常識を更新できる女性は、楽しく賢く生きていける
小学館『Oggi』で2015年より続くお悩み相談連載を、書籍『女のお悩み動物園』として刊行したジェーン・スーさん。本書では、「結婚する、しない。仕事をする、しない。子どもを産む、産まない。2×2×2で、最低でも8パターンもあるんですよ」と女性の人生の選択肢の多さについても触れています。
そこで聞きたかったのが、私たち40代女性がそれぞれ楽しく生きる術でした。
——多様化する40代女性が、一人ひとり楽しく賢く生きていくためには、どんな心構えが必要なのでしょうか。
「常識を更新していくこと」だと思いますよ。「意識のアップデート」と言ってもいいですね。すべてはその作業をどこまで意識的にできるか、そこにかかっていると思います。専業主婦だからこうあるべきとか、働いているからこうすべきとか、そういう考え方から自由になるということです。
私たちは親の世代の古い常識が、思った以上に骨の髄まで染み込んでいて、その刷り込みが自分たちを不自由にしている。周囲に何を言われようと、まずは「常識を更新していくこと」。それに尽きると思います。
例えば今、断末魔の叫び、もしくは集団ヒステリーのような形で、シニア男性の事件が増えていますよね。昔はヒステリーといえば女性だったのが、今やおじいさんたちです。
これはどういうことか。時代が代わり、常識が刷新されたにもかかわらず、昔の意識のままでいる。だから、 自分たちの既得権が不当に奪われているように感じるのでしょう。そのことにむずがって泣いているんだと感じます。
あのようにならないためにも、やはり常識の更新はマスト案件。子供がいるからできないとか、働いているから無理とか、そういう思い込みはバグを生むだけ。お互いアップデートした状態でいること。属性の違う40代女性同士が仲よく、かつそれぞれ楽しく生きていくために、ぜひ意識してほしいですね。
目の前のパートナーは、意識のアップデートができているか
——それは、女性同士のつきあい以外でも必要なことになりそうです。
その通りで、実はもうひとつ、パートナーがいる40代女性に伝えたいことがあるんです。それが「あなたのパートナーは常識を更新していますか?」ということ。最近キツイなと感じたのが「自分のパートナーに性差別主義的な言動を感じた」という話です。
息子と娘に恵まれ、育てていくなかで、夫は娘にはお手伝いしなさいと言うのに、息子には何も言わないのだそう。それを見て「私はずっと性差別主義者とつきあってきたのか」と愕然としたのだとか。もちろん彼は無意識でしょう。ただそのように刷り込まれてきただけです。
ではどうしたらよいのか。この場合も先ほどの件と一緒です。
お互いに「常識を更新する」「意識をアップデートする」。もちろん話し合いが必要になるでしょう。属性の違う女性とどうつきあうかも大事ですが、目の前のパートナーがどういう考えでいるのか。それがわかった時点でどうすり合わせるのか。それこそ実は重要なことだと思いますよ。
——ちなみに、古い価値観から脱却しようとしない昔気質の上司。こんな人にはどう対応すればよいのでしょうか。
昭和のおじさん、みたいな人ですね。まずは話してみて、芽が出そうと思ったら、コミュニケーションを取りましょう。これもVol.2で伝えたロビー活動の一種です。
ただ、芽が出なそうな場合は、思い切って距離を取るので正解です。
今、時代が女性を必要としていることは、世界の女性リーダーの活躍を見ても明らか。これから男性は、その事実に敏感でなければ生き延びていけない。だから私たちは、芽が出そうな人に力を注ぐ。それでいいのだと思います。
「常識の更新」と「意識のアップデート」。聞けば聞くほど金言がこぼれ落ちてくる、スーさんのインタビュー。そこで気になるのが、ジェーン・スーはいかにしてジェーン・スーになったのか、ということ。最終回のVol.4にて、スーさん自身のこれまで、そして未来について伺います。
- TEXT :
- Precious.jp編集部