インド、パキスタン、中国という3つの大国に挟まれた山岳地帯、カシミール。この寒冷な土地では、昔からカシミヤ山羊が生息するとともに、布を装飾する刺繍の文化が受け継がれてきた。
タペストリーや壁掛けとしても使える!
インドのカシミール刺繍ショール
その技術は「カシミール刺繍」と呼ばれ、ペルシャやトルコなど様々な文化の影響を受けて、独自の進化を遂げていった。刺繍といえば女性の仕事を連想しがちだが、カシミール刺繍の主たる担い手は男性。極細の針を使って1枚の布に刺しゅうを施していくのだが、布のサイズや刺繍の細かさによっては、1枚を仕上げるのに数年かかるという。もちろん価格も、それ相応に高価である。
草花や果物、鳥といった、この地域の大自然からインスパイアされたカシミール刺繍とは、現代のヨーロッパで定着しているペイズリー柄の、いわばルーツと呼ぶべき1枚。洗練とは無縁だが、そのプリミティブな手触りと存在感はまさに博物館級。現在はほとんどつくられていないというから持っていうだけでも自慢になる。
- TEXT :
- MEN'S Precious編集部
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- PHOTO :
- 戸田嘉昭(パイルドライバー)