北欧フィンランドでは、12月に入り、現在の気温は0度からマイナス5度と冬の寒さとなりましたが、今年はまだ雪が積もらず、日照時間が6時間弱と一日中暗い極夜です。

フィンランドでも11月以降、新型コロナウイルスの第二波が押し寄せ、国内感染者数は1日300〜400名とヘルシンキ首都圏を中心に増加しています。政府は、クリスマスを前に11月30日から12月20日までの間、再び規制引き上げを実施、図書館(貸出と返却は可)や美術館など公共の場所が閉鎖、不要不急の外出を控えるよう呼びかけています。

先日、社会福祉保健省より、コロナ感染の拡大に関する注意喚起のメッセージが国民のスマートフォンにも送られてきました。政府は、人が多く集まる場所、公共交通機関やスーパーマーケットでのマスク着用の要請を改めて呼びかけました。これは引き続きの要請レベルであり、強制ではないため、地下鉄内でも未だマスクを着けていない人もちらほら見かけます。

あくまでも個人判断に任せているため、つけていない人を誰かがとがめたりするような光景はこれまで見たことがありません。個人主義のフィンランドでは、人は人、自分は自分の態度は徹底しているように日々感じます。
それでも以前に比べると人々のマスク着用に対する意識が変わり、マスク姿が日常化しつつあります。個人的には、飛沫防止や感染予防目的はもちろんのこと、日課の散歩でもマスクを着けていると暖かく乾燥対策にもなり、快適に過ごしています。

フィンランドの現状とコロナ禍のクリスマス

シャイなフィンランド人を描く人気キャラクター「マッティ」もマスク姿で地下鉄駅構内の電光掲示板に登場しています。
シャイなフィンランド人を描く人気キャラクター「マッティ」もマスク姿で地下鉄駅構内の電光掲示板に登場しています。

基本的に無表情なフィンランド人は、マスクを着けても着けていなくても、表情が変わらない。とクスッと笑える内容です。

また、引き続きのリモートワークを推奨をしており、私も、企業勤めの夫も3月以降自宅からのリモートワークが続いています。元々、働き方に関してとても柔軟な考え方のフィンランドではコロナ禍以前から、企業でもリモートワークを積極的に導入してきたため、普段と変わりなく生活ができています。

一方で、中には自宅での長期間のリモートワークにストレスを感じ耐えられず、オフィスに通う人も居ます。また、カフェなどで仕事をする人も見られ、長時間のカフェ利用で店舗側も困惑するということもあるようです。

ヘルシンキのクリスマスマーケットは中止、閑散としたヘルシンキ大聖堂と元老院広場

例年のクリスマスであれば人で溢れているヘルシンキ大聖堂と元老院広場も閑散としている。
例年のクリスマスであれば人で溢れているヘルシンキ大聖堂と元老院広場も閑散としている。

毎年恒例のヘルシンキのクリスマスマーケットも今年は、中止となりました。マーケット小屋が途中まで組み立てられていましたが、政府の再規制を受け、素早く解体されました。週末はクリスマスの買い物客で賑わいますが、平日は人出も少なく閑散とした雰囲気です。

ヘルシンキ中心部のアレクサンテリンカトゥ通りのクリスマスイルミネーション。
ヘルシンキ中心部のアレクサンテリンカトゥ通りのクリスマスイルミネーション。

 デコレーションの「A」は、通り名から取ってつけられたものです。毎年代わり映えはないシンプルなイルミネーションですが、ヘルシンキの街を綺麗に照らしています。

特別に華やかなデコレーションで彩られたフィンランドの大型書店。
特別に華やかなデコレーションで彩られたフィンランドの大型書店。
フィンランドのクリスマスの伝統菓子、ヨウルトルットゥ。パイ生地の中央にはプルーンのジャムがのっており、この時期カフェやステイホームの自宅で焼いて食べられます。

12月も残すところあとわずか、クリスマスと年の瀬も近づいてきました。コロナ対策を万全にしながら、健康で平和なクリスマス、そして新年を迎えられるように願っています。

この記事の執筆者
学生時代7年間のロンドン生活を経て、2015年よりフィンランド・ヘルシンキ在住。ヘルシンキを拠点にライターとして、ライフスタイル・食・デザイン・ファッションなどの分野で活動中。現地コーディネーターとしてフィンランド及びヨーロッパと日本をつなぐコミュニケーション全般に携わる。趣味は、旅行と料理。著書に、『デザインあふれる森の国 フィンランドへ 』(イカロス出版社)がある。
PHOTO :
Janne Räsänen