。早目にチェックしてみてください。

『Ispahan 2020』詳細

ピエール・エルメ×日本酒を味見するなら

「……とは言ってもまずは味見してみたいな」というアナタへ。

貴醸酒『Ispahan 2020』に「ケーク イスパハン」、この貴醸酒を搾った酒粕のマカロンとアイスが添えられたデザートセットが青山ブティックで提供されるという朗報です。

スイーツ_3,酒_3,和文化_3
デセール「デギュスタシオン イスパハン 2020」¥2,400(税抜)
※2020年11月20日(金)~30日(月)の期間、ピエール・エルメ・パリ 青山2F Heavenにて。

実際に口にしてみますと、まず貴醸酒は華やかな香りとすっきりとした酸で、スムーズな飲み心地。次にしっとりとした口当たりのケーキ、さくさくした歯ざわりにふんわりと酒粕が香るマカロン、酒粕の独特な風合いが活かされたアイスクリーム……それぞれを交互に口に運ぶと、そのたびごとにお酒が表情を変えていきます。

う~ん、これぞペアリングの妙。4合くらいあっという間に飲んでしまいそうだから、やっぱりセットを予約しなくちゃだわ。

問い合わせ先

 

この記事の執筆者
女性ファッション誌や富裕層向けライフスタイル誌、グルメマガジンの編集長を歴任後、アマゾンジャパンを経て独立。得意なジャンルに食、酒、旅、ファッション、犬と馬。
Instagram へのリンク