日本一スナックの軒数が多いと言われている宮崎県。ニシタチと呼ばれる市内の繁華街は地元の人たちはもとより、多くの観光客や出張族も足を運ぶ県内最大の歓楽街として知られている。

今宵は宮崎県内のスナックで最大規模、創業23年を迎えるニシタチの『sun』からスタートだ。

高校の同級生コンビが手掛ける宮崎随一の人気店

今夜訪れる4軒は、お供してくれる二宮さんが40軒ほどの店が参加する『オンラインスナック横丁』から選んだ。ご尊父がスナック好きで、彼女も中学生から連れて行かれていたという筋金入り。その嗅覚に託した。

「スナックの雰囲気が好き」と笑う二宮さん
「スナックの雰囲気が好き」と笑う二宮さん

彼女が『sun』に注目した理由を「単純に宮崎には訪れたことがなかったのと、ママと年齢が近そうだからお話が楽しめそうだったからですね」と話す。

早速『sun』のページにアクセスすると、画面の向こうに現れたのは二人の女性の女性。まずは乾杯からだ。

アッコママはビール、えりこチーママはビール、二宮さんはハイボールで
アッコママはビール、えりこチーママはビール、二宮さんはハイボールで

アッコママとえりこチーママは高校時代の同級生。アッコママは進学と就職のため7年ほど東京で暮らしたのち、実母が経営していた『sun』を継ぐべく12年前にUターンし、ママとなった。そのタイミングで他の店で働いていたえりこチーママを引き抜き、現在に至るという。

左がアッコママ、右がえりこチーママ。同じ職場で働きながら、プライベートでも遊ぶ仲のよさだ
左がアッコママ、右がえりこチーママ。同じ職場で働きながら、プライベートでも遊ぶ仲のよさだ

「宮崎は人口に対するスナックの軒数が日本一ですから、いろんなタイプのスナックがあります。うちも特色を出さなければ、と店舗面積を広く、照明も明るくして一見さんや女性でも入りやすい店を目指しています」

そう話すアッコママに店内を案内してもらうと、その広さに驚く。

広々とした店内はスナックのイメージを覆す
広々とした店内はスナックのイメージを覆す

一般的なスナックといえば、カウンターを中心に、テーブルが2、3ほどのこじんまりとした空間を思い浮かべるが、ここはカウンターだけでも10席、60席ものテーブル席がある。『sun』が大規模なスナックであることは地元民にもよく知られており、予約なしで20名ほどのグループが訪れることもあれば、1日でゲストが100名を超える日もあるという。

店の広さに二宮さんも「レストランみたい! ここなら女性一人でも遊びに行きやすそう!」とにっこり
店の広さに二宮さんも「レストランみたい! ここなら女性一人でも遊びに行きやすそう!」とにっこり

広いぶんスタッフも多く、15名ほどが在籍している。「それだけスタッフが必要なら、スタッフの管理も大変そう」と声をかけると、えりこチーママが「とんでもない」といった素振りをする。

「みんな辞めないの。だからスタッフの高齢化が進んでいて(笑)。下は二十歳、上は来年還暦のスタッフもいますよ」

スタッフにとって居心地のいい店は、すなわちゲストもくつろげる空間でもある証拠だ。

若いといえどもスナックのママ。そのコミュニケーションスキルは高い
若いといえどもスナックのママ。そのコミュニケーションスキルは高い

「もしお客さんがスタッフに嫌味なことを言ったら、相手の気分を害さないようにたしなめますから!」

即座にアッコママが被せてくる。漫才のような掛け合いが楽しく、アッコママ曰く「二十歳から墓場まで(笑)」と話すほど幅広い世代の客を惹きつけるのだろう。

アッコママがオンラインスナックを大事にする理由

『sun』が『オンラインスナック横丁』に参加したのは、全国に緊急事態宣言が発令されていた2020年5月。でもその前からオンラインスナックには積極的に取り組んでいた。

「コロナ禍になったすぐは、常連さんとLINEでオンラインスナックをしていました。それは利益のためではなく、うちのことを忘れてほしくない気持ちからでしたね」

宮崎を代表する、霧島酒造の焼酎。黒霧島や赤霧島は全国で飲めるが「地元にしか流通していない霧島がおいしい」とアッコママが熱弁
宮崎を代表する、霧島酒造の焼酎。黒霧島や赤霧島は全国で飲めるが「地元にしか流通していない霧島がおいしい」とアッコママが熱弁

さらにコロナ禍に見舞われる前、2018年にもオンラインスナックができるアプリを作成しようとクラウドファンディングで支援者を募集したこともある。

「ママは一人だから多店舗展開や県外での出店は難しい。でもオンラインならどこからでも遊びに来れるじゃないですか。それに宮崎は台風などで豪雨被害が多い地域。宮崎に限らず、お店のある場所が被災地になった時、スナックで働く人が仕事をなくさないよう、サポートできる場所を作りたい気持ちもありました」

画面越しでも二人のスナック愛が伝わってくる
画面越しでも二人のスナック愛が伝わってくる

アッコママの話を聞くと、スナック愛、宮崎愛が強く響いてくる。

「東京にいたからこそ宮崎のよさがわかるし、スナックという場所が好き。今はコロナ禍で営業がままならないので、オンラインスナックが私達の生きがいになっています(笑)。スナック界の若手として、スナック業界をもっと盛り上げられるようがんばります」

直接対面できずとも、2人の明るさは存分に伝わってくる。『sun』のオンラインスナックを楽しんだあと、初めて実店舗を訪れたゲストがいたという話も納得だ。

笑いっぱなしで1時間があっという間に終了!
笑いっぱなしで1時間があっという間に終了!

二宮さんに『sun』の感想を求めた。

「お二人とも明るくて、お話が本当におもしろい! ママたちの方言で旅行気分になれたのも楽しかったー!」

朗らかなママたちによるチャキチャキの宮崎弁ガールズトークに耳を傾けながら、しばし旅気分に浸るのもいいかもしれない。

【sun】

問い合わせ先

  • sun TEL:0985-29-1994​
  • オンラインスナック横丁料金/スタッフとマンツーマン60分¥4,400、フリー(他のゲストと相席)60分¥3,300〜、グループ貸切(4名まで)60分¥6,600〜、22時以降限定フリーお試し30分¥2,750
    オプション/ドリンク¥500、焼酎などのボトル¥5,000、延長30分ごとに1人につき¥1,500

    【実店舗情報】
    住所/宮崎県宮崎市西橘通3−1−17 パティオ橘1F
    営業時間/19:30〜25:00
    定休日/日・月曜
    メニュー/飲み・歌い放題90分 男性¥3,500、女性¥2,500
    ※新型コロナウイルス感染症の状況により、営業時間等が変更になる場合があります。

この記事の執筆者
フリーランスのライター・エディターとして10年以上に渡って女性誌を中心に活躍。MEN'S Preciousでは女性ならではの視点で現代紳士に必要なライフスタイルや、アイテムを提案する。
PHOTO :
小倉雄一郎(小学館)